田川建三のレビュー一覧
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ネタバレ[聖書を読む人を読む]名前はもちろん知っていても、実際にはその膨大な量からなかなか手が出ない人も多いであろう旧約・新約聖書。ユダヤ文化論等で知られる内田樹、新約聖書の個人全訳を手がける田川建三といった聖書のエキスパートたちが、今日においてもなお多大な影響力を様々に与えているこの両書について語った作品です。
聖書そのものの解説となると、それ自体が自身から遠いものであったり難しいものと感じられるのですが、本書は聖書を読む人の関心や問題意識が主に記されているため、とっつきづらさがまったくない一冊でした。さらに関心を深めるためのブックリストも充実しており、題名にあるとおり、聖書が「はじめて」の人に -
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ネタバレ聖書をどう読むか、作家や批評家が語る。
作家の池澤夏樹は文学によく引用される箇所を中心に紹介する。クリスチャンでない者には「イエス・キリストというのはたいへん優れたスピーチライターであり、コピーライター」(p.33)と見ることもできるという。
旧約聖書研究者の秋吉輝雄は、「清く正しい」新約聖書に対して旧約聖書は矛盾の塊であると指摘する。それは、旧約聖書が時制のないヘブライ語で書かれているからであり、過去に起きたことを記述したというよりも「いままさに眼前で行われている」(p.56)ことを文書に重ねているからだという。「まだ結末が確定していない現在の話」(p.56)である以上、矛盾が内包さ -
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聖書は新約も旧約読んだことがありませんが。
読む機会があればとおもっていたところに
この本を見つけたので。。
また、書いている人が
池澤夏樹氏・内田樹氏・吉本隆明氏と豪勢な方々
だったので。。。
読んでみた後の感想としては、聖書の内容ではなく
読み方やとらえ方が書かれてある内容でした。
ただ、前述で書いた人よりも、
田川建三氏(新約聖書学者)のインタビューが
とても面白くよかったです。
新たな逸材(本当に失礼ですけど)見つけた感じ
です。
1.聖書ってどんな本? 山形孝夫
2.読み終えることのない本 池澤夏樹
3.旧約聖書は以外に新しかった 秋吉輝雄
4.レヴィナスを通して読む「旧約聖書」 -
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本書を手に取った動機は、教養としての宗教を知りたいという欲求からでした。本書は、季刊誌『考える人』の特集を再編集、改稿したもので構成されています。作家や宗教学者と聖書との出会いやつきあいに焦点をあてている点がユニークだと言えます。その聖書を語る人たちは、山形孝夫(宗教人類学者)、池澤夏樹(作家、翻訳家)、秋吉輝雄(旧約聖書、イスラエル宗教史研究者)、内田樹(作家)、田川健三(新約聖書学者)、山我哲雄(聖書学者)、橋本治(作家)、吉本隆明(作家)、山本貴光(文筆家、ゲーム作家)の9人。この本は決して体系的に聖書やキリスト教について学べる本ではないと思います。あくまで、個人の人生の中での聖書がどの
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クリスチャンではありませんが、ずっと聖書に興味があって、いつか腰を据えて読みたいと思いながら馬齢を重ねてきました。
本書は入門書として手に取った次第です。
へー、聖書ってそうだったんだと、膝を打つやら自分の無知を痛感するやら。
本書は新約聖書学の泰斗、田川建三さんはじめ池澤夏樹さん、内田樹さん、橋本治さんらがその魅力を語ったガイドブック。
学者さんばかりだとどうしても硬くて素人にはとっつきづらい内容になりがちですが、執筆陣が実にいいですね。
あの吉本隆明さんの論考(マタイ伝を読んだ頃)も収録されてます。
第1章は宗教人類学者の山形孝夫さんによる「聖書ってどんな本?」。
聖書の基礎について講釈し -
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聖書について、10人の研究者や作家たちの解説やインタヴュー記事をまとめた本です。
本書の中心になっているのは、新約聖書学者である田川建三へのインタヴューで、やく三分の一のページ数を占めています。インタヴュアーを務めるのは湯川豊で、主に田川の来歴について尋ねながら、彼がどのような経緯で聖書の研究にたずさわり、どのような同時代的な問題関心のもとで聖書を研究する新たな視角を見いだしてきたのかといった話を引き出しています。
田川のインタヴューにくらべると短いものですが、吉本隆明も本書のなかで聖書とのかかわりを語っています。こちらでは、軍国主義少年だった吉本が、敗戦に直面した日本人のすがたと、聖書に