志賀直哉のレビュー一覧

  • 小僧の神様 他十篇
    素朴ながら心地よく、簡潔ながら余韻の残る文章。いくつか学生時代に国語の科目で読んで、問われれば問われるほど、深みにはまっていくような気がしたことを、いまだ覚えている。

    小僧の神様、小僧さんが出鱈目の住所を訪ねていったのをあえて書かないと決めた、とあえて語り手の視点を入れる物語構成、新しい母の子供の...続きを読む
  • 小僧の神様 他十篇
    “人を喜ばす事は悪い事ではない。自分は当然、ある喜びを感じていいわけだ。ところが、どうだろう、この変に淋しい、いやな気持は。何故だろう。何から来るのだろう。丁度それは人知れず悪い事をした後の気持に似通っている。”(p.16)


    “両方とも今とその時と人間は別に変りはしないが、何しろ関係が充分でない...続きを読む
  • 城の崎にて・小僧の神様
    角川とてぬぐい店"かまわぬ"のコラボの和柄ブックカバーシリーズ。
    私はてぬぐいコレクターでして家に100枚くらいあるのですが、これと同じ柄も持ってます。

    さて。
    志賀直哉は授業として習ったものと、「暗夜行路」しか読んだことはありませんでした。
    改めて読んでみると実に素晴らしい文章。ただ何ということ...続きを読む
  • 小僧の神様 他十篇
    心に生まれる、言葉で割り切れぬ感情が、言葉で表現されている。
    すごい。

    特に印象に残ったのは
    『正義派』『清兵衛と瓢箪』『范の犯罪』

    『正義派』では、正しいことをしたいけれど、組織の中で生きるしかない男たちの哀しさを。
    『清兵衛と瓢箪』では、子供ながら瓢箪にハマり、その趣味が周りの大人に全く理解...続きを読む
  • 小僧の神様 他十篇
    柔らかくて澄んだ日本語を味わえる。とても読み心地が良い11の短篇。大正時代の日常は現代の非日常であり、新鮮味がある。「小僧の神様」は無性に鮨を食べたくなる。「赤西蠣太」は元ネタを知らなくても楽しめた。「好人物の夫婦」の奥さんは可愛い。「焚火」の静かさと優雅さはヨーロッパ的だなと思った。暗夜行路や大津...続きを読む
  • 小僧の神様 他十篇
    久し振りに志賀直哉を読んだ。やっぱすげえ。

    Kさんは勢よく燃え残りの薪を湖水へ遠く抛った。薪は赤い火の粉を散らしながら飛んで行った。それが、水に映って、水の中でも赤い火の粉を散らした薪が飛んで行く。上と下と、同じ弧を描いて水面で結びつくと同時に、ジュッと消えてしまう。(『焚火』)

    なんとまあ美し...続きを読む
  • 小僧の神様 他十篇
    収録作品:『小僧の神様』『正義派』『秋西蠣太』『母の死と新しい母』『清兵衛と瓢箪』『范の犯罪』『城の崎にて』『好人物の夫婦』『流行感冒』『焚火』『真鶴』

    特に気にいった、滋味深いなと思ったのは『好人物の夫婦』『流行感冒』『范の犯罪』。表題作もよかったけど、まだ自分には理解しきれないものがある。それ...続きを読む
  • 小僧の神様 他十篇
    文章から写真が思い起こせるような写実的な表現。
    表現力には個性が出るんだってことを強く認識しました。
  • 日曜日/蜻蛉 生きものと子どもの小品集
    子どもの頃の出来事を思い出す。
    トカゲに向かって石を投げた場面で。
    まさか命中するなんて思わなかった。
  • 日曜日/蜻蛉 生きものと子どもの小品集
     狭い世界でのことかもしれないが、この数年、中公文庫の文芸系文庫の編集が面白いと言われている。
     小説+関連する作家論とか、特定の括りで一作家の作品を纏めるとか、ちょっと違った切り口のアンソロジーを出すとか。

     志賀直哉と言えば、"小説の神様"。とは言え、実際今どのくらい読まれているのだろうか。自...続きを読む
  • 小僧の神様 他十篇
    小説の神様と言われた志賀直哉の短編集。読みやすいし、堪能しやすい。一行目から話に没頭できるし、くどくど説明しなくても登場人物の心情や背景が伝わってくるのは、文章がとても綺麗で必要かつ最小限の単語で描かれているからか。小説の神様と言われる所以を感じる一冊。
  • 小僧の神様 他十篇
    志賀直哉の短編11偏が収録された短編集。
    志賀直哉で長編というと、長年かけて完成させた"暗夜行路"くらいしかなく、また、暗夜行路は結構読みにくいため志賀直哉といえば短編というイメージがあります。
    無駄の無い簡潔でわかりやすい文体は短編にこそ映えるもので、尚且つ、本作の収録されている作品は名著と呼ばれ...続きを読む
  • 小僧の神様 他十篇
    窓越しに雨を眺める。
    少しだけ陰鬱な空気のなかで読むのも良いかな の小説。

    小説が生まれてから約100年。
    読み継がれる文学。

    行間に空気や息遣いが見えてくる。
  • 小僧の神様 他十篇
    わしの「本統の生活」ってなんでしょうねぇ…
    教材として読んでみたけど、案外読みやすくて良いな志賀直哉
  • 小僧の神様 他十篇
    ああ『小僧の神様』の、この感覚。
    本名を明かさない。店から足が遠のく。気が小さいという。
    自分にもあるちょっと後ろめたいような、モヤリとした部分。
    「寂しい」と表現に、そういう面もあるのかもと思いが巡る。
    最後のわざわざ書き残された作者としての迷いには、文豪とも言われる方ながら近しいものを感じてしま...続きを読む
  • 小僧の神様 他十篇
    『スミスの本棚』で紹介されていた、『小僧の神様』遠い昔に読んだことがあったような…。

    職人の卵の少年と彼らを支える大人の交流、私の好きな世界だった。
    大人のほうの、控え目な態度がいい。
    少年は「彼に恥ずかしくない」仕事をしようと、思うのだろうな。
  • 城の崎にて・小僧の神様
    中学?の国語の教科書に載っていた?あやふやな記憶を頼りに読んでみました。
    掲題作「城の崎にて」は圧巻でした。わずか8ページの短編ながら、身近な出来事から死への恐怖を連想させられます。
    本書は短編集ですが、他の作品も、日常のある部分を切り取り、鮮明なイメージを植え付ける「山椒は小粒でも…」的な作品が多...続きを読む
  • 小僧の神様 他十篇
    教科書で「城の崎にて」を読んだ当時は、なんて退屈な作品なんだと思った。
    「清兵衛と瓢箪」 もしこの作品から出会っていたら志賀直哉に対するイメージはガラリと変わっていたはずだ。
    まあ何事も第一印象は大事。
    この文庫は本棚にずっとしまっておきたい。
  • 小僧の神様 他十篇
    「ところが、どうだろう、この変に寂しい、いやな気持ちは。」

    評判通り、文章が非常に綺麗だった。

    小僧の神様では、善行の後に残る不快感をみごとに表現している。
    赤西蠣太では、ふと芽生えた愛情に揺れる男が描かれている。
    清兵衛と瓢箪は、昔読んだ懐かしい作品だった。
    范の犯罪では、妻から強く逃げられな...続きを読む
  • 城の崎にて・小僧の神様
    今年5月に初めて城崎温泉に行った。

    翌日帰る間際に、1軒ある小さな書店でこれを見つけて購入。
    ひさしぶりに角川文庫手にしたかも。
    この表紙はとても風情があってかわいい。

    こんなに有名な作家さんなのに、
    実はこれまで読んだことがなく、
    なのであの名作の「暗夜行路」なんかも残念ながら読んだことがなく...続きを読む