堀栄三のレビュー一覧
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ネタバレ大東亜戦争に関する書籍は数多あるが、本書は『情報』の切り口から先般の戦争を記している。
当時の大本営が敵国の戦略・戦術をはじめとする情報をどれほど軽視していたたが、当時を回想する形で記されているのでよく分かった。
その中でも特に印象的だったフレーズは、一つの情報(徴候)に対して、複数の視点から丁寧に分析をしないと致命的な誤りをするということだ。
現代でも、トランプ政権が誕生した際は多くの米メディアはクリントンを持ち上げ、トランプを非難していた。
米メディアのフィルターを通して、日本メディアもトランプ劣勢という論調であったが、結果は違った。
これは米選挙戦に対して、メディアの視点からでは捉 -
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昭和19年夏のマリアナ失陥まで、日本軍は米軍の強襲上陸に対してなすすべもなく玉砕を繰り返していたが、9月のペリリュー島戦以降は持久戦で粘り強く戦うようになる。その転換の背景には、大本営情報部で米軍の作戦行動を分析し、現地軍にレポートを提供した堀中佐らの存在があった。彼はフィリピン戦では現地に派遣され、山下軍団の参謀として従軍することになる。
結局、陸軍はレイテで二ヶ月、ルソンでは組織的戦争だけで四ヶ月、沖縄では三ヶ月の持久戦を戦い、結果として米軍は九州上陸戦の時期を失い、台風シーズンが終わらないまま終戦を迎えることになる。
持久戦の結果戦争被害はむしろ甚大になったのだから、何が良かったのか -
Posted by ブクログ
気合いと元気だけじゃどうにもならない。
真摯に冷静になって仕事に取り組みましょう・・・ということ。
そんなに難しいことは言っていない。
『彼を知り己を知れば百戦殆うからず』
『爵禄百金を惜しんで、敵の情を知らざるは不仁の至なり、人の将にあらざるなり、主の佐にあらざるなり、勝の主にあらざるなり』
“自分たち友軍の戦力を冷静に把握していること、つまり己を知ることである。 ボロ になったものは ボロ と割り切ることである。この場合感情が入ると、独りで将棋を指す作戦課的思考になってしまう。”
“敵情を知るには人材や金銭を惜しんではいけない、これを惜しむような人間は、将帥でもなく、幕僚でもなく、勝利 -
Posted by ブクログ
日本軍の情報参謀による回想記。本人筆というのは、その時代の人間の考え方がじかに伝わる。もちろん記憶がうそをつく部分もあろうが、それでも第三者の筆によるものとは違う生の感じがあるだろう。
本書は戦後40年を経ての出版だが、終戦直後のノートを元にしているらしく割りと細かい部分に記録は渡る。国力の差からいって勝てない戦争ではあったが、日本軍もやるところはやっていた。しかし、やはり官僚的な内向き組織であったとの批判はまぬかれない。また「戦場の霧」とでもいうべきところは、当然、情報畑の著者は強調している。
理念、戦略も結構だが、外に情報を求めるのは戦争でなくとも基本中の基本だ。