齊藤寛海のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
コジモ・デ・メディチの帰還から、ロレンツォ・デ・メディチの死までが描かれる下巻。圧巻は最終章である8章で、息もつかせぬ展開に思わずページをめくる手も早くなる。ラストの尻切れとんぼ感にはあぜんとさせられた。現代的な著作であれば、最後にまとめ的な何かが必ず来るものだが、当時は必ずしもそうではなかったのかも知れないが。
いわゆる歴史書としては視点が中立的でなかったり、恣意的な省略や誇張などもあるが、その歴史に立ち会った人ならではの息づかいや迫力が伝わって来る。本書でさらっと触れられているロレンツォの人柄についてさらに詳しく知りたく思った。
歴史好きなら読んで損はない一冊。 -
Posted by ブクログ
ローマ帝国の崩壊から、フィレンツェの成立、教皇派と皇帝派の対立、そしてコジモ・デ・メディチの追放と帰還までを本書では描く。新訳ということで活字も綺麗で大変読みやすいのみならず、訳者による精緻な注釈は大変読み応えがある。
学術的な歴史資料としては過不足があるかも知れないが、素人の歴史好き的には大変興味深く読み進むことが出来た。高校の世界史とかで「ローマ帝国が民族大移動で崩壊した」「カノッサの屈辱と呼ばれる」程度の断片的な知識を補完するには十分な内容だろう。
改めて、ローマ帝国の崩壊と教皇の権力の拡大というのは、イタリア史に暗い影を投げかけているのだと認識させられた。党派対立や貴族と民衆、民衆の中