笹公人のレビュー一覧
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趣向がこらされていて、楽しい入門書です!
表紙がかわゆく、若いひと向けかなと思ってしまいますが、そうでもないみたいです。
「孫(まご)の詠み方のポイント」なんてあって、全世代向けです! 内容は、NHK短歌によせられた「52の質問」を中心にまとめられています。
本を開くと、作者の笹公人(ささ・きみひと)先生の自選40首がならびます。短歌世界へ、入り口のトンネルみたい。
本書は「52の質問」が初級編、中級編、上級編に振り分けられた構成です。それぞれの、わたしのイメージはこんな感じです。
初級編:短歌のルール説明と作歌のすすめ
中級編:作った歌を推敲するときのポイント
上級編:ちょっと高度 -
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「念力家族」などの歌集で有名な歌人・笹公人による短歌の入門書。これまで多くの短歌入門書を読んだが、その中でベストの内容だ。アイドルで短歌が好きな明星コトハと先生の笹Pの会話という設定で読みやすい、Q&A形式でわかりやすい、そして参考として挙げてある短歌が厳選されて素敵だ。上の句で風景を描き下の句で心情を述べる「三句切れ・景心セット」、上の五・七が心情で下の五・七・五が心情という「二句切れ・心景セット」など、形式から入るやり方も新鮮で役に立つ。後半にはエッセイや短歌ドリルもあってお得である。「浅き眠りの父を傍(かたえ)に読みふける介護の歌なき万葉集を」「雪女溶けて残れる水たまりのみずは甘
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#シン・短歌入門 #笹公人 #文芸選評
今までの短歌入門書とは違う、楽しさがある。まるで文化祭や飲み会に参加しているようなワクワク感がある。色は目に優しい二色で文字が読みやすい大きさ、Q&Aとして歌詠みにとって疑問に思うつまづきや聞きたいことがコンパクトにまとめられ、アイドルコトハさんと笹Pのコントのような掛け合いが楽しい。笹さんのハスキーボイスが聞こえてきそう。
三句切れ景・心セット、二句切れ景・心セット、日常の小さな気づきを詠む、リフレインやオノマトペの使い方のコツ、本歌取りのルールなど役に立つことだらけ。
短歌ができないときの答えが笹さんらしいなあ、やってみようかなと思った。年が変わって -
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この本は星を7個つけたいくらい、おすすめの短歌入門書である。短歌に関する52の質問に対して著者の歌人、笹公人が分かりやすく答えていく。
質問は初級編、中級編、上級編と分かれているからこれから短歌を始める人だけでなく、すでに短歌を始めてある程度たってる人も参考になると思う。自分の読みたいところから気楽に読むといいと思う。
質問は、「初心者が覚えるべき型のようなものはありますか?」、「短歌大会の題で悩んでいます。題詠のコツはありますか?」、「動詞の数は少なくといわれました。なぜですか?」、「カルチャー教室で「歌にオチをつけるな」と注意されました。具体的な参考例がありましたら教えてください。」な -
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見た目の華やかさとは裏腹に、かゆいところまで手が届く骨太の短歌入門書。
まさしく、笹先生がプロデュースする「アイドル歌会」のアイドルのように、親しみやすさと頭の良さと誠実さと、サービス精神がてんこ盛りの一冊。
短歌アイドル・明星コトハちゃんの質問に、笹公人先生のアバター?笹Pこと笹プロディーサーが答える。
短歌を始める/始めた読者が、必ずといっていいほどぶち当たる局所をフィジカル的にもメンタル的にもバックアップ。
大事なところは太字&ピンクでなぞってあるので、後でパラパラと確認したいときにも便利。
楽しく真面目に短歌に取り組んでほしいという笹先生の思いが感じ取れるよう。
短歌をはじめて -
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こんなに楽しい短歌の入門書は初めて読みました。
まず最初は著者の笹公人さんの自選四十首。
<金星の王女わが家を訪れてYMOを好んで聴けり>
<中央線に揺られる少女の精神外傷(トラウマ)をバターのように溶かせ夕焼け>
<修学旅行で眼鏡をはずした中村は美少女でした。それで、それだけ>
<夕焼けの涙でしょうか電柱の根に冷えているピアスの粒は>
<赤電話に十円玉の落ちる音おぼえてますか金木犀よ>
<何時まで放課後だろう 春の夜の水田に揺れるジャスコの灯り>
「短歌のQ&A」は80年代の石田純一さん風の笹P(ささプロデューサー)がアイドルグループ「アララギ31」のリーダーの明星コ -
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ベルガモットの、レビューを読んで読みたくなった。人気歌人笹公人の短歌、エッセイ、パロディ掌篇小説を収録している。
「フォーッフォッフォッ」という藤子不二雄Aの某有名キャラクターの笑い声のような念力レストランのシェフのあいさつで本書は始まる。この時点で心はわしづかみにされる。
「短歌は音楽だ」というエッセイで“歌詞の頭とサビは、なるべく母音のa(ア)音が含まれるア段(あ、か、さ、た、な、は、ま、や、ら、わ)にしたほうがいい”と書かれていた。
また、齋藤茂吉の短歌を母音に分解して読んだ「母音分解読み」もとても興味深かった。
著者の短歌を少し紹介したい。
“もし君がキエーーと奇声あげながらヤ -
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ネタバレ短歌、エッセイ、小説どれも抱腹絶倒を強要されるような笹ワールド
昭和な風景が浮かび時々オヤジギャグのような要素も混じる、あるある!と頷きたくなるような日常のような非日常な瞬間
コックリさんシリーズ(11首も!)は不気味な懐かしさが再現
バンドもなさってるらしく独特のリズムがあります
幅広い人脈で無敵な感じ、人生楽しんでいるのが溢れ出している
アナグラムという文字の順番を並べ替えて別の意味の言葉にする遊びの解説は面白かった
韻律や母音の響きを考えると日本語の不思議さを感じる
笹公人を「人裂きミサ」「都井岬さ」とか変えてしまえるなんて凄い
ヒット曲の歌詞の頭やサビの部分は「ア段」が多いらしい
母 -
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ネタバレ『一人で始める短歌入門』は入門書として捉えるには体系的ではなく、『天才による凡人のための短歌教室』は興味深くこそあれ、歌人を目指すというストイックなゴールを感じ、やや重めな印象の指南書だった。
それぞれ面白い本なのだが、最初の一歩という点では本書が最適。
本書はザ・入門本であり短歌の世界にどんな要素があるのかをQA形式でさっとひとさらいできる点で大変良かった。
語られるポイントはさほど難しいことでもないようにも感じるのだが、その例として挙げられる秀歌と解説になるほどー、となる。
一見「?」となる歌でも、どこに味わいがあるのか明確に解説があり初学者でも安心してその世界を堪能できる。
一番、「 -
Posted by ブクログ
10数年前、札幌へ帰省したおり、ヴィレッジヴァンガードで「念力図鑑」を見つけて買う。
トンデモ本で紹介されていた「念力家族」の続刊か。揶揄する気持ちで読み始めたら……、打ちのめされた。
この才能は寺山修司ばり!
飛んでくる チョークを白い薔薇に変え 眠り続けるあなたはレイコ
など、いまだに暗誦できる。
惚れ込んだ余り、コミケ用に制作した「エスパー魔美」研究誌の中表紙に、
百時間 テレビに青く照らされて 少女はついにテレポートする
を引用してしまった。
処女歌集「念力家族」では「図鑑」ほどの感銘が得られなかった。つまり、歌人として腕を上げたのだろう。
巻末の大林宣彦による解説