斎藤数衛のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
カーの作品を読むのは18作品目だが、読後の印象がとても良く、個人的にはカーのベスト5に入れたい作品。
川沿いに建つ塔で起こった不可能犯罪の殺人事件1件と、その6年後に起こった殺人未遂事件1件。作者らしい不可能犯罪や、オカルト趣味の「空飛ぶ吸血鬼」の話を織り込んではいるが、どちらも比較的地味な内容。しかしながら、作中人物の人物造形や、ラブロマンスを織り込んだストーリー展開、登場人物の心理分析がすばらしい。とりわけ、行く先々で悲劇をもたらす、妖しく儚げなヒロインのフェイ・シートンが魅力的。
派手さはないし、すごいトリックが使われているわけでもないが、フェル博士の真相説明を読むと、様々な手掛かり -
Posted by ブクログ
ネタバレ5-
導入部はやや唐突で、何が起こっているのか、何が起ころうとしているのかを把握するのに苦労させられる。何だかよくわからないまま、結局はリゴー教授の“6年前の事件の話”に引き込まれざるを得なくなるのだが、それはそれで良いのかもしれない。何しろそれ以降は、著者の卓越したストーリーテリングで、最後まで目が離せないことになる。真相が明かされるシーンでは、バラバラになっていたピースが、ピタピタとはまり込んでいく様が目に浮かぶようで、感嘆するほかない。
トリックについても、過去の事件の真相についてはさして驚きはないが、現在の事件の方は“おお、なるほど!”と膝を打つほどで、とても感心させられる。
吸 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最近のカーやたら面白いなあ。アイデア命のミステリー作品なのにシリーズ中盤からエンジンかかっていくって珍しいんじゃね。
殺人クラブに招かれたマイルズは、主賓の大学教授から6年前に古塔の頂で起こった不可解な刺殺事件の話を聞く。犯行時間にその塔には誰も入った者がおらず、塔の死角から上空20mをよじ登ることも不可能。動機を持つ容疑者として真っ先に浮かび上がったのが被害者の息子の婚約者フェイ・シートンだった…
【ネタバレ】
マイルズはフェイ・シートンを司書として迎え入れると、同じ家にいた妹マリオンが「囁く何者か」への恐怖で心肺停止する事件が起こり…と徐々に十八番の怪奇性が増していく。戦争が影を -
購入済み
面白かった
犯人は消去法でなんとなく予想はできるが、
動機と手段はまったくわからなかった。
嘘をついてなくても事実とは限らない証言やらなにやら。
つくづく自分には人を見る目がないなと思いました。
-
Posted by ブクログ
ネタバレフェル博士シリーズ
雇い主であるミルドレット・テイラー夫人を毒殺したとして裁判にかけられる被害者の秘書ジョイス・エリス。彼女の弁護を請け負ったパトリック・バトラー。使用されたアンチモンの出所の謎。バトラーの弁護で無罪判決を受けたジョイス。リチャード・レンショーの毒殺事件。容疑をかけられた妻のルシア。ルシアの依頼で事件の真相を探るバトラー。離婚の為にルシアが雇った探偵が襲われる事件に注目し探偵社を訪れるバトラー。バトラーに証言をした直後に何者かに絞殺された探偵社社長ルーク・パースンズ。バトラーの周囲で動く金歯の男の謎。レンショーがボスとなっていた悪魔崇拝教団内部の権力闘争。フェル博士の導きで事 -
Posted by ブクログ
ネタバレ序盤は毒殺の罪で逮捕された無実の女性を救う王道の法廷ミステリー。弁護士である冷笑系・ナルシスト・自己中心的で自惚れの激しい弁護士・バトラー(情にアツい一面もある!)が主人公である。その女性にしか機会のなかった殺人事件を、バトラーの機転で無罪判決を勝ち取る。
ここまでは文句なしに面白い。二つ目の事件でもバトラーは第一容疑者の別の女性の潔白を証明しようとする。フェル博士が登場し、なにやら事件の背景には悪魔崇拝教団が深く関わっているという展開に…ごろつきや教団達とのバトル描写で露骨に失速。
典型的な竜頭蛇尾作品で星2が妥当だと思っていたところ、終盤に物語は急展開を迎えて、竜頭蛇体竜尾となる。
【完