田川建三のレビュー一覧
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ネタバレ新約聖書学者が生の「イエスという男」について迫れるかぎり迫ろうとした名著。「イエスはキリスト教の先駆者ではない。歴史の先駆者である。」という言葉から始まって、おそろしく切れ味の鋭い分析が続く。他の学者の著書をばっさり切り、キリスト教会の護教的解釈をばっさり切り、柔和で知的なイエスのイメージをばっさり切っていくのだ。そのうえで、ユダヤ教の支配者層による抑圧に対する反発や権威への皮肉めいた冷めた態度を基本線としながら、痛快なたとえ話や奇跡で民衆の熱狂を誘ったイエスを聖書の記述から浮かび上がらせる。遠藤周作を読んでからのこの本は温度差で風邪というか熱が出そうだ。
「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に -
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イエス・キリストではなく実在したナザレのイエスがどのような人物であったかを書いた本。この人の書くイエスは律法学者に対して「ゴチャゴチャうるせえ、黙れ」と言いそう。理屈をこね回す人を嫌い、宗教に対して皮肉的な態度をとる人物だ。仲良くなれそう。
タイトルと厚みからもっと固い感じの本かと思っていたが、そうではなかった。なんというかネット記事にありそうな感じ。初版のあとがきが書かれたのは1980年だけれども。
それにしてもこの著者はずいぶんと好戦的であるように思える。わざわざイエスについて語った人を名指ししてはこき下ろすのだから。このような内容を本に書けるのは、そうとう自分に自信が無いとできない。 -
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イエスが語った教説は、歴史的・社会的状況を超越した普遍的・無時間的な真理などではなかった。彼がめざしていたのは、みずからの置かれた歴史的場を意識しつつ、それに自覚的に切り込もうとしていたのだと著者は論じている。
神学者たちは、イエスの言葉を彼が生きていた「歴史的場」から切り離し、そこからイエスの教えの「本質」を取り出そうとする。だがそれは、イエスの言葉を現代的な宗教思想の枠組みにはめ込むことにほかならない。著者は歴史的資料を精査することで、イエスの個々の伝承を歴史的な場の中に置き戻して捉えようと試みている。
一例をあげると、「良きサマリア人の譬え」を著者は次のように読み解いている。当時のユ -
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ネタバレ■『イエスという男』 田川建三著 作品社
【後編 イエス路程】
日本においてのイエス研究の中で、一般にもそれでも受け入れらているといえるものの筆頭は「史的イエス」研究である。「史的イエス」とは何かというと、いわゆる人間イエスに関わることである。信仰の対象として、十字架において人類に赦しを与える、神の子イエスではなくて、我々と同じように歴史の片隅に抗うことができず生まれ、33年の人生を歩んだ、人間としてのイエスはどのようであったのか、その姿に迫っていくのが「史的イエス」研究という分野である。そんな日本の史的イエス研究者の中で、おそらく最も著名で信頼を受けているのがこの田川建三だろうと思われる