あらすじ
ついに被害者は語り始めた
ジャニー喜多川、実父、教師、街中での被害。被害者の心と体を蝕み、時には人生を変えられてしまう性被害の実態と、差し込む光とは。
なかったとは言わせない! 性被害者の実名告白。深層ノンフィクション。
日本では長年“なかったこと”にされてきた男性の性被害。加害者は、担任教師、実父、芸能事務所社長……。
たった一人の勇気ある闘いが、重い扉を開け、闇のなかにいた被害者たちに光が差し込んだ。立ち上がり、少しずつ歩きはじめた人々の姿を追う。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ずしりと重たい。これでも氷山の一角なのだからどれだけの性被害者が徹底して無視され、あるいは故意に沈黙の中に沈められてきたかと思うと悲しみや虚しさより怒りが湧いた。
男は生まれつき男なのだ。ホモソーシャルを観察すれば、あるいはその中で生きてみればわかる。男らしさを強調し、下ネタでゲラゲラ笑い、くだらない事に執着するなと「教え込まれる」。聞こえはいいが要するに思考停止して動けと言われるのだ。
読んでいて、自身にも身に覚えがあった。あれが性加害の被害に当たるのかと考え、調べてみたら自身も被害者だとわかった。そんな風に身近に転がっているのだからもしかしたら自分もここに載った人々と同じになっていた可能性がある。そう考えるともっとこの本は読まれるべきだし、大勢が知るべきだと強く思う。
Posted by ブクログ
女性の性被害では、なかなか立ち入りづらい話題なのだけど、男性の性被害は自分も被害者であったかもしれない。ジャニーズの問題は確かに半笑いで通り過ぎていた。他にも男性がセクハラに合う映画も特に気にすることなく笑っていた。それらを常に他人ごととしてとらえていた。
家族による、父親による性加害も指摘されている。息子の性器をふざけ半分で指ではじくなどしていたら、後年「最悪でした。思い出すだけで死にたくなります。あれからトラウマになって今もPTSDで苦しんでいて、うつ病の診断もくだりました」などと告白されるかもしれない。変なことをしないように気を付けなくてはならない。
この本は勇気ある人々による時代の変化をありありと描いており、さらに時代の変化を導くことだろう。
ここで声を上げた人々がそもそも優秀で頭のいい人ばかりだ。そうでなければ事態と向き合えないのかもしれない。しかしその影には、あまり頭がよくなくて、声を上げられないまま苦しんでいる人の存在が想像できる。
性被害の描写が生々しく、加虐傾向のある同性愛者が読んだら興奮しそうだ。
Posted by ブクログ
読んでみて、ジャニーズ問題が取り沙汰されていた頃にいくつかネットで見た男児の性被害に関する記事がほとんどこの方のものだったということが分かった。それらの記事がいかに世の中や裁判に影響を与えたか、というその後の話まで記されておりとても興味深い。メディアが被害者を救ったという意味で応援したいし、もっと多くの人に読んでもらいたいと思う一冊。
それにしてもジャニーさんの性被害の件数はとんでもないと思っていたが、小児性愛の人が起こす性被害件数の平均は1人あたり何百件という事実を知って驚いた。いかに声をあげていなかったり隠蔽された被害者が多いかということがよく分かる。
また、日本は諸外国においてもそういった犯罪への対応や法整備が遅れているということもよく分かった。日本はロリコン文化だからか?どうでも良いルールを厳しくする前に、子供に対する性的な行為は犯罪であるということをもっと社会に認知させていくべきだと思う。小児性愛とあるが、愛ではない、という有識者の話にほんとその通りだと思った。
また男性のほうが声をあげにくいというのも、ジャニーズの子達が被害を笑話にしていたという話を思い出して辛くなった。
この本に登場する方々は本当に勇気があると思ったし、著者の方も含めて今後も応援したい。
Posted by ブクログ
早く法整備と時効の撤廃を願いたい。加害者にとっては欲望を解消するなにか、でしかないんだろうと思うと本当に酷いと思う。サバイバーが少しでも生きやすくいられますように。尊厳を守れますように。子どもと関わる人間として正常な感覚を育める環境を作れるように努力していきたい
Posted by ブクログ
性被害を受けた男性たちによる告発をまとめた本。部分的には女性の被害者も出てくるが、焦点は男性に当てられている。
なぜ焦点が男性に当てられたか。それは本書を読んでもよくわからないかもしれない。性被害において、本質的には男性も女性も変わらないからだ。被害による症状は遅れて出てくる、従順でおとなしい子が狙われやすい、被害を告白してもまわりからの無理解がある、逆に被害者が責められることさえある、など。
おそらくは本書を手に取ろうとする読者は、性被害(加害)に対する知識がある程度は持っているのではないか。だから本書を読んで、なにか新たな知識が得られるということはあまりないと思う。性被害(加害)に対する知見は常識的なことしか書かれていない。
では本書の意義がないのかといえば、そうではない。この本は読者のための本ではなく、性被害者たちのための本だからだ。
先に、なぜ男性に焦点を当てられてるかよくわからないと書いたが、たしかに男性と女性の性被害において本質的な違いはない。
ただ唯一違いがあるとすれば、場の数である。女性の場合、告発に心理的なハードルがあっても、やはり告発の場自体は男性と比べて多いのである。それは単に性被害者の数として多いということでもあるが、それゆえに、社会の空気としても告発しやすい。
改めていうと、本書は男性の性被害者のための告発の場となる役割を持つ。だから被害者たちのための本なのである。
Posted by ブクログ
重い内容だった。
性加害は“心の殺人”と呼ばれる。被害者はたった一度の被害でも心をずたずたにされるのに、信頼すべき実の親や教師に幼い子供が繰り返し性虐待を受けることの残酷さ。子供は家庭や学校しか行く場所がない中で、日々を鬼畜に支配され、心を殺され続ける。
そして自死を選ぶ者も。サバイバーとなっても、何十年か後にPTSDを発症することもあるという。
本書の告発者の場合、警察や周りの大人に何度も訴えても誰も本気で取り合わず守ってもらえなかった。子供の絶望を思うと泣けてくる。
男子の性被害がやっと女子と同列に扱われるようになりつつあることは一つの前進と言える。
それでも、裁判に訴えることへのハードル(時効のや証拠保全の問題)はまだまだ高い。
どうか一刻も早く、子供の性被害の時効を撤廃してほしい。
そして、児童性愛は愛でも嗜好でもなく病気だという観点に立って、加害者を治療するシステムをしっかりと作り上げてほしい。