山本理顕のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ハーバーマス「公共性の構造転換」を建築の視点から探る名著。ややイデオロギー的な前のめり(偏向?)を感じないでもないが、人と人とがつながる、真の意味で豊かな地域づくりを考える上で、有効な指摘だと思う。
公的領域と私的領域の境界となる「閾」(しきい)という空間概念を導入することで、1住宅=1家族とする近代の労働者住宅を批判的にとらえる。プライバシーの保たれた空間とは、実は世界を共有している感覚の喪失、他者を招き入れない空間である。これは「官僚制的支配の空間化」(p164)というわけだ。
宮台真司氏の「システム化と空洞化」につうじる視点だ。じゃあどうすれば?
著者が推奨するのが「地域社会圏」と