香住究のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ワンパターンの展開や余りにもスーパーなサラーマンなど確かにデビュー作らしいところはあると思いますが、とても面白く集中して最後まで読むことができました。証券会社や都市銀行に続き、日産生命や東邦生命、第百、大正、千代田、共栄、東京生命と保険会社が次々に潰れたあの頃、当時はそんな実感はなかったのですが本当に日本は潰れかけていたのですね。その当事者になっていなくて良かったです。大手生保の一つだった朝日生命は私が最初に入った保険の会社でした。数年で他社に乗り換えたのですが、倒産騒ぎとなり驚いたことを覚えています。今も存在するのが信じられない思いですが、中根さんが社長として立て直したのでしょうか。
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Posted by ブクログ
生命保険会社のはなし。
自分は何のためにこの仕事をしているのか?
その中で、自分の存在意義とは何か?
そのことを つねに念頭に置いて行動する二人の主人公。
『各務』は、なぜ生命保険会社に入ったのか?
それは、復讐という言葉に近いのかもしれない。
『竜崎』をつぶしたいと思う。
獅子身中の虫とならんとす。
そうであるが故に 生保とはどうあるべきかを
徹底して考えることとなる。
『中根』は、ラクビーのリーダーだった。
そして、生保の中で 『人々が幸福になる』ということを
つねに考える。
一方で 生命保険会社の存立基盤。
事業としてのミッションとはなにか?
竜崎は ジェントルマンとしての生保を -
Posted by ブクログ
真山仁の隠れデビュー作。破綻の危機に瀕した大手生命保険の生き残りをかけ、各務・中根といった中堅職員達が走り廻る。彼らは冷静で優秀なエリートでありながら、それぞれの人生にそれぞれの背景を持ち、清和生命という会社に強い拘りを持って、働いている。その姿は熱い。
ストーリー構成は真山仁らしく、キャラクターの特徴、人間味を上手く描きながらテンポよく展開していき、切れがいい。社長の高村の、経営者としての腰を据えた姿勢が印象的。
真山仁持ち味の「引き込む」文章はこの頃から抜群。だが、最後の結末への展開が余りにあっさりで、せっかくの盛り上がりが今ひとつ昇華しきれない印象。ということで☆3つ。