平井美帆のレビュー一覧
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他の人を助けるために性を売る女性。
自分の意思よりも日本の集落の上層部の男の人とソ連の幹部で決められた合意に従うしかなかった少女達。
そして他の人を守るとために自ら進んで売りに行く回数を増やした人や、身体を売った人に日本に帰国後、物好きだったなと言われる彼女達。
どこまで男性は卑怯なのかと思った...続きを読むPosted by ブクログ -
ノンフィクション。。いや、フィクションですよね?と思うほど、現実に起こったとは考えたくない話でした。生き残った娘達の言葉しか残らなかったので、さらにひどいことや悲しいこともあったでしょう。。きっと世界で今でもあるんだろうなと思うと言葉にならないですね。。Posted by ブクログ
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非常に読み応えのある本だった。取材と検証を重ねて見えてきた事実。なかったことにされている声を掬い取る著者の見る力、聞く力、書く力。何より訴える力。決して知らないままでいてはいけないし、知った自分はバトンを受け取り考え続けなければいけないと強く思った。Posted by ブクログ
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毎年8月には先の大戦に関する書籍を意識して手にするようにしています。
そんな中で手にした本書。
今までに手にしてきた戦争関連本とは全く違い、国策として満州へ渡った黒川開拓団の「接待」について著者である平井美帆さんが実体験を聞きまとめたノンフィクション作品。
「減るもんじゃない」
この一言は酷す...続きを読むPosted by ブクログ -
また私の知らなかった戦争が、ここに記されている。
戦争関連の本を読むたび、知らないことばかりだなぁ、とため息が出る。
内容はあまりにも衝撃的で、著者はよくここまで聞き出せたと思う。
やはり女性だからこそ出来たのでしょう。
敗戦直後の満州。
黒川開拓団は団を守るため、未婚の娘たちを「接待」の名目で...続きを読むPosted by ブクログ -
下手すると下卑た内容になりがちなテーマが静謐な筆致でまとめられている。
まずそこに感服した。
当事者目線で寄り添う筆者の温かい共感があったからこそ、このような大作が生まれたのだろうなと思った。
それにしても、当事者たち(特に善子、玲子)の強いこと。
しかし、彼女たちも、元から強かったわけではないだろ...続きを読むPosted by ブクログ -
タイトルから想像される事実は
この本にとって前半の部分のみ
後半は命からがら満州から
引き揚げてきた女性たちの
戦後の戦いだ
新聞で性被害にあった女性の体験談を
読んだことがあるが
男性にとっては加害の事実は
一時のことかもしれないが
女性にとっては一生続く苦しみ
だというこ...続きを読む -
「戦争」への憤りはもちろんのこと、「意識的なもしくは無意識な女性蔑視」への不愉快さで胸が悪くなる。
ちゃんと書物として世に出して残してくれてありがとう、という気持ち。我々は知るべきだと思う。Posted by ブクログ -
本著の最後の方で用いられた表現、人柱や人身御供が当にそれだと思った。読書を通じて薄らとは知っていた、強姦とは異なる取引。ソ連兵の要求に対して身を捧げた女性たち、それを開拓団が集団の防衛のためと組織立って行い「接待」と称した。無力な敗戦者は彼女たちに救われた訳だ。しかし、彼女たちに感謝も謝罪もないばか...続きを読むPosted by ブクログ
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戦争が狂気であることは皆が知る事だ。
中でも、他国で終戦を体験した人の生は、死ぬことよりも苦の連続だったことを知る。
接待という身体の提供により、団体の護衛を約束されるもの。
集団で願われ接待に出されたのなら、最後までその礼に尽くされるべきではないかと思うが、その扱いに接待は続いていたかのような非...続きを読むPosted by ブクログ -
日本の敗戦は満州開拓団にとって、地獄の日々の始まりだったとあるが、そのなかでも団の皆を守るために犠牲になった女性たちは、悲劇というより他にない。
だが、彼女たちの心の叫びを文面で見ないことには、知らずに闇に埋もれていく。
悲惨なこともあったであろうで済まされ流されていくのは、避けてほしいと思う。
...続きを読むPosted by ブクログ -
若い娘をソ連兵に「接待」に出しておいて、あとから「ロスケにやられた女」と負の烙印を押しつける。戦争が何をもたらすのか。目を背けてはいけない過去の現実。Posted by ブクログ
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戦争の貴重な記録であり生存者の生の声である。団の防衛と生存のため人柱にされた独身の女性たちの苦しみの声が聞こえる。そしてそれを強いた団の責任者達の「減るもんじゃなし」という女性蔑視、男尊女卑の思想が当たり前の社会の恐ろしさ。そして今も男の中に根強く残る女性差別。やりきれない思いだが、この本が心ある男...続きを読むPosted by ブクログ
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開拓団でそんなことがあったなんて、でもあり得ることだと感じた。これ読むと、従軍慰安婦は確かに存在したのだろうと思う。
ソ連軍から女性兵の笑い声が聞こえた、と書かれているところがあり、同じ性でも立場が違うと人の痛みに鈍感、冷淡になれる、想像力の欠如にゾッとする。いや、ここで男の立場に立たないと自分が逆...続きを読むPosted by ブクログ -
アジア・太平洋戦争では、日本の貧困や飢餓から村をあげて旧満州への移民政策が推し進められた。移民政策と同時に現地に住む中国人の住居を接収し、日本人に追い出された多くの中国人が困窮した。敗戦と同時に、中国人はかつて日本人が行ったとおり、日本人への略奪や暴行があいつだ。加えてソ連軍の進行で、帰国もできず...続きを読むPosted by ブクログ
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このことは前から知っていた。その時はソ連兵が酷いと思った。もちろんそうだけど日本の男も帰ってからの周りの日本人も酷い。(残念だー。語彙力)日本人はこんな事があったと知っておかなければいけないよな。Posted by ブクログ
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敗戦後、当時の日本の傀儡国であった満州から、開拓移民団が引き揚げる際のノンフィクションと、その後の引き揚げ者からの聞き取りルポが中心。
1929年から約2年続いた世界恐慌の影響と人口飽和、耕地不足と言う問題解決のため、満州開拓移民の必要性が一部農学者から強く説かれ、それが関東軍の思惑と一致して、組...続きを読むPosted by ブクログ -
真実の前では言葉はあまりにも空疎だ。なのでコメントは差し控える。歴史の片隅で忘れ去られることが必定の事実を後世に書き残すことがどれだけ偉大な仕事か、改めて考えさせられる。第三次世界大戦の扉が開かれるかもしれないこのタイミングで、殺し合いとは別の戦争の悲惨さを追体験しておくことは無意味ではない。Posted by ブクログ
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この本を読むまでは
「体が産めない状況なら、何も無理に母にならなくても良いのではないか?」
と考えていた。子供は生まれればおしまいでは無い。最近はせっかく生まれたのに、幸せになれない子供のニュースが溢れている。
この作品で、欲しくても授からない女性の気持ちや葛藤を知り、そうまでして授かったならば、き...続きを読む -
中国残留孤児のノンフィクションがとても良かったため、同じ著者の本を読んでみた。
著者は中国残留孤児の取材をする中でソ連兵への性接待を知るに至り、この一冊にまとめあげた。
戦争という非常時に略奪、強姦はつきものとはいえ、味方であるはずの日本人男性が自分達が助かりたいがために進んで女性を接待に差し出し...続きを読むPosted by ブクログ