秋山千佳のレビュー一覧
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小学校の時、保健室は逃げ場の一つだった。
周りより少し大人びていた私は、放課後に、休み時間に、そこに駆け込んだ。
話を聞いてくれる大人がいることに安心した。
中高ではそんな少女たちがたくさんいた。
追い返されたこともあったが、今考えればある程度見極めていたように思う。
本書に登場する子供たちは、当時の私よりずっと過酷な状況である。
私と同じ、などとは言えない。
発達障害が疑われるのに、保護者や教員の理解を得られぬ子、虐待を受けている子、貧困に喘ぐ子......。
見えない、見ようとされない子供たちを必死で支えているのが養護教諭たち。なのに彼女たちも理解されず、孤軍奮闘を強いられている。
この需給のミスマッチはなぜ起きるのだろう。
「困った子は困っている子」という言葉が印象に残る。
一般の大人が考える以上に子供たちは困っている。
しかし彼らは、表現方法も、発信力も、何もかも未熟で、うまく自分を語れない。
それを補って汲み取ってあげる側の大人も、余裕がない、知識がない、いろいろな理由で十分に向き合えていない。
そのため、「できる人」に負担がのしかかる。
すでに提言されているようだが、本当に今、必要なのはチームを組むことだ。
スクールソーシャルワーカーを入れたり、複数配置にすることが子供のためにも、支援者のためにも重要なのだ。
善意だけでは人を支えることなどできない。
本当に、この社会を持続させていきたいのなら、もっと子供に予算を使わなければ、間違いなくこの社会は消滅する。
「まちかど保健室」の提案は魅力的だ。
子供食堂と合わせて解説できれば、より適切なフォローができるように思う。 -
Posted by ブクログ
性被害を受けた男性たちによる告発をまとめた本。部分的には女性の被害者も出てくるが、焦点は男性に当てられている。
なぜ焦点が男性に当てられたか。それは本書を読んでもよくわからないかもしれない。性被害において、本質的には男性も女性も変わらないからだ。被害による症状は遅れて出てくる、従順でおとなしい子が狙われやすい、被害を告白してもまわりからの無理解がある、逆に被害者が責められることさえある、など。
おそらくは本書を手に取ろうとする読者は、性被害(加害)に対する知識がある程度は持っているのではないか。だから本書を読んで、なにか新たな知識が得られるということはあまりないと思う。性被害(加害)に対する知見は常識的なことしか書かれていない。
では本書の意義がないのかといえば、そうではない。この本は読者のための本ではなく、性被害者たちのための本だからだ。
先に、なぜ男性に焦点を当てられてるかよくわからないと書いたが、たしかに男性と女性の性被害において本質的な違いはない。
ただ唯一違いがあるとすれば、場の数である。女性の場合、告発に心理的なハードルがあっても、やはり告発の場自体は男性と比べて多いのである。それは単に性被害者の数として多いということでもあるが、それゆえに、社会の空気としても告発しやすい。
改めていうと、本書は男性の性被害者のための告発の場となる役割を持つ。だから被害者たちのための本なのである。 -
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重い内容だった。
性加害は“心の殺人”と呼ばれる。被害者はたった一度の被害でも心をずたずたにされるのに、信頼すべき実の親や教師に幼い子供が繰り返し性虐待を受けることの残酷さ。子供は家庭や学校しか行く場所がない中で、日々を鬼畜に支配され、心を殺され続ける。
そして自死を選ぶ者も。サバイバーとなっても、何十年か後にPTSDを発症することもあるという。
本書の告発者の場合、警察や周りの大人に何度も訴えても誰も本気で取り合わず守ってもらえなかった。子供の絶望を思うと泣けてくる。
男子の性被害がやっと女子と同列に扱われるようになりつつあることは一つの前進と言える。
それでも、裁判に訴えることへのハードル(時効のや証拠保全の問題)はまだまだ高い。
どうか一刻も早く、子供の性被害の時効を撤廃してほしい。
そして、児童性愛は愛でも嗜好でもなく病気だという観点に立って、加害者を治療するシステムをしっかりと作り上げてほしい。 -
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東大女子が在学中や卒業後にぶち当たったさまざまな困難が紹介されていた。全体としての感想は、東大には世間では一昔前と思われるような思想や考えが深く根づいていると思った。東大女子お断りのサークルがあったり、東大生同士の結婚でも妻は仕事を辞めるものだ・あるいは働きながら家事もするべきだと考える人もいたりとSNSで発言したら炎上しそうなものがたくさんあり、驚きだった。日本一の大学の考えがこれじゃあ中々世の中も変わりにくいよな、とも思った。
そんな中でも自分に合う生き方を模索し、生き生きとしている東大女子の姿を読んで、とても勇気をもらえた。困難にぶち当たっても折れるだけでなく、自分の居場所を探せるレジリエンスを私も東大女子の皆さんのように身につけていきたい。 -
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早稲田出身、朝日からフリージャーナリストになった秋山千佳さんのインタビュー録。競争社会を勝ち残った東大なのに、自己肯定が低い、計画性が高すぎて強調できる人がいない。いまや東大は海外大学の滑り止めになってきている。インカレサークルに呼ばれない東大女子(東大男子文三)といった意外な側面が描かれる。このハゲで有名な豊田真由子氏はセクハラを勝ち上がって周りの環境に過剰反応してきた人だという人物像は意外な気がした。上野千鶴子氏による東大入学式の式辞が有名であるが、その中でも言われた通り、結局のところ女子が東大に入る最大の利点は選択肢を増やす、そういうわかりやすいところにあるべきだと思う。