土屋惠一郎のレビュー一覧
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宮本武蔵『五輪書』の100分で名著があまりに面白かったので、流れで買って長らく積読にされていたのをようやく読んだ。『風姿花伝』をもっと読み込んだ内容を期待していただけに、個人的には、微妙だった。冒頭、「マーケットを生き抜く戦略論」として読めるとして、ドラッカーの『マネジメント』にも書いてあることが600年以上昔の『風姿花伝』にも書いてあるということが言われているが、書いてあることが同じなら、『マネジメント』を読むかなと思う。現代を生き抜く知恵ではなくて、現代が完全に失ってしまった「能楽論」として読んでほしかった。
それでもやはり、内容として面白い部分はある。「初心忘るべからず」の解釈なんか、 -
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ネタバレ『風姿花伝』には、能役者としての稽古の積み方や年の重ね方が、一つのシステムとして極めて具体的に書かれています。その背景に私は、「才能はありのままに任せればよいのではない。才能は作られるものだ」という世阿弥の信念を見ます。
天性の才能というものはもちろんあるでしょう。世阿弥もそれを認めていました。しかし一方で、努力することでつくられる才能もある。正しく稽古すれば才能は開花する。そう世阿弥は書いていました。
このことを思うと、近代の小説家正宗白鳥の逸話をいつも思い出します。白鳥はある編集者に小説家になるようにすすめます。その編集者は、「才能がないので」と答えました。白鳥はそれに対して「才能なん -
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世阿弥が、能の変換期に属した人間だったために、風姿花伝が必要だったということが面白かった。
それまでの神社に属する、年功序列的な価値観ではなく、貴族にいかに気に入られるかの人気商売であり、なおかつ実力のあるものが評価される、その不安定な時代に、生き抜くために、自分の子孫のための秘伝の書(ある意味今の日本の年功序列がくずれ、実力主義に変化してきている(将来が保障されない)サラリーマンにたいするノウハウ本のようなもの)と解釈すると面白かった。
実際この本では、シュンペーターやドラッカーなどを引き合いにだし、当時のイノベーションを起こしたという解釈をしている。
また、能を新たに作る際に、複式夢幻能 -
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■珍しきが花
・「花=おもしろさ=珍しさ」は同じこと
・住する所なきを、まず花と知るべし
→常に更新し続けろ。自分の成功体験を再現しようと思うな。
・古い文学作品を能の「舞台」で演じた。これは当時の日本では革命だった。
・能に「夢」と「旅」のパターンを取り入れた。
■初心
・時分(一瞬)の花、まことの花
7歳:型にはめず、のびのびと(自分のコピーを作るな。子供の個性を引き出せ)
12・13歳:存在自体が花。しかし時分の花。
17・18歳:最初の難関(声変わりとか)
24・25歳:初心(声も安定し、体も安定する)
・初心忘るべからず
3つある。「是非」「時時」「老後」
老後の