荒島晃宏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
かつて浅草六区に存在した老舗映画館の上映技師によるエッセイ。
タイトルの「魔窟」の意味がわからない人も多いと思うが、場末の映画館というのは、いかがわしい場所でもあって、下町・人情みたいなきれいごとではすまない場だったことを言っている。著者が浅草新劇でフイルムを回していた2000年代後半、私は系列の浅草名画座でやくざ映画に入り浸っていたので、あれからもう20年近く過ぎたことに軽く驚きつつ、当時の浅草六区の雰囲気を思い出す。
だが本書は街エッセイではなくて、映写技師の目から見た映画興行史の証言と読んだ方がよい。フイルムからデジタルへ、映画館からシネコンへ、スクリーンからモニター画面へ、そしてネ