私の知る限りでは、日本のITプロジェクトでは、アーキテクトという役割を専任で行うことはあまりない。大体が、要件定義、設計、コーディング、テスト、運用というフェーズごとに責任者、担当者がアサインされており、PMが全体を見る形である。
本書で説明されるアーキテクトは、主に要件定義から設計につながる部分で
...続きを読む、問題空間と解決空間を調整しながら結びつけるのが大きな役割で、プロジェクト全体を通して解決策がユーザーの問題に適切に対処しているかを監視する。確かに、ここの役割をおろそかにすると、特にウォーターフォール型開発では、上流からのインプットを完全に正しいとして突き進み、いつの間にかユーザーの要望から乖離してしまう、ということが起こりがちだろう。
というわけでアーキテクトという役割が大切なのだが、この人が責任を持つソフトウェア・アーキテクチャを正しく構築するには、どのような観点で検討すればよいのかを、ビュー(視点)とパースペクティブ(側面)という分類でうまく整理している。やっぱり、PMBOKなどを生み出すだけあって、欧米は知識を体系的に整理するのが上手だ。こういうフレームを参照すれば、アーキテクチャにおける考慮モレは減り、より良いシステム構築につながると思った。