あらすじ
太平洋戦中は大本営情報参謀として米軍の作戦を次々と予測的中させて名を馳せ、戦後は自衛隊情報室長を務めた著者が、その稀有な体験を回顧し、情報にうとい日本型組織の欠陥を衝く。
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Posted by ブクログ
今まで語られなかった情報という側面から太平洋戦争について語った本で、非常に面白かった。
日本の組織に所属している人は、上位の意思決定層の問題について共感する部分はあるかと思う。
Posted by ブクログ
ちょっとメモ:著者が陸軍入営前、著者の父君と部下の話で「やはり山本(五十六)が癌か」って会話があって度肝を抜かれるほど意外だった。なんでも戦前既に航続力の短い陸軍機と長い海軍機を統合して適材適所で運用する空軍を作る計画が進行中だったのだあと一歩のところで山本が潰したのだという。
ちょっとメモ2:本書後半、筆者もまめ知識として話しているもの。軍や警察で手を顔の横に持ってくる敬礼の由来。フルアーマーの甲冑を身に着けた騎士が城(ブルク)へ戻ったとき国王や領主に報告するときバイザーを上げるときの仕草がもとになったという。それを上げないと顔がわからないゆえ。
Posted by ブクログ
太平洋戦争での日本の大敗について、情報参謀が自分の経験を踏まえて書いたという、なかなか珍しい本。
日本の情報感度の低さと、それによってできた勝ち筋のない戦略で、何百万人という兵士が死んでいったと考えると、どうしようもなく不憫に感じた。日本がどのように負けて、負けるべくして負けたというのがよくわかる。
Posted by ブクログ
大東亜戦争に関する書籍は数多あるが、本書は『情報』の切り口から先般の戦争を記している。
当時の大本営が敵国の戦略・戦術をはじめとする情報をどれほど軽視していたたが、当時を回想する形で記されているのでよく分かった。
その中でも特に印象的だったフレーズは、一つの情報(徴候)に対して、複数の視点から丁寧に分析をしないと致命的な誤りをするということだ。
現代でも、トランプ政権が誕生した際は多くの米メディアはクリントンを持ち上げ、トランプを非難していた。
米メディアのフィルターを通して、日本メディアもトランプ劣勢という論調であったが、結果は違った。
これは米選挙戦に対して、メディアの視点からでは捉えない米国民の民意があった、と考える必要がある。
こういった事象からも著者の堀氏の考え方を引用できるはずだ。
当たり前のことではあるが、本書を読んでからニュースを分析すると、そのメディアがどのような思考を持って論じているかを日々考える必要があるのを改めて感じる。
SNSを含めて情報が氾濫しているが、自分の頭で考えることが今以上に大事な時代はないのかもしれない。