女心も男心も移り変わりが激しく恋愛においても下手な駆け引きしている間に、気持ちが冷めてしまったりして、ふと我に帰るとなぜ熱くなっていたのか不思議に思う事が若い頃はよくあった(もちろん今は違う)。自分の頭で考えてる自分の心でさえそんなものだから、他人の心の中を予想するのは難しい。でも例えば相手の女性の気持ちの強さを気圧や気温に例え、自分の気持ちを同様に数字で例える事が出来れば、もしかしたら全く関係ない人間であっても天気予報の様に、その後の展開をある程度予想できるだろう。
因みに、相手が冷めてきたな(低気圧)と考えると、自分の気持ちはそれを防ごうとするより、我先にと冷めよう(嫌いになろう)とする。相手にフラれた自分を見るのが嫌だからだ。それは本書と全く関係ない。
本書は気象現象がどの様な仕組みで起こっているのかを図と解説でわかりやすく説明している。気圧、風、地形、海流、引力など様々な要素が複雑に絡み合うため、全く同じ天気図は二度と現れず、その状況も刻一刻と変わっていく。天気予報士は様々な要素を掛け合わせ、より広範囲に過去のデータなどを付き合わせた上で予測をする。コンピューターはこうしたデータに基づく大量・高速計算は最も得意とするところだが、確実な予測は不可能だ。人間なら尚のことだが、予報士の仕事にはロマンが多い。古代の日本なら天気を当てるものや占いによりあたかも変える事ができたものは一国のトップにもなりえた。成果が天候に大きく左右される農家や漁師の尊敬の的になるのも当然だ。天気を操るもの人心を制すとも言えるだろう(無理な話だが)。
本書は私の様な気象素人にも天気図の見方から、基本的な予測の仕方、季節ごとの典型的な天気の動き、それらを要因となるあらゆる条件について解説している。読み終わるとちょっと空を見ながら誰かに「もうすぐ雨が降るよ」なんて使いたくなる知識に溢れている。
初対面の人との会話は共通の話題もわからず、中々何を切り口にするか苦労するものだが、天気の話から始める事が多い。今日もよく晴れてますね、なんてありきたりな会話ではなく、「今日は西側の高気圧の影響が大きく、太平洋上の低気圧を大きく押しのけてて、尚且つ関東平野に吹き込んだ風は昨日の日差しで暖められた地面からの上昇気流を受けて、北関東の山々を駆け下りる事で非常に暑いですね!」。これだけでだいぶ時間を稼げるが、場合によっては変人扱いされそうで注意が必要だ。