「新潮日本語漢字辞典」を作った新潮社の校閲家による漢字の話。
特に前半は「新潮日本語漢字辞典」がいかに素晴らしいかの宣伝文句ぽくって気にかかるが、読んでいくにつれ漢字オタクの本領発揮といった面白い話が盛りだくさんである。
当用漢字表だの常用漢字表だの使っていい漢字を国が規制する過程での実にいい加減な
...続きを読む決定方法を読むと、漢字をはじめ言葉に正しいだの正しくないだの言うことのバカバカしさが感じられた。私も例えば「チーズバーガーになります」といった最近の間違った言葉遣いには嫌な気持ちがしていた方だが、この本を読むにつけそういうのも言葉の変化として許容してもいいのかと思うようになってきた。「全然、大丈夫です」という言い回しも今では普通だし、そもそも「とてもきれい」なんて言い回し、今ではおかしいと思う人の方がどうかしている。
また新聞の漢字規制も妙だと思っていたがそれに関してもしっかり指摘してくれていてうれしい。ついでに言えば新聞はいまだにmainを「メーン」と表記する。「メーンテーマ」「メーンキャスト」てな具合だ。これを読むたびに違和感を感じるのは私だけではないだろう。「メイン」に変えて欲しい。
ただ、筆者の「名前を音読みするとカッコイイ」という感覚は古いと思う。