林景一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
著者は2011年から2016年まで駐英大使を務めた外交官。在任中にイギリスが盛り上がったイギリスのEU離脱の国民投票。当時英国の最前線で成り行きを見ていた観察眼は目を見張る。
非常に面白い視点はイギリスの与党保守党を、「介入からの自由」を「保守」するという支点。EU離脱もEUが連邦化するのに拒否を示した表れではないかと解説する。
言われてみると英国は日和見主義/現状維持というかは、自分に不利益なことに対して迎合せずにしたたかに抗する頑固さがあるような気もする。また時流に対する敏捷性もしたたか。例えばロシアのウクライナ侵攻に際し真っ先にウクライナ支援を表明したのは当時のジョンソン首相。EU離脱の -
Posted by ブクログ
日本とアイルランド?関係なさそうじゃん。と思っていたけど、間違っていた。確かに似ているところ、見習うところ多いです。特にイギリスとの関係ね。というか、近隣の仲の悪い国とどう付き合うか、というところ。
アイルランドの移民が世界に与える影響も想像以上に大きい。McとかO'とかアイルランド系なわけか。ほぉ。
「和解とは被害者がカタルシスを得るプロセス」
カタルシス:精神的浄化や鬱屈した心の解消や癒やし
ウイスキーはwhiskyとwhiskeyの2種類があり、whiskyとつづるスコットランド産の安いウィスキーが横行したときに、アイルランド産の業者が自分たちの製品が良質であることを示すた -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
アイルランドからアメリカ、イギリス、日本を考える。
資源小国としての大いなる生き方。
最貧国から世界有数の豊かな国に。
日本の “姿見”としてのアイルランドという国家。
[ 目次 ]
序章 “愛国”大使の私的アイルランド点描(“遠くて小さな国”アイルランド;破綻からの再生、そして繁栄 ほか)
第1章 アイルランドを知ればアメリカが見える(アメリカの歴史に欠かせないアイルランド;アメリカ史に印されたアイルランド移民の足跡 ほか)
第2章 アイルランドがわかればイギリスが見える(イギリス外交とアイルランド;歴史の古さでは、アイルランドはイギリスの上 ほか)
第3章 日本の“姿見”と -
Posted by ブクログ
アイルランドという国の理解に大変役に立つ。
アイルランドを理解すると言うことは、英国やアメリカを理解する糸口になる。
アイルランドと英国の関係を理解することで、日韓、日中外交正常化の糸口も見えてくるのではと、筆者はいう。
少なくとも筆者の「和解とは、被害者がカタルシスを得るプロセス」という言葉には、日本の中国や韓国との向き合い方の参考になるし、それを真っ直ぐに受け止めなければいけないだろう。
ジョン、ポール、ジョージ、ビートルズのリンゴを除く3人もアイルランド系。リバプールはアイルランド移民の多い土地だという。
日本に国歌という考え方を教えた人も、小泉八雲もアイルランド系らしい。
明治維新の日 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「きわめてオープンな金融政策」
雇用優先。
自動車業界に英国資本の会社はなくなった。
中国製の原子炉。通信インフラも中国ファーウェイ。
アメリカに対抗するための中国の窓口。
「強み」
EU離脱しても、国としてのビジネス環境の強み(開放性、労働力、安定した制度、20%の低法人税、法律会計インフラ、英語)と高生活水準から総合評価される。
「3つの格差」
地域格差、産業格差、個人格差
負け組へのフラストレーション感情がEU離脱に向かった。
「米国の変化に伴う日英協調」
国防費GDP2%、政府開発援助GNI比0.7%。
(日本は各1%、0.2%)
-
Posted by ブクログ
日本とアイルランドの共通点。
資源のない島国
移民政策によるサバイバル
英米両国との近さと独自文化の誇り
古い文化への誇り
弱きを助ける正義感
ー見返りなしのODA、アパルトヘイトへの強固な対応
国際機関でも国のサイズに見合わない存在感
開かれた社会:移民受け入れ、流出
アイルランドの課題
ー都市化の進行とインフラ整備の遅れ
ー経済的な歪みの発生
ー家族や宗教の社会基盤の変質
アメリカにおけるアイリッシュ差別、カトリックであることも原因
イギリスとの不仲、選挙権を閉ざされていたからこそ投票率が格段に高い。
警察官や消防士はアイリッシュ系
イギリスとアイルランド問題は日韓問題に似てる。