里崎智也のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
◉前説…
著者は千葉ロッテマリーンズの正捕手として、チームを2度の日本一に導き、第1回WBC優勝時の正捕手。
僕はプロ野球を49年間タイガースを通してしか見ておらず、同一リーグならまだしもパリーグの捕手となると、その存在は知っていても力量を語れるほどの知識はなく、本書奥付のプロフィールを読んで驚いたのは、千試合以上出場した捕手として捕逸は現役16年でわずか19個という仰天の記録保持者。落ちる球全盛期にこの少なさ。梅ちゃんのキャッチングの巧さに目を細めてるどころじゃないですな。上には上がおられます。
そんな堅守好打の捕手だっただけに、僕はタイトルから捕手のひとつのスキルであるリード〈インサイドワーク〉ばかりを偏重する風潮への反論と、試合となれば第二の監督である捕手経験から導いたシンプル思考を述べたものかと思い込んでいた。
◉かいつまんで…
もちろん捕手論についても触れてはいるが、ページの大半を費やして語るのは『お金』について。
それは〈はじめに〉にある衝撃の一文から始まる。プロ16年間の現役時代に稼いだお金は13億。入団時の契約金には手をつけておらず、入団1年目から定期預金口座を開設し、蓄えは十分にある。引退後の人生は安泰そのもの…。
本文ではその安泰に至るまでを語り尽くす。一言で言えば、『我が人生においての一丁目一番地はお金』と言い切り、現在の〈お金と仕事に困らずゴキゲンな生き方〉ぶりを自身の来し方を交え詳説。
例えば…
プロ入り後は4:4:2の法則〈税金4・貯蓄4・自由2〉に従いお金を管理。プロ野球志望であったが、それが果たせなかったことも想定し教員免許を取得。ドラフトに臨んでは、1軍の試合に出来るだけ早く出場できる球団という視点のみで逆指名制度を使い、当時最弱球団のロッテを指名。指導者の道は自身の描くセカンドキャリアにはなし。理由は儲からないから。1軍コーチでさえ薄給であり、結果が出なければ即クビ。リスキーな割には儲からない。必死こいて猟官活動をしているOBが数多いるというのに、この可愛げの無さ。
◉私見…
ページを繰りながらある既視感を抱いた。ホリエモンやひろゆき氏の一連の思考と相通じる、しがらみとか慣習や通念を一蹴する、直線ベクトル思考。それが元プロ野球選手ってところが興味深い。
指導者にも飲食店開業にも関心はなく、解説では遠慮会釈のない解説、YouTubeチャンネル『Satozaki Channel』ではゲストに頼らない独自コンテンツを念頭に制作、引退後の大物プロ野球選手がこぞって立上げ、懐メロ&裏話一辺倒のYouTubeとは一線を画し、独自路線を歩む。
本書は一貫して、著者の『一丁目一番地』について微に入り細に入りあけすけに語られます。まぁ、ここまで語られると、嫌味を通り越して清々しささえ覚えます。
同時に『アリギリス』という懐かしい俗語を想起。若くして高額年俸を手にし浮かれるわけでなく、入団時からセカンドキャリアを明確に思い描き、日本の公道でそんな車買ってどうすんねん!とツッコミ入れたくなる環境下でひたすら&せっせと『先立つもの』の蓄えに励む。それをやり遂げた強靭な意志と精神力。まさしくアリギリス。感心と畏怖と呆れが入り混じった読後感が揺蕩ってます。
還暦目前の年金がどうのこうの気にするおっさんが読むより、これから社会に出ていく若いが読むべき一冊ですな。 -
Posted by ブクログ
野球の本で言えば、ここ数年は圧倒的に野村さんが多い。それぞれのテーマも興味深くまた面白いものも多い。ご本人は残念ながらご逝去されてしまったから、もう新しいものは出ないのだろうけど、まだまだ読んでいないものは多い。ただ、野村さんはこう言っては失礼だけど、結構自分愛が顕著なので、この三、四年、いやもしかしたらもうその前からほとんど読んでいない。
この本の里崎さんも、どちらかいうとそういう傾向がありそうだ。だからまぁ江本さんが一方にいるのは良かったように思う。
澤村が今やメジャーで、残念ながら大谷が規格外の活躍をしているからあまり目だたないが、溌剌としているのも、やはりまずはロッテに行けたこと、そしてメジャーの、今いるチームの水があっていたんだということなんだな。巨人を出される時、ほら見ろ言わんこっちゃないって自分は思ったんだけど、この本の話を聞いて、それは間違っていたのかもしれないって気づいた。
ジャイアンツは、そしてセリーグは、単純に言って、そのバランスの良い集合体は、今やパリーグの一芸必殺の集合体に勝てないしそして面白くないんだな。
まぁ、パリーグだって全部が全部そうではないんだろうけれど。