大田俊寛のレビュー一覧

  • 現代オカルトの根源

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     たわ言である。

     本書がたわ言なのではなく、たわ言について書かれた本である。「思想というのは本来的に、一般の人が理解しているよりも、はるかに危険なものです」という著者のインタヴューをネットで見て手に取ってみたのだが、核にあるのはオウム真理教体験である。オウムの行状がどこに由来するのか、思想の面からたぐってみたのが本書であり、それは著者が「霊性進化論」と名付ける思潮を辿ることになる。

     名前はよく聞く神智学、これがどういうものか本書でよくわかった。話は神智学から始まる。ブラヴァツキーというロシア生まれの女性が各地を放浪し、様々な宗教思想を取り込んで創りあげたのが神智学。輪廻をはじめ古来の思

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    2016年02月18日
  • 現代オカルトの根源

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    「たとえ、預言する賜物を持ち、あらゆる神秘とあらゆる知識に通じていようとも、
    たとえ、山を動かすほどの完全や信仰を持っていようとも、愛がなければ、無に等しい。」
    (使途パウロのコリント信徒への手紙1 13章)



    「スピリチュアルや宗教お断り」とか、苦手だという人が多いのも、
    それが往々にして、「ハラスメント」と結びつくようになるからだろう。

    それは、反動として人々をまた、無神論・唯物論という過ちへと駆り立てることにもなる。


    ちくま新書の『現代オカルトの根源』(大田俊寛)に、「幸福の科学」が取り上げられていたのに驚く。

    GLA,オウムも、またスピリチュアルや神智学の影響を受けている。

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    2013年09月30日
  • 現代オカルトの根源

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    スピリチュアルもUFOも、ヨーガによる覚醒も、オウム真理教や幸福の科学、そしてそれらの源流となったいくつかの新興宗教の教義も、それら現代に息づくオカルトは、「神智学」という根を持っています。

    さらさら読めてしまう新書の範囲内に収まる本ではありますが、それでもそれぞれのオカルトの要所要所をつかんで書かれているので、かなりくわしく読んでいくことができます。しかしながら、荒唐無稽な妄想ともいえるものをたくさん扱っているので、終盤にあたる現代日本の新興宗教までいくと、そうとう疲れてしまいました。

    プロローグでオウム真理教の教義に触れているのですが、努力して進歩していこうとする「人間」と快楽におぼれ

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    2023年12月05日
  • 一神教全史 上 ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の起源と興亡

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    「共同体を作り上げるために必要とされるフィクション」である宗教の通史。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教を扱う。こうなると、ほぼほぼ中東・欧州・米国の通史を手掛けるのと同じことになり情報量がたいへん。それでも近代へと続く見取り図をしっかり示してくれている感じ。同年代の研究者なので感覚が近いのかも。

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    2023年10月01日
  • 一神教全史 下 中世社会の終焉と近代国家の誕生

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     いゃ〜結構辛かったけど、読み終えた。一神教の全体がわかっていないから、我々は世の中がわからないのだと改めてわかった。特に日本は正当な仕方で近代化していないという指摘はもっともだと思う

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    2023年08月20日
  • 一神教全史 上 ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の起源と興亡

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     このテーマでよく纏まっている。ユダヤ教からキリスト教そしてイスラム教という流れがよくわかる本である。

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    2023年06月27日
  • 現代オカルトの根源

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    進化論の登場によって迷信と化して行き場を失った古来よりの宗教的心性を持つ者が、その進化論を取り込んで新たに作り出したのが神智学であり、軸となる考えが霊性進化論だという。霊性進化論そのものが、次々現れるオカルティストに引き継がれては古今東西のありとあらゆるオカルト的なものを引き寄せては取り込む霊的存在そのものに思える。SF作品によく登場する高次元生命体のプロットもこの霊性進化論をヒントにしているのだろう。

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    2019年01月04日
  • 現代オカルトの根源

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    現代オカルトの根源というタイトルそのままの内容。これらを霊性進化論の諸相という観点で総ざらいしている。オカルトに対して引いて引いての視点。ひとつの見識としてある話だと思う。少なくとも、こういう視点を持つことは大事。高級低級の二元論から階級志向といような話については、そういう性格をこれらに見出すことはできるかもしれないけど個人的にはちょっと違和感があるかな。とはいえ面白い一冊だった。

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    2017年12月18日
  • 現代オカルトの根源

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    ネタバレ

    評価:★★★★☆

    もう随分前になるが、グノーシス主義に興味があったことが一時期あって、そのときに大田俊寛の本を買おうとしたことがあった。

    その本は彼の処女作にあたるものだったが、既に絶版であり、古本でもちょっと高価だったので結局手に取らずじまいとなった。

    それから時間がたって先日、ニコ生に出演している彼を見たらその話がとても面白かったので、著作の中で一番手を出しやすい本書を買ってみた。

    本書を読むまでの僕のオウム真理教に関する理解は、「チベット密教をカスタマイズしたもの」という程度だった。

    ところが本書によると、どうやら麻原彰晃は、チベット密教から直に影響を受けたというよりも、カリフ

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    2015年11月12日
  • 現代オカルトの根源

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    輪廻する霊魂を歴史の果てに進化させ、神の高みへと到達する
    そのような大目的のために人が生きるのだとすれば
    いま現在あなたが直面する苦境は、あなた個人のものではない
    それを乗り越えるための努力は、霊魂の集合知として
    回収されるだろう
    だからあなたの生には意味があるのだ、という世界観を信じることで
    救われる人の心は理解できる
    しかし一方、それは安易に選民思想・レイシズムへと
    堕するものでもあった
    つまり獣欲にのみ忠実な者どもは切り捨てられるべきであると
    …ナチスドイツ、オウム真理教、その他多くの先鋭集団が
    自分たちこそ「神人」であるとして、それを疑わなかったのである

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    2015年08月31日
  • 現代オカルトの根源

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    「しかし、はたしてわれわれは、その思想を一笑に付して済ますことが許されるだろうか。それもまた、余りに一面的な短見と言わなければならないだろう。なぜなら、宗教と科学のあいだに開いた亀裂、すなわち、科学的世界観や物質主義的価値観のみで社会を持続的に運営することが本当に可能なのか、長い歴史において人間の生を支え続けた過去の宗教的遺産を今日どのように継承するべきかといった、霊性進化論を生み出す要因となった問題は、根本的な解を示されないまま、今もなおわれわれの眼前に差し向けられているからである」 ー 245ページ

    科学主義に対応するかたちで神秘主義が隆盛を極め、そしてその極端なかたちのものが出てきてし

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    2013年11月26日
  • 現代オカルトの根源

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    なんでこんなん信じるんだ,という話だが,魅力的なんだろうな。人間は霊的に進化し続ける。で,堕落する獣人と高みへ歩む神人に別れてゆく。自分は選ばれし者。あいつらは愚かにも真理に気付かず動物化していくのだ。何とも排他的,自己陶酔的,被害妄想的なことである。
    そういう霊性進化論の潮流を,19世紀末からの神智学,反ユダヤ主義・アーリア人種至上主義,戦後にポップ化されたニューエイジ系諸思想(超古代史,UFO・宇宙考古学,マヤ暦,爬虫類人陰謀論)を経て,日本のオウム真理教,幸福の科学までざあーっと見ていく。前半はあまり馴染みがないが,後半はなかなか面白く読めた。

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    2013年08月28日
  • 現代オカルトの根源

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    読めるところだけサラッと読んだだけなのですが
    トンデモ世界を一笑に付すだけに終わらせず
    専門家によるしっかりとしたチェックはYはっぱり必要なんだなあ~と。

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    2013年08月05日
  • 現代オカルトの根源

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    現代オカルティズムの根源である霊性進化論は、伝統的宗教世界を根底から否定するダーウィニズムのカウンターとして生まれたものだという自説に基づき、そこから現代に至るまでの霊性進化論の歩みを論じている。霊性進化論は心霊主義や神智学となり、さらにそこからさまざまに枝分かれしつつ多様なオカルティズムを生んだ。ある主義は持論を裏付けるために科学的根拠を提示しようとしたりと、もう矛盾もへったくれもなくなっていくところがまたおもしろい。一方で、それは世紀の大量殺戮を生んだ恐ろしい歴史でもある。

    信じることは、いつか自らの血肉となる。一般にはまったく理解の及ばない、あやうい信仰も、その根源にさかのぼると「自分

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    2013年08月04日
  • 現代オカルトの根源

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     ブラヴァツキー夫人に端を発する神智学。その中心的な考え方である「霊性進化論」がどのように現代まで受け継がれていったのかを紐解いている。様々なものを吸収しながらも現在まで途絶えることなくその考えが受け継がれていることに驚きを禁じ得ない。
     複雑に入り組んだ神智学の系譜を丁寧に説明していて分かりやすく、神智学の入門書といっても良い内容となっていた。
     しかし同時に危うさも感じた。それはこれまでオカルト方面に触れて来なかった、つまりオカルトに免疫のない人が本書を読むことによって神智学にのめり込んでしまうのではないか、という危惧である。社会に対する不満や批判に対する答えが神智学の起源でもある。今、社

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    2013年07月26日
  • 現代オカルトの根源

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    高次の存在からの指導の下、輪廻転生の中で己の魂を高みへと引き上げる。悪しき存在の誘惑にもかかわらず人類皆が高みへ登ればそこにユートピアが誕生する。

    このように人間の魂は進化・成長し高次の存在となることができるという「霊性進化論」の考え方は19世紀後半「神智学」を展開したブラヴァッキー夫人にまで遡ることができ、
    それは当時の社会状況グローバル化や進化論に影響を受けて誕生したものだった。

    そこから時代を経てUFOや爬虫類異星人、フリーメーソンの陰謀などの要素を取り込みながら現在の新興宗教やオカルトの中にその命脈を保っている。

    著者曰く、この霊性進化論はこれまでの歴史から生産的ではないというこ

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    2017年06月25日