吉川真司のレビュー一覧

  • 天皇の歴史4 天皇と中世の武家
    これまで考えもしなかったが、明治維新と共に、幕府と朝廷も終わった!との主張からこの本は始まる。朝廷とは今の天皇だけを考えておればイメージできない。天皇と貴族たちにより構成されていた機関。平治の乱は単なる信西・清盛vs信頼・義朝の戦ではない、後白河・二条の天皇親子の対立でもあったとは全くの驚きだった!...続きを読む
  • 天皇の歴史1 神話から歴史へ
    神話の時代から天武天皇まで。詳細な記述を堪能した。卑弥呼が戦前の皇国史の中でどの位置に同定されていたのか、興味深いところだったが、著者によれば、西暦239年(己未、景初3年)の卑弥呼による朝貢の魏志の記述に合わせるために120年遡って神功皇后の「日本書紀」に神功皇后による朝貢との記述津があること、ま...続きを読む
  • 天皇の歴史3 天皇と摂政・関白
    このシリーズは有難い。天皇の存在は古代史において特に重要だが、一方見えにくいところもあるから。個人的には宇多天皇の個性が際立って書かれていて印象的だった。桓武になぞらえるのも新鮮だし、醍醐への忠告も当時の天皇の教えを押さえていて面白い。
  • 天皇の歴史10 天皇と芸能
    天皇と和歌との関わりを中心に歴史的に遡って記述している。明治以降の論考がないのと、それ以外の雅楽や舞踊についても、ほかに触れる書物が少ないだけにあればよかったと思う。
  • 天皇の歴史6 江戸時代の天皇
    江戸時代の天皇なので儀式についての記述が多く、その点では少々退屈であった。しかしながら、その中でも天皇は制度として一貫して権威を保ち続け、幕末にそれが一気に爆発することとなる。その過程が非常に興味深い。
  • 天皇の歴史2 聖武天皇と仏都平城京
    なぜ日本に仏教が広まったのか。


    鳴くよ鶯平安京、その前に大きな都であった「平城京」
    その平城京の誕生の裏側、そして平安京に続く流れ、
    今まで教科書的にしか勉強していなかったことを
    わかりやすく解説してくれる本。

    奈良時代の研究、とりわけ東大寺の研究としては
    日本で一番ともいえる著書による解説は...続きを読む
  • 天皇の歴史1 神話から歴史へ
    日本の歴史を改めて知ろうとしたら、やはり天皇と公卿の成り立ちからかと思い、この本を手にしました。

    なかなか難しく、かなり読みきるのに時間を要してしまいましたが、とても勉強になる一冊でした。

    天皇家のレガリアが玉、鏡、剣の三種神器であることを知って、宝剣が大切に保管されている奈良の神社まで出掛けて...続きを読む
  • 天皇の歴史9 天皇と宗教
    日本の長い歴史の中で、天皇は国民のための祭祀を神に捧げることが重要な役割であったし、また現に毎日のように多くの祭祀の時間が割かれていることは改めて思い知らされた気がする。仏教と関係は7世紀の伝来当時から異国の宗教であり、日本の神の怒りを招く考えられていたこと、それが幕末からの神仏分離の流れに続き、「...続きを読む
  • 天皇の歴史8 昭和天皇と戦争の世紀
     大正天皇の皇太子、摂政として活躍した時代から第2次世界大戦までの昭和天皇を中心に描く歴史だが、思ったより天皇が出る幕はなかった、普通の日本史という印象である。著者はむしろ立憲民主主義の象徴天皇に近い存在として、一貫してその歩みを捉えているように感じた。蒋介石も毛沢東も、昭和天皇を戦争に導いた軍に対...続きを読む
  • 天皇の歴史5 天皇と天下人
    普段あまり考えることが無い、信長・秀吉・家康(及び15代将軍・義昭そして秀忠も含め)などの天下人と正親・後陽成・後水尾各天皇の関係を詳細に解き明かしているこの本も興味津々だった。信長は右大臣を返上し、左大臣、太政大臣、関白、将軍のいずれも辞退。彼にとっては天皇の権威は利用するもので、自分がその上にあ...続きを読む
  • 天皇の歴史3 天皇と摂政・関白
     天皇制度及び皇族制度について、詳細な説明は目が開かれる。摂政と関白の違い、その場合の天皇との決裁などの流れ。そして太政大臣などの太政官制度との関係などの記述、天皇がある意味「機関」になっていた摂関時代であることを痛感する。道長は左大臣として権力を揮い、摂政は短かったし、関白には就任していない!この...続きを読む
  • 天皇の歴史3 天皇と摂政・関白
    参考文献もたっぷり。「天皇と摂政・関白」のハンドブック的1冊。
    実用主義アプローチなどで歴史を学んでいきたい人にとっては読むのがしんどいかもしれない。
  • 天皇の歴史1 神話から歴史へ
    2010年に刊行された「天皇の歴史」シリーズの文庫版。2016年の天皇明仁(当時)が発した「象徴としてのお務めについてのおことば」を契機とした議論の高まりが文庫版の出版に繋がったようだ。副題にある通り、神話時代における天皇系譜の成立過程を探るのが本書の趣旨であり、それは史料なき時代の考証を、記紀やそ...続きを読む
  • 天皇の歴史1 神話から歴史へ
    天皇制はどのようにして生まれ、なぜ現在まで続いてきたのか。その誕生は東アジアの国際関係と関係があった。中国の晋の冊封を受けた倭の五王、そこから離脱してワカタケル=雄略は小帝国を目指す。その延長上で大王、そして天皇を号するが、それはやがて律令国家の中央集権制を支えるために必要不可欠の道具となった。