【感想・ネタバレ】情報なき国家の悲劇 大本営参謀の情報戦記のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年04月24日

 著者の堀栄三は太平洋戦争時に大本営陸軍部参謀として情報業務に携わった経歴を持つ人物で、本書は著者の実体験をもとに、情報との関わり方が書かれている。この本を読むと、情報収集のプロでさえも、必ずしも正常な判断を下せるわけではないこと、また時には職人芸のように肌感覚で正しい情報を得るという、非常に神経を...続きを読むすり減らす仕事だと理解できる。
 本書で気になった箇所をいくつか取り上げると、まず土肥原賢二の人物像である。著者が陸軍大学校入試で悩んだ際に、著者の父親である堀丈夫が土肥原の私邸を訪問するよう勧めて、実際に私邸を訪ねた。そのとき、土肥原は特におごり高ぶることなく対等な関係で、著者に戦術のあり方を説いた。その教えはシンプルではあるが普遍的な思想を持っており、著者のその後の人生に影響を与えたことをふまえると、土肥原が指導者として十分に役割を果たしたことが今回わかった。そのためこの本を読む前と後で土肥原賢二に対する認識が変わった。
 また、著者の陸軍大学校受験で、教官から問われた問題(いま上ってきた階段の段数を答える問題)が興味深かった。これはつい最近読んだスパイ小説『ジョーカー・ゲーム』で全く問題(こちらはスパイ養成機関の選抜試験であるが)であり、単なる知識の詰め込みでは対処できない、何気ない一瞬の場面を正確に伝える問題が本当に出題されたことがわかった。
 冒頭で既に述べたが、情報を扱う仕事とは職人の仕事と共通点がある。著者は本書で主張するが、情報の仕事にマニュアルのようなものは存在せず、また直接誰かから仕事のノウハウを教えてもらえるわけではない。上司からのちょっとした言葉をヒントに、自分から主体的に学んで次第に経験を積まなければならない。これはたしかに弟子が師匠の背中を追いかけて、たくさんの技巧を習得していく様子と似ている。このことから、代替されにくい仕事とは、合理的に割り切れない、わずかなところに気づける嗅覚、勘を持っていることがわかるだろう。

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Posted by ブクログ 2023年02月28日

太平洋戦争で情報参謀として様々な予測を的中させてきた堀さんの本 情報と言う観点から日本軍と米軍の違い、どういう風に情報が取り扱われていたのかがわかる これは現代の企業においても同様のことが言えると思うとても示唆に飛んでいる本

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Posted by ブクログ 2021年11月04日

太平洋戦争時、大本営の情報参謀としてアメリカ軍の戦略分析を行った筆者の体験記。当時の日本軍の情報の分析の幼稚さに唖然とする。真っ当な国力・兵力分析もなしにあの戦争に突入し、敗色濃厚となってからも精神論だけで玉砕戦法をとっていたとは。
この情報軽視の兆候は今の国や企業にも当てはまるところがあるのではな...続きを読むいかと思うと背筋が寒くなる。

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Posted by ブクログ 2021年09月11日

相当面白い。自明と思っていた考え方を揺さぶられる。
本書は、二次大戦中、日本陸軍の大本営で情報部に勤務し、戦後自衛隊の情報室長も務めた著者による、日本の弱い情報戦略に関する歴史ノンフィクションといえる。話の中心は、情報戦略の観点でなぜ日本が米国に敗戦したかの歴史的分析であるが、それだけではなく、情報...続きを読むを収集し審査する考え方、情報の活用法とその具体例、また歴史的分析に紐付く具体的な戦中のエピソードなど、単なる学問的な本とは一線を画す面白い話が読める。国防にせよ企業の知的財産権にせよ、自分の思う以上に情報をめぐる激しい戦いが行われている可能性が高い、と危機感を持たされる本であった。自分が著者と同じ立場にいたとしたら、どう情報を集め考えるか、一緒になって考えることもできる。また、戦争物を読まない人にとっては、どこかで聞いたこともあるかもしれないいろんな日本軍人のエピソードも聞けて、少しずつ顔が見えてくるのも面白い。

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Posted by ブクログ 2021年05月02日

名著中の名著。先人のや遺言として何度も噛み締めたい。

クラウゼビィッツの制高点を飛行機という文明の技術で作ろうと米国は考えたとのこと。高いとは、どういうことか?物理的、精神的など意味を拡張できる。サイバー空間での高いとは?自分からは見えて、相手から見えない状態を作り出す。
エビデンス、数字に基づく...続きを読む作戦立案の重要性。
明確な戦略を描く。敵国に勝つ、一番になるだけでなく、その先の状態を明確に設定する。
戦略の失敗は、戦術や戦闘では取り返せない。
補給の重要性、システムとして、完全な最前線を構築する。
相手の立場に立って、作戦立案する。
技術や物量に、精神や人員の消耗で対抗しようとするのは、今も昔も変わらない。
最新の技術革新に対して、臆病なのも変わらない。

日本では、アメリカの側から見た書籍が多くないが、参考に読んでみたいと思う。日本では戦前、戦中の知識の断絶がある。さらには、中国に対峙する昨今、経済戦争や先端技術戦争はすでに始まっている。日本を盾にアメリカが戦おうとする冷徹な視点は、民間でも認識しておく必要があるだろう。

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Posted by ブクログ 2020年11月29日

日本軍の情報参謀では有名な人。
こういうタイプの情報参謀があまり居なかったのです。
特務機関はたくさんあってそれなりに活躍はしていたのですが、公開情報を分析したり予測したりするインテリジェンスオフィサーのような方です。

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Posted by ブクログ 2020年11月21日

旧日本軍は最大の組織

戦略 戦術 戦場

経営方針

職場や営業の活動

マーケット

戦場の考察はマーケティングリサーチ

日本軍の暗号の非能率ぶり

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Posted by ブクログ 2020年05月03日

「失敗の本質」に近い。
なにより大きく違うのは、著者が現場にいた情報参謀であること。現場からは過大な戦果が報告され、上は負けなさそうな理由を並べ立てる大日本帝国陸軍の中での孤軍奮闘ぶりがおもしろい。

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購入済み

情報軽視の問題は今も変わらずか

2020年04月25日

情報の軽視が、太平洋戦争で日本に何をもたらしたかが、部外者の分析ではなく、情報職人だった著者本人により、克明に記された名著。組織での情報軽視、情報を扱う人への軽視が、国や軍隊だけで無く、企業やあらゆる組織に何をもたらすかについて、深く考えさせる。

孫子の兵法にも、情報、間=諜報員の将による重用こそ...続きを読む戦の肝と書かれているが、意思決定、戦略決定の鍵を握る情報の重用、不確かな中で如何に少しでも確からしい情報を導くかの戒め、教科書として、何度も読み返したい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年01月18日

今まで語られなかった情報という側面から太平洋戦争について語った本で、非常に面白かった。

日本の組織に所属している人は、上位の意思決定層の問題について共感する部分はあるかと思う。

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Posted by ブクログ 2020年01月07日

素晴らしい本でした。「失敗の本質」の分析を直接当事者から聞いているような感じです。それにしても「情報軽視」というのは恐ろしい。多分今も変わらないんでしょう。

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Posted by ブクログ 2018年01月20日

情報収集の大切さを学びたい人は、これが大切。
情報は知っているほうが強い。それは、どういうことなのか?

それは歴史が証明しています。
歴史から学び、いま知るべき情報は何かを考えるために最適な一冊です。

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Posted by ブクログ 2017年07月25日

名著です。
情報を戦時中上手く活かせなかったという話は幾つかありますが、その中でも特に台湾沖航空戦の話は有名です。組織全体がバイアスにかかっていく中、正しく情報を読み取ろうと意見しますが結局握りつぶされました。情報を上手く扱えない悲劇を感じます。
戦後の話だったと思うが諜報活動は決して派手でなく、新...続きを読む聞を念入りに読み、コンテクストを読み取るのが仕事であると明確に書かれていて目からウロコです。

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Posted by ブクログ 2017年04月15日

なるほど、これは名著中の名著。文章もこなれていて読みやすく、それでいて日本の組織が陥りがちな情報軽視を初めとした諸々の陥穽が、著者の旧日本軍そして戦後の自衛隊、駐在武官としての生々しい体験談として描かれている。
大井篤氏の著書『海上護衛戦』とともに戦史から学ぶ日本組織論として…今更言うまでもないが…...続きを読む必読書といって間違いない。

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Posted by ブクログ 2024年03月30日

戦争中に情報参謀として、未経験からやり抜いた堀氏による戦記。情報をどう収集し、そこから本質をどう見抜くか、自分の仕事の向き合い方にも関わる一冊だった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年04月26日

太平洋戦争での日本の大敗について、情報参謀が自分の経験を踏まえて書いたという、なかなか珍しい本。

日本の情報感度の低さと、それによってできた勝ち筋のない戦略で、何百万人という兵士が死んでいったと考えると、どうしようもなく不憫に感じた。日本がどのように負けて、負けるべくして負けたというのがよくわかる...続きを読む

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Posted by ブクログ 2021年05月07日

太平洋戦中は大本営情報参謀として米軍の作戦を次々と予測的中させて「マッカーサー参謀」の異名をとり、戦後は自衛隊情報室長を務めたプロが、その稀有な体験を回顧し、情報に疎い日本の組織の“構造的欠陥”を告発する。

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Posted by ブクログ 2020年06月21日

大東亜戦争に関する書籍は数多あるが、本書は『情報』の切り口から先般の戦争を記している。

当時の大本営が敵国の戦略・戦術をはじめとする情報をどれほど軽視していたたが、当時を回想する形で記されているのでよく分かった。

その中でも特に印象的だったフレーズは、一つの情報(徴候)に対して、複数の視点から丁...続きを読む寧に分析をしないと致命的な誤りをするということだ。

現代でも、トランプ政権が誕生した際は多くの米メディアはクリントンを持ち上げ、トランプを非難していた。
米メディアのフィルターを通して、日本メディアもトランプ劣勢という論調であったが、結果は違った。
これは米選挙戦に対して、メディアの視点からでは捉えない米国民の民意があった、と考える必要がある。

こういった事象からも著者の堀氏の考え方を引用できるはずだ。

当たり前のことではあるが、本書を読んでからニュースを分析すると、そのメディアがどのような思考を持って論じているかを日々考える必要があるのを改めて感じる。

SNSを含めて情報が氾濫しているが、自分の頭で考えることが今以上に大事な時代はないのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2020年05月08日

2019年、41冊目です。

戦後、自衛隊の情報部門の責任者となった元日本軍大本営参謀の堀栄三氏の著作です。文章は、終始第三者が、堀本人について客観的に語る文章体になっている。
そのことが、情報に価値を置き戦略を立てて生きようとした人間の特性を現わしているかのようです。

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Posted by ブクログ 2018年12月20日

太平洋戦争時に、情報参謀として活躍した堀栄三の回顧録。

これを読むと、旧陸軍も必ずしも精神論一辺倒ではなかったことがわかる。一方で、こういった人材を生かしきれなかったのは、旧軍だけでなく、現代日本にも通じるものがあるかも。

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Posted by ブクログ 2018年12月15日

昭和19年夏のマリアナ失陥まで、日本軍は米軍の強襲上陸に対してなすすべもなく玉砕を繰り返していたが、9月のペリリュー島戦以降は持久戦で粘り強く戦うようになる。その転換の背景には、大本営情報部で米軍の作戦行動を分析し、現地軍にレポートを提供した堀中佐らの存在があった。彼はフィリピン戦では現地に派遣され...続きを読む、山下軍団の参謀として従軍することになる。

結局、陸軍はレイテで二ヶ月、ルソンでは組織的戦争だけで四ヶ月、沖縄では三ヶ月の持久戦を戦い、結果として米軍は九州上陸戦の時期を失い、台風シーズンが終わらないまま終戦を迎えることになる。

持久戦の結果戦争被害はむしろ甚大になったのだから、何が良かったのかはわからない。ただ言えることは、大本営作戦部が主観に偏った作戦を展開せず、インテリジェンスを取り入れていれば戦争は変わった可能性があるし、またサイパン陥落の時点で戦争継続を諦めていれば、あんなに膨大な戦争被害者を産むこともなかった。

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Posted by ブクログ 2018年11月12日

情報の視点から太平洋戦争を振り返ることができる良書。何が日本を負けに導いたのか、太平洋の島々でなぜ玉砕せねばならなかったのか、情報の視点という新たな視点を得ることができた。

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Posted by ブクログ 2018年09月11日

旧日本軍がどれほど情報を軽視していたか、体験に基づくリアルな記述で身につまされる思い。情報をどう活かすかは自分がどうしたいかという意思とセットであると思う。その意味で、旧日本軍は何を成したかったのかボヤけてみえる。

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Posted by ブクログ 2018年08月22日

気合いと元気だけじゃどうにもならない。
真摯に冷静になって仕事に取り組みましょう・・・ということ。
そんなに難しいことは言っていない。

『彼を知り己を知れば百戦殆うからず』
『爵禄百金を惜しんで、敵の情を知らざるは不仁の至なり、人の将にあらざるなり、主の佐にあらざるなり、勝の主にあらざるなり』

...続きを読む“自分たち友軍の戦力を冷静に把握していること、つまり己を知ることである。 ボロ になったものは ボロ と割り切ることである。この場合感情が入ると、独りで将棋を指す作戦課的思考になってしまう。”
“敵情を知るには人材や金銭を惜しんではいけない、これを惜しむような人間は、将帥でもなく、幕僚でもなく、勝利の 主 になることは出来ないという意味で、情報を事前に収集するには、最優秀の人材とあり余る金を使え”

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Posted by ブクログ 2017年12月27日

今では戦略というのはすっかり「ビジネス上の」という文脈で使われるようになったが、もともとは戦争(というか国家間の取り組み)で勝利を得るための考え方であり、僕はこちらのほうが戦略が好きでそういった内容に関係のありそうな本を見つけたらとりあえず手に取るようにしている。とはいえ、ハズレも多いのだが。

...続きを読むういった類の本がハズレになる理由はだいたいは、

自分のことを大きく書きすぎる(俺はこうやった)
浅い考察が延々と並べられる(○○に勝つためのXX)
神の視点からの考察(あの時、こうやってれば買った)
の3つで、いずれも当時の手触りがまったくなくなってしまっている。


一方でこの本はまったく反対で、自分が実際の仕事や体験から感じたこと、学んだこと、考えたことを中心に記述が進められていて、それでいた示唆に飛んだメッセージが多い。例えば、以下の部分。

戦後沢山の戦史家や軍事評論家と称する人々が、「日本は飛び石作戦でやられた」と書いているが、米軍の飛び石作戦は占領空域の推進であり、日本軍の飛行場守備は、米海軍艦隊の攻撃が主目的であって、空域の占領は念頭になかったことを記述しているものは少い。挙句の果てに、日本の作った沢山の飛行場は、まるで米軍のために作ってやったような形になってしまった。

太平洋戦争において、日本軍の戦線が押し下げられて個々の拠点が玉砕していった理由と、米軍の意図を極めてシンプルに記述している。


全体を通じては著者は声だかには言わないものの、現代日本の情報への感度、もっと言えば「外の世界のへの関心の低さ」に対してかなり悲観的なメッセージを発している。ただ、個人的には戦争期間中でさえ変えることができなかった国民性というのは、そう簡単には変わらないわけで、こういった特性というのは今後も変わらないという前提において、個人がどのようにsurviveするのかを考える方がいいのではないか・・と、そんなことを考えた。

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Posted by ブクログ 2017年10月17日

大本営参謀といえば随筆家半藤一利氏が「絶対悪」と評した辻政信氏や戦後政財界の重鎮として活躍した瀬島龍三氏といった高い能力ながら曲者揃いの印象が強い。しかし堀栄三氏は表舞台に登場する「大本営参謀」とは異なる。あくまで自身は「情報分析」が生業であり、実直に参謀の役目を果たそうとする姿が印象的だ。自己の至...続きを読むらなさを棚に上げるでもなく、他方で日本のインテリジェンスに対する理解不足を剔抉する。その分析力の正確性から「マッカーサー参謀」とあだ名され、真の情報分析のプロとは何かを感じさせられる。

堀氏自身望んでというより結果的に表舞台に駆り出され恰好だが、秋山真之のようにまだまだ隠れた日本史の英雄はいるのだなと思った。

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Posted by ブクログ 2017年09月13日

大本営の情報参謀による、日本軍が先の大戦中に情報面で何をやっていたのかを中心に、敗戦までの絶望的な流れやその後の自衛隊入隊後のエピソード(ドイツの大使館付武官としてのくだりは圧巻!)が描かれています。
太平洋戦争中のエピソードは、後から振り返る本だからこそ余計に、そりゃ負けるわ的な面がクローズアップ...続きを読むされている感。

序盤は少々退屈に感じたところもありましたが、中盤の山下方面軍の情報参謀になるあたりからは一気読みでした。
専門的教育も受けていない(日本陸軍の参謀教育には情報の収集・分析はそもそも含まれていないとか)著者が、体制が整っている訳でもないフィリピンで、無茶な命令を出す大本営作戦部にも振り回されながら、それでも米軍がいつ・どこに来るのかを予想し当てていく様や、大本営に帰任してからも米軍の本土上陸地点・時期・兵力を推定していく様は非常に興味深く読めました。
しかし、結局情報だけで戦争に勝てることはなく、戦略的な失敗や物量の圧倒的な差、能率の悪さ、精神論等々、無理ゲー感満載のまま終戦を迎えてしまう訳です。
こういう仕事のプロジェクト、今でもあるよなぁ。。
特に現場の戦果報告を鵜呑みにして確認もしない空気を作ってしまい、誤った情報を元に次の作戦が立てられてしまうあたりは、読んでいてゾッとしました。

著者は本著の終盤で、「米ソの情報部はとうに宇宙へ引っ越してしまった」と言っていたけれど、今はもはやサイバー空間が戦場になっている状況。
本著で書かれていたような、過去に諜報や航空といったトレンドの変化と本質的に向き合わず、中途半端な環境や戦術での対応にとどまってしまったのと同じことが、今起きていないことを祈るばかりです。

学ぶべきことが体系化されている訳ではないのですが、日本人がやってしまいがちな失敗例が詰まっているような感があり、非常に参考になりました。

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Posted by ブクログ 2017年07月21日

台湾沖航空戦、誤った戦果を鵜呑みにしてそのままレイテ決戦に導いてしまった。

⚫いかなる場合も、結果(戦果)を定性、定量的に測定できるようにしなければならない。結果を測れない場合は誤解へと導く
⚫プロの感というものは、複数の情報の交差点のなかに生まれるものである。情報の中には現場へといかない限り分か...続きを読むらないものがある。

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Posted by ブクログ 2023年01月29日

終盤にある、日本敗戦を導いた日本軍の情報の貧弱さを分析した米軍の報告書が、本書の本質を物語っている。
情報軽視、情報共有の欠落、根拠のない精神論…これらの敗戦の教訓は、今でも様々な場面で参考になると思う。

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Posted by ブクログ 2019年08月03日

同じ主人公が3人称で語られたり、1人称で語られたりして混乱する。内容は面白いのに、文才は感じられない。残念な感じ。
それにしても大本営中枢の思考・行動様式が我が社の経営陣と瓜二つで嫌になる。自社の能力を客観的に評価できない、競合社の情報収集を軽視する、営業と技術が上に行くほど仲が悪い、精神論が大好き...続きを読む、現場の意見を軽視する、などなど。人材を選抜するシステムに重大な欠陥があるとしか思えない。

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Posted by ブクログ 2018年11月05日

日本軍の情報参謀による回想記。本人筆というのは、その時代の人間の考え方がじかに伝わる。もちろん記憶がうそをつく部分もあろうが、それでも第三者の筆によるものとは違う生の感じがあるだろう。

本書は戦後40年を経ての出版だが、終戦直後のノートを元にしているらしく割りと細かい部分に記録は渡る。国力の差から...続きを読むいって勝てない戦争ではあったが、日本軍もやるところはやっていた。しかし、やはり官僚的な内向き組織であったとの批判はまぬかれない。また「戦場の霧」とでもいうべきところは、当然、情報畑の著者は強調している。

理念、戦略も結構だが、外に情報を求めるのは戦争でなくとも基本中の基本だ。

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