篠原勝之のレビュー一覧

  • 骨風

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    人生こんなもんかと思ってしまった大人におすすめしたい一冊。読み終わったあとで、瀬戸内の海沿いに立っているあの鉄の塊が著者によって創られたものだと知る。決意は形にできる

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    2021年01月03日
  • 骨風

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    狂い落ちるほど好きになった本。
    山に篭りながら創作活動を続ける年取ったクマさんの周りで起こる、生と死に淡々と向き合う。都心に買い物に行く時などを「シチーに降りる」などという独特な文体が狂おしい程愛おしい。いつまでも健康でいて欲しい。
    舞台化されたが、仕事で行けず、悔やんでいる。

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    2019年02月07日
  • 骨風

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    私小説と言うか、完全なフィクションのよう。
    でも、エッセイでもなく完全な文学作品だ。
    じわじわ響く。

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    2017年12月28日
  • 骨風

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    全編通しては勿論だが、一篇一篇、実に充実した読後感を味わえる。
    生きるということ、死ということが、この作品に通底するテーマなんだと思う。それらは、クマさんの目に映る自然の中にあるように感じられ、木々の間から差す木漏れ日のような(と言うとあまりにもありきたりで綺麗すぎるが)、やさしい雰囲気が作品全体を包んでいる。
    むずかしい言葉はなく、ストレートな、シンプルな言葉が紡がれていく。でも時にハッとするような表現があって、ゲージツ家なんだと改めて思わされる。
    大事な人に教えたくなる、大事にしたい作品。

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    2016年10月12日
  • 骨風

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    ネタバレ

    クマさんの半生が淡々としかし骨太に描かれる。
    時々現れる心の描写、情景描写が、驚くほど細やかで鮮やか。
    山間での暮らし、老いた母親とのやりとり、幼い頃の記憶、ヤクザものの親類とのいざこざ…読み終えても情景が蘇ってくるよう。
    スイスイ読ませるが、しっかり”残る”傑作だ。

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    2015年11月28日
  • 骨風

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    引き込まれるような文体で書かれた短編集です。フィクションかと思いきや、著者の人生そのものだったようで、あとからWikipediaを読んで驚きました。自分が老人と呼ばれるような年齢になったとき、生きると死ぬの間で、どんな事を思い、何をして生きているのか漠然と不安がありましたが、この本を読んで少し想像できたような気がします。

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    2021年05月09日
  • 戯れの魔王

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    「クマさん」の愛称で呼ばれる篠原勝之氏の4編の随筆を収録したもの。母親の死を扱った「蓮葬り」、舞踏家麿さんの演出した作品に出演した「戯れの魔王」は、飾り気はないが訥々としたいい作品だと思った。

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    2019年04月27日
  • 骨風

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    ついにご開帳になった天狼院プレゼンツ「糸井重里秘本」の中身。
    力がある作品なので、夢現の境目にいるときなんかにこの本の内容がリフレインしてきてちょっと憂鬱な気分になる(笑)

    僕は昭和という期間を6年ほどしか過ごしていないけど、記憶の片隅の方にある昭和の風景をなぜだか思い出さずにはいられなかった。

    物心つく前に引っ越したはずの団地の風景、まだ色がなかった年代物の白黒テレビ、ランニングとステテコ姿のジイちゃん。

    特別うちの家が貧しかったわけではないと思うのだが、あの頃はまだ物を所有することへの憧れみたいなものがあったように思う。我が家の14インチのブラウン管が24インチのトリニトロンになった

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    2018年10月14日
  • 骨風

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    熊さんこと篠原勝之の、回想を交えた日々の暮らしについて。私小説なのかドキュメントなのか。ところどころわからない。

    父の死から、猫のこと、母親や山梨の仲間などを短篇形式で綴る。ところどころ、海外での活動についても語られるが、そちらはあまり地に着いていない風で、自分の本拠地に戻ってくる。

    ジフテリアで聴覚と嗅覚を失い、金は有るだけ作品につぎ込むという、破天荒な生活は、タモリ等と80~90年代にタレントとして活躍していたときを知っていると、ちょっと意外な感じがある。

    タレントということで、はじめは差し引いて読み始めたが、語彙も相当有るし、何よりも文章の流れに力があるので、よく出来た小説のように

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    2017年03月03日
  • 骨風

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    鉄のゲージツ家・クマさんこと、
    篠原勝之さんの自伝的小説です。

    17歳で、育った北海道は室蘭の家を出て上京し、
    人生の苦みをたくさん味わってもきたクマさんの、
    ふんどし一丁の自分をあらわしたようでもある、
    連作短編の私小説でした。

    重厚長大でも軽薄短小でもなく、
    ぎゅっとエネルギーを秘めた、
    質感のある物質を感じさせるようでもある。
    そして、それこそ、鉄の芸術作品の、
    赤錆に感じさせられる渋みみたいなものと、
    人生の錆からでる苦味みたいなものとが、
    ミックスされているような文章と内容だと
    感じました。

    全部で八篇なのだけれど、
    最初のお話からしてじんわりとおもしろく、
    最後のお話を読み終

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    2016年11月20日
  • 骨風

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    「骨風」、「矩形と玉」、「花喰い」、「鹿が転ぶ」、「蠅ダマシ」、「風の玉子」、「今日ははればれ」、「影踏み」
    鉄のゲージツ家クマさんによる、八つの短編私小説。エピソードのひとつひとつが壮絶過ぎる。よく、生きてここまで。
    本人は達観しているのか、何かに守られているのか。
    もしかしたらそれは楽天家のお母さんか福猫のGARAなのかもしれない。

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    2016年05月02日
  • 骨風

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    篠原勝之氏の短編連作小説集。小説家が本業ではない氏の自伝的作品集。横暴な父親を懼れて過ごした少年時代。家出して東京で過ごした貧乏生活などが、哀愁すら感じる飾り気のない文章で描かれている。

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    2016年04月03日
  • 骨風

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    雑司ヶ谷に天狼院という異色の本屋があり、ちょっと前にそこでやってる「秘本」に糸井重里が乗って出した「糸井重里秘本」。中身は「ゲージツ家」クマさんの自伝小説。秘本として売り出した後に泉鏡花文学賞受賞して、版元も期待してなかった重版になったようですが、これ面白かった。ちょっと話が堂々巡りするところも有るけど、北海道やモンゴルや信州や隅田川やニューヨークの光景を、かなり繊細に頭の中に描かせるこの人の文章、面白いです。実は初めて読んだんだけど、他にも結構色々書いてるのね。

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    2016年03月09日
  • 骨風

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    ネタバレ

    ゲージツ家のクマさんこと篠原勝之の自伝的小説。父親からのDVから逃れるために17歳で北海道を家出し、肉体労働、結婚、家族離散、借金、愛猫、スキンヘッド、母親の痴呆、そして、実弟のたかりと死。鉄とあいまみれる連作集。

    目がなくなっちゃうほどニコとした笑顔が印象に残る人だけど、こんなに凄まじい人生を送ってる人だったのか。過剰な修飾をおさえた文に、クマさんの感情が乗り移ってるかのようだった。クマさんが自分の子どもに手をあげた時、ああDVって次の世代にも連鎖してしまうものなのかしらと思ってしまった。絶望したクマさんはすぐに一家離散させたけども。ただ、読み終わった後はなぜか爽快な気分になれた。

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    2016年02月18日
  • 走れUMI

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    かつて捕鯨で栄えた港町に住む洋は両親の別居により、母親の実家のミカン山で暮らすことになる。そこでの生活に馴染めない洋は、1年後の夏に故郷の町を目指してマウンテンバイクUMIのペダルを漕ぎ出すのだった。
    少年の成長が実に真っ直ぐ真正面から書かれています。マウンテンバイクでの旅の話がメインかと思ったのですが、その部分はあっさりとしており、クライマックスも海の上で肩透かしをくらった感じもあります。しかし少年の心の象徴としてマウンテンバイクが素敵な役割を果たしています。
    また実に読後感が爽快なんですね。それはいわゆる「悪者」を出していないからかも知れません。何かが変わってしまった母親にも、転校先でちょ

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    2015年12月29日
  • 骨風

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    自伝?私小説?のようなものである.虐待ともいえる子供時代が,大きくその後の人生に影を落としている.でも持ち前の優しさや野放図な強かさが,貧乏ながら『ゲージツ」に向かって突き進むのを支えたのがよくわかる.

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    2016年09月27日
  • 骨風

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    一時期TLで話題になっていた覆面本.「ゲージツ家」のクマさんこと篠原勝之の私小説.昨日読んだ島田雅彦の本ではないけれど,それこそ自己セラピーだ.自分を肯定するために書いたのだろうな.

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    2016年06月15日
  • 骨風

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    生きざまがすさまじく胸が痛くなる
    自然への繊細さ、創作に対するひたむきさ
    それに反して自身の暮らしへの無頓着さ
    圧倒されてしまう
    でも遠いところにいる人に思えてしまって

    ≪ モンゴルの 風に舞い散る 父の骨 ≫

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    2016年03月17日
  • 骨風

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    糸井~!脚色あり。富士山麓に墓を建て、富士山を拝めば墓参り。実話なら皆草葉の陰で苦笑い。解散家族はどうなの?

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    2016年02月19日
  • カミサマ

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    ご存知?鉄芸術家くまさんの児童小説。昆虫や花も樹木も、人間みたいに悩んだり困ったりしない。それぞれのやり方で生き、死んでいく。和紙は森の樹木の皮を薄く薄く削いで綺麗な清流の水ですくんだ。和紙は真っ白になった森の化身なんだ。

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    2016年02月11日