藤井讓治のレビュー一覧
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岩波新書の日本近世史シリーズ第1巻は、「戦国乱世から太平の世へ」。著者は、そもそも「天下」という言葉はどういう意味を持ったのかという問題から本書を書き起こし、織田信長の入京前夜から家光没(1651)までのおよそ100年余の歴史を叙述する。簡潔だがポイントをはずさない筆致は爛熟の極みである。そして、現在の近世史研究の成果をうまく取り込み、通説部分とそうでない部分もわかりやすい。
「戦国乱世」が治まり、「太平の世」が成るということは、国内的な部分と対外的な部分と両面があるが、とくに前者について天皇との関係を中心に近年の近世史の研究成果がふんだんに取り入れられているように感じた。また教科書的な常識 -
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普段あまり考えることが無い、信長・秀吉・家康(及び15代将軍・義昭そして秀忠も含め)などの天下人と正親・後陽成・後水尾各天皇の関係を詳細に解き明かしているこの本も興味津々だった。信長は右大臣を返上し、左大臣、太政大臣、関白、将軍のいずれも辞退。彼にとっては天皇の権威は利用するもので、自分がその上にあるという意識だったと頷ける気がする。ルイス・フロイスは天皇への謁見を信長に依頼した際に「自分が日本国王だ!」と応えられたと書いているそうである。そして、秀吉・家康も天皇を利用しただけで、内心軽んじていたとしか思えない。しかし、天皇はあくまでも天下人の力に頼るべく、いじらしいまでの従順ぶりである。
天 -
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織田信長から豊臣秀吉、徳川家康へとつづく戦国時代の展開と、三代将軍家光の死にいたるまでの、江戸幕府が確立されるまでの時代を概観している本です。
本書の「はじめに」で著者は、「天下」ということばが、信長の時代においては京都を中心とする畿内の意味であり、秀吉の時代の後半ころからしだいに日本全土を意味するようになったということが説明されています。そのうえで、「本書は、こうした「天下」の意の変遷が、時代のどのような変化に対応したものなのかを考えつつ」、この時代の流れを叙述するということが述べられています。
ただ本書の叙述は、特定のテーマについて検討をおこなったものではなく、この時代の史実を手堅くま -
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信長入京前夜から家光の死去まで、約百年の通史をたどる。「天下」をめぐる争いとして描かれることの多い時代。だが改めて、当時「天下」の語は、どのような意味を持っていたか?同じく「戦国」「乱世」「太平」とは?徹底した史料の読み込みから確かな歴史像を求め、近世の〈実像〉を語る、待望のシリーズ第一巻。(2015年刊)
・はじめに
・第一章 戦国乱世
・第二章 全国統一と朝鮮出兵
・第三章 徳川の天下
・第四章 徳川の政権継承
・第五章 江戸幕府の確立
・おわりに
・あとがき
日本近世史の専門家が、織田信長の誕生から徳川家光の死までを語った本である。新書と言うこともあり、当然、内容には広く浅い部分が出て