高浜虚子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
2冊の自伝を合わせた本。
俳句の世界の偉大な人、ということ以外に何も知らず、正岡子規との区別もつかないまま、新聞に虚子忌とあった4月8日に何となく手に取った。子規に対しては、ドラマ等の影響からか、強烈な個性の持ち主というイメージを持っていたが、虚子はそれとはずいぶん違う人となりであることを知った。自分のことを「平凡な人間」「弱虫」と言ったりする。しかし編者の方は、それを「子規の影を背負って生き続けた虚子という人物のしたたかな自己肯定の表明のようにも思えるのである」と記されている。
自伝なので、多くは人生の中の思い出深いエピソードが占める。俳句そのものについての思索や自論、教えなどの記述は少なく -
Posted by ブクログ
高浜虚子による、正岡子規と夏目漱石の回顧録。
子規の母堂の言うように「升(のぼ:子規)は、清さん(虚子)が一番好きであった」この言葉から分かるように、虚子は若い頃から、子規が最も愛情を注ぎ、また自分の後継者にしようとした愛弟子であり、弟のようでもあった。その二人の濃密な関係が細やかに描かれている。
それに反して、漱石との回顧はかなり冷やかに描かれており、面白い対比である。
虚子にとっての漱石は、元々は尊敬する先輩であったが、虚子がホトトギスの編集を引き受けた後に、漱石に文の掲載を頼んだ。これが「吾輩は猫である」の誕生となる。この小説が爆発的なヒット作となり、それによってホトトギスの売り上げが伸