添田孝史のレビュー一覧
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あの大震災から15年近くが過ぎ、岩手や宮城では徐々に復興しつつあるように見えるが、フクシマでは復興の足音はまだまだ聞こえない状況にあるように思う。おそらく今後20年30年経っても事故以前の生活に戻れない地域が、かなりの部分取り残されるのだろう。
本書ではこの原発事故が何故起こってしまったのかを、緻密な独自取材と裁判の傍聴記録から紐解き明らかにしている。大変な労作だと思う。
個人的には、事故当初の「想定外」なる言葉に「そりゃそうだろうな」と安易に同調してる自分がいたが、様々な事が詳らかになるにつれて、騙されている感が強くなり、本書を読んでさらにその感を強めるにいたった。
東電と国は2002 -
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いい本だ。ジャーナリズムとは、権力やエライヤツの嘘を暴くことだ。朝日新聞にいては、本当のことが伝えられないと思ってやめたのだと思う。朝日新聞の劣化はひどいと思う。
福島の地震・津波と原発メルトダウンについては、私はその当時中国の雲南省昆明市にいて、映像をネットで見て衝撃を受けた。そして、あまり情報がなかった。こうやって、10年経って本を読んでみるといろんなことがわかってきた。私の知識の範囲内では、非常用発電機が地下にあること自体、津波で浸水したら一巻の終わりで、明らかに設計ミスだと思っていた。そして、「想定外」ということを言われれば、なるほどそういう言い訳が通用するのかと漫然と思っていた。 -
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福島第一原子力発電所の過酷事故は想定外の津波が原因だった。
事故以降の東京電力の言い分だ。津波以前に、地震で配管の
一部が損傷していたのではないかとの疑問は解明されていない。
そもそも、川に面し津波の心配のないアメリカ型の原子炉を
そのまま日本に持って来たことが第一の誤りだと思うのだけ
れどね、私は。
だって、あれだけ海のそばに建つ原子力発電所の非常用発電
装置が地下にあるってことがおかしいだろう。
そういった基本的で個人的な疑問は置くとして、では東日本
大震災で発生した大津波は本当に「想定外」だったのかを
検証したのが本書である。
東日本大震災後、貞観津波が各メディアによって取り上げ -
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福島の原発を襲った津波は「想定外」などでは全くなく、東京電力は、全電源喪失もメルトダウンも十分起こりうる可能性として把握していたこと、そうでありながら全力を挙げて無視していたことを、明瞭に証明している本です。
本書は結果として原発を認めない論調になっていますが、著者は初めから原発をすべて否定していたわけではありません。 著者は本書執筆まではある程度の再稼働はやむを得ないと考えていて、福島とほぼ同じ13メートルの津波が押し寄せた東北電力女川原発が、大津波対策をとっていたおかげで被害が小さく、翌日には冷温停止に至ったことを評価しています。
しかし様々な事実がわかるにつれ、原発を否定せざる -
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元朝日新聞記者で、福島原発事故発生時から原発事故を追い続けフリーとなったジャーナリストが、原発事故発生から10年の間に明らかになった事実に基づいて、何があったかを明らかにしようと試みる。
常に経済的利益のみを追求し、様々な戦略を駆使して、必要な事故対策を怠ってきた東京電力と、やはり経済の論理に支配される権力者に阿ることによって、事業者の監督を怠り、規制を捻じ曲げてきた国家の罪は非常に大きい。そして、福島原発事故は、防げた災害であった。
いまも安全性よりも企業の利益を優先し、ルールを捻じ曲げ、経済的合理性が疑われると温暖化という切り札を持ち出しながら、原発の推進を図る原子力ムラの行動を野放し -
Posted by ブクログ
東電は「責任がない」を繰り返してきたけど、正確には「責任感がない」んだな。
2014年8月 福島地裁 事故当時福島県内在住の親子らが子どもたちに無用な被爆をさせた責任を国や県に問う栽培
→福島の子どもに広く超音波検査を行ったことで、治療の必要なガンが見つかった子どもたちがいる。
そのうちの約200名の子どもたちの手術を行った鈴木眞一福島医大教授は、そのほとんどすべては手術が必要なガンだったと2020年2月14日に福島地裁の証言台で証言している。
過剰診断のために偽陽性のガンがたくさん発見されて、かえって子どもたちに負担がかかっているなら超音波検査の是非を問わなきゃいけなくなる。
でも治療の