大田俊寛のレビュー一覧
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たわ言である。
本書がたわ言なのではなく、たわ言について書かれた本である。「思想というのは本来的に、一般の人が理解しているよりも、はるかに危険なものです」という著者のインタヴューをネットで見て手に取ってみたのだが、核にあるのはオウム真理教体験である。オウムの行状がどこに由来するのか、思想の面からたぐってみたのが本書であり、それは著者が「霊性進化論」と名付ける思潮を辿ることになる。
名前はよく聞く神智学、これがどういうものか本書でよくわかった。話は神智学から始まる。ブラヴァツキーというロシア生まれの女性が各地を放浪し、様々な宗教思想を取り込んで創りあげたのが神智学。輪廻をはじめ古来の思 -
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「たとえ、預言する賜物を持ち、あらゆる神秘とあらゆる知識に通じていようとも、
たとえ、山を動かすほどの完全や信仰を持っていようとも、愛がなければ、無に等しい。」
(使途パウロのコリント信徒への手紙1 13章)
「スピリチュアルや宗教お断り」とか、苦手だという人が多いのも、
それが往々にして、「ハラスメント」と結びつくようになるからだろう。
それは、反動として人々をまた、無神論・唯物論という過ちへと駆り立てることにもなる。
ちくま新書の『現代オカルトの根源』(大田俊寛)に、「幸福の科学」が取り上げられていたのに驚く。
GLA,オウムも、またスピリチュアルや神智学の影響を受けている。 -
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スピリチュアルもUFOも、ヨーガによる覚醒も、オウム真理教や幸福の科学、そしてそれらの源流となったいくつかの新興宗教の教義も、それら現代に息づくオカルトは、「神智学」という根を持っています。
さらさら読めてしまう新書の範囲内に収まる本ではありますが、それでもそれぞれのオカルトの要所要所をつかんで書かれているので、かなりくわしく読んでいくことができます。しかしながら、荒唐無稽な妄想ともいえるものをたくさん扱っているので、終盤にあたる現代日本の新興宗教までいくと、そうとう疲れてしまいました。
プロローグでオウム真理教の教義に触れているのですが、努力して進歩していこうとする「人間」と快楽におぼれ -
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ネタバレ評価:★★★★☆
もう随分前になるが、グノーシス主義に興味があったことが一時期あって、そのときに大田俊寛の本を買おうとしたことがあった。
その本は彼の処女作にあたるものだったが、既に絶版であり、古本でもちょっと高価だったので結局手に取らずじまいとなった。
それから時間がたって先日、ニコ生に出演している彼を見たらその話がとても面白かったので、著作の中で一番手を出しやすい本書を買ってみた。
本書を読むまでの僕のオウム真理教に関する理解は、「チベット密教をカスタマイズしたもの」という程度だった。
ところが本書によると、どうやら麻原彰晃は、チベット密教から直に影響を受けたというよりも、カリフ -
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輪廻する霊魂を歴史の果てに進化させ、神の高みへと到達する
そのような大目的のために人が生きるのだとすれば
いま現在あなたが直面する苦境は、あなた個人のものではない
それを乗り越えるための努力は、霊魂の集合知として
回収されるだろう
だからあなたの生には意味があるのだ、という世界観を信じることで
救われる人の心は理解できる
しかし一方、それは安易に選民思想・レイシズムへと
堕するものでもあった
つまり獣欲にのみ忠実な者どもは切り捨てられるべきであると
…ナチスドイツ、オウム真理教、その他多くの先鋭集団が
自分たちこそ「神人」であるとして、それを疑わなかったのである -
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「しかし、はたしてわれわれは、その思想を一笑に付して済ますことが許されるだろうか。それもまた、余りに一面的な短見と言わなければならないだろう。なぜなら、宗教と科学のあいだに開いた亀裂、すなわち、科学的世界観や物質主義的価値観のみで社会を持続的に運営することが本当に可能なのか、長い歴史において人間の生を支え続けた過去の宗教的遺産を今日どのように継承するべきかといった、霊性進化論を生み出す要因となった問題は、根本的な解を示されないまま、今もなおわれわれの眼前に差し向けられているからである」 ー 245ページ
科学主義に対応するかたちで神秘主義が隆盛を極め、そしてその極端なかたちのものが出てきてし -
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なんでこんなん信じるんだ,という話だが,魅力的なんだろうな。人間は霊的に進化し続ける。で,堕落する獣人と高みへ歩む神人に別れてゆく。自分は選ばれし者。あいつらは愚かにも真理に気付かず動物化していくのだ。何とも排他的,自己陶酔的,被害妄想的なことである。
そういう霊性進化論の潮流を,19世紀末からの神智学,反ユダヤ主義・アーリア人種至上主義,戦後にポップ化されたニューエイジ系諸思想(超古代史,UFO・宇宙考古学,マヤ暦,爬虫類人陰謀論)を経て,日本のオウム真理教,幸福の科学までざあーっと見ていく。前半はあまり馴染みがないが,後半はなかなか面白く読めた。 -
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現代オカルティズムの根源である霊性進化論は、伝統的宗教世界を根底から否定するダーウィニズムのカウンターとして生まれたものだという自説に基づき、そこから現代に至るまでの霊性進化論の歩みを論じている。霊性進化論は心霊主義や神智学となり、さらにそこからさまざまに枝分かれしつつ多様なオカルティズムを生んだ。ある主義は持論を裏付けるために科学的根拠を提示しようとしたりと、もう矛盾もへったくれもなくなっていくところがまたおもしろい。一方で、それは世紀の大量殺戮を生んだ恐ろしい歴史でもある。
信じることは、いつか自らの血肉となる。一般にはまったく理解の及ばない、あやうい信仰も、その根源にさかのぼると「自分 -
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ブラヴァツキー夫人に端を発する神智学。その中心的な考え方である「霊性進化論」がどのように現代まで受け継がれていったのかを紐解いている。様々なものを吸収しながらも現在まで途絶えることなくその考えが受け継がれていることに驚きを禁じ得ない。
複雑に入り組んだ神智学の系譜を丁寧に説明していて分かりやすく、神智学の入門書といっても良い内容となっていた。
しかし同時に危うさも感じた。それはこれまでオカルト方面に触れて来なかった、つまりオカルトに免疫のない人が本書を読むことによって神智学にのめり込んでしまうのではないか、という危惧である。社会に対する不満や批判に対する答えが神智学の起源でもある。今、社 -
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高次の存在からの指導の下、輪廻転生の中で己の魂を高みへと引き上げる。悪しき存在の誘惑にもかかわらず人類皆が高みへ登ればそこにユートピアが誕生する。
このように人間の魂は進化・成長し高次の存在となることができるという「霊性進化論」の考え方は19世紀後半「神智学」を展開したブラヴァッキー夫人にまで遡ることができ、
それは当時の社会状況グローバル化や進化論に影響を受けて誕生したものだった。
そこから時代を経てUFOや爬虫類異星人、フリーメーソンの陰謀などの要素を取り込みながら現在の新興宗教やオカルトの中にその命脈を保っている。
著者曰く、この霊性進化論はこれまでの歴史から生産的ではないというこ