西川恵のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
1.この本を一言で表すと?
皇室外交の中身と役割と背景を解説した本。
2.よかった点を3~5つ
・ オランダ、英国の反日感情
日本の新聞は「青年時代に大きな影響を受けた欧州各国を再訪する〝センチメンタルジャーニー〟」と位置づけた。「戦争体験者の反日感情に対する目配りはなかった」。日本のマスコミのレベルを痛感した。
陛下とエリザベス女王とのスピーチは食い違い「戦争にいささかも触れなかった昭和天皇」に英国では批判が起こる。お言葉が外交上、とても重要なのがわかった。
皇室の海外訪問によって関係を修復・向上させるケースがあることを初めて知った。
・皇室主催の晩餐会がフランス料理で、ワインもフランスの最高級のものを供する理由
どの国に対しても最高のおもてなしをするというポリシーがあるとは知らなかった。
・天皇とフランスの元首相との会話
90年代初頭に元首相が「日本は技術と経済で世界を席巻します」と言ったことに対して、
「いや国の基本は地方の豊かさです。貴国は国の基本を備えておられる」と答えた。今上天皇の教養深さ、本質を見抜く力に驚いた。
・「長く一貫した系統を保持している皇室は、日本にとって最高の外交資産」
国際社会から多くの敬意を集めているというのは知らなかった。
2.参考にならなかった所(つっこみ所)
・ 特になし
3.実践してみようとおもうこと
・特になし
5.全体の感想・その他
・天皇制を考える上で、非常に役に立つ本だと思う。
・皇室外交と政府外交を使い分けられ日本の今の制度は絶対残すべきだと思う。
・日本のメディアの国際感覚の欠如はなんとかならないかと思った。 -
Posted by ブクログ
皇室に外交はない筈だが、実際は国際社会における日本国にとって大きな役割を果たして来たということが分かる本。
戦後オランダとイギリスは反日感情が強かったことさえすっかり忘れてしまっていたが、すっかり忘れられていたのは皇室外交のお蔭とも言える。
「インドネシアの占領中、オランダの婦女子を含む約9万人の民間人と、約4万人の戦争捕虜と軍属が強制収容所に収容されたが、死亡率は約17%に上り、これはシベリア抑留で亡くなった日本人捕虜の死亡率約12%より高い。」
「日本軍の捕虜になった英軍将兵の死亡率が25%なのに対して、ドイツ軍の捕虜になった英軍将兵のそれは5%と言われている。」
今同じ状況になっても同じぐらいの死亡率を叩き出しそうで恐ろしい。
昔から「皇室別に要らなくない?」と思っていたが、少なくとも日本国にとって必要かつ重要であることは理解した。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ天皇制は便利だなー。外交関係が柔らかくなるのって、とっても大事。ノブレスオブリージュはあり続けるべきである。
政治家や政府外交官だけが外交をすればいいのか。そんなことをしたら、即物的で、利害関係しか追究しない外交戦略ばかりになるんじゃないか。そんなスケベな国は国際関係上、好意を持たれるわけがない。
日本は政治から独立した皇室がある。そのおかげで、政治とはワンクッション置いた外交ができる。そのおかげで、温和な外交交渉ができてきた。そういう実績がある。
日本が第二次大戦の太平洋戦争で犯した失敗を償って、補償するという困難な外交も、皇室外交があったからうまくいっただろう。そうでなければ、うまい汁だけ吸われて、日本なんて干からびていたんじゃあないか。
民主主義のくそなところは、下等な賤民が政治に口出しして権利を主張しすぎるところである。そのポピュリズムに迎合して、政治に高貴さが亡くなれば、社会倫理は崩壊し始め、国家は崩れていくだろう。
日本は、天皇というノブレスオブリージュの象徴があったから、高貴さを保ってきたところもあると思う。そういう意味で、天皇家には感謝しきれない。
皇室の存在の是非を問う人間がいるが、そんなことより、皇室が2000年以上存続し続けたことに感謝すべきである。
そういうことができない、正義に固執する人がいるんだろうけれど、そういう人が国を亡ぼすんだよなぁ…。
もっと粋を大事にしてほしい。
そうすれば、天皇家のありがたみもわかるだろう。
-
Posted by ブクログ
本書では饗宴の意味を「料理、それと組み合わせたワインやシャンパンなどの飲物。ホストとゲストのスピーチ。テーブルでの話題。食後の室内楽や独唱会などの演出。儀礼やしきたりといったプロトコール(儀典)……。饗宴とは、このもてなし全体のことを指している」(p.1)と説明している。饗宴とは、各分担者の「協演」を統合したものともいえるかもしれない。各饗宴の事例を紹介し、表された演出と背景にある意図を解説し、一つの本にまとめた意義は大きい。その演出の方針は普遍化・個別化してきたという。これがグローバル化の影響だとすれば、国というレベルでなく、法人や個人同士の饗宴をアレンジし、解釈する際も承知しておくべきことなのかもしれない。必要なのことは、料理、ワイン、文章・会話、音楽、作法等について熟達し、実践できることと理解した。これが「教養」なのだろう。