あらすじ
ついに被害者は語り始めた
ジャニー喜多川、実父、教師、街中での被害。被害者の心と体を蝕み、時には人生を変えられてしまう性被害の実態と、差し込む光とは。
なかったとは言わせない! 性被害者の実名告白。深層ノンフィクション。
日本では長年“なかったこと”にされてきた男性の性被害。加害者は、担任教師、実父、芸能事務所社長……。
たった一人の勇気ある闘いが、重い扉を開け、闇のなかにいた被害者たちに光が差し込んだ。立ち上がり、少しずつ歩きはじめた人々の姿を追う。
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Posted by ブクログ
読んでみて、ジャニーズ問題が取り沙汰されていた頃にいくつかネットで見た男児の性被害に関する記事がほとんどこの方のものだったということが分かった。それらの記事がいかに世の中や裁判に影響を与えたか、というその後の話まで記されておりとても興味深い。メディアが被害者を救ったという意味で応援したいし、もっと多くの人に読んでもらいたいと思う一冊。
それにしてもジャニーさんの性被害の件数はとんでもないと思っていたが、小児性愛の人が起こす性被害件数の平均は1人あたり何百件という事実を知って驚いた。いかに声をあげていなかったり隠蔽された被害者が多いかということがよく分かる。
また、日本は諸外国においてもそういった犯罪への対応や法整備が遅れているということもよく分かった。日本はロリコン文化だからか?どうでも良いルールを厳しくする前に、子供に対する性的な行為は犯罪であるということをもっと社会に認知させていくべきだと思う。小児性愛とあるが、愛ではない、という有識者の話にほんとその通りだと思った。
また男性のほうが声をあげにくいというのも、ジャニーズの子達が被害を笑話にしていたという話を思い出して辛くなった。
この本に登場する方々は本当に勇気があると思ったし、著者の方も含めて今後も応援したい。
Posted by ブクログ
早く法整備と時効の撤廃を願いたい。加害者にとっては欲望を解消するなにか、でしかないんだろうと思うと本当に酷いと思う。サバイバーが少しでも生きやすくいられますように。尊厳を守れますように。子どもと関わる人間として正常な感覚を育める環境を作れるように努力していきたい
Posted by ブクログ
重い内容だった。
性加害は“心の殺人”と呼ばれる。被害者はたった一度の被害でも心をずたずたにされるのに、信頼すべき実の親や教師に幼い子供が繰り返し性虐待を受けることの残酷さ。子供は家庭や学校しか行く場所がない中で、日々を鬼畜に支配され、心を殺され続ける。
そして自死を選ぶ者も。サバイバーとなっても、何十年か後にPTSDを発症することもあるという。
本書の告発者の場合、警察や周りの大人に何度も訴えても誰も本気で取り合わず守ってもらえなかった。子供の絶望を思うと泣けてくる。
男子の性被害がやっと女子と同列に扱われるようになりつつあることは一つの前進と言える。
それでも、裁判に訴えることへのハードル(時効のや証拠保全の問題)はまだまだ高い。
どうか一刻も早く、子供の性被害の時効を撤廃してほしい。
そして、児童性愛は愛でも嗜好でもなく病気だという観点に立って、加害者を治療するシステムをしっかりと作り上げてほしい。