嶋津義忠のレビュー一覧
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所謂「二兵衛」を描いた物語。半兵衛の稲葉山城乗っ取りから始まって、官兵衛の死で括られている。二兵衛は二章目から直に交誼を通じているが、物語の前半を半兵衛、後半を官兵衛が担うかたちである。
全体に「大雑把な伝記物」という印象が残らないでもない。合戦や調略戦に詳しい訳でも、主:秀吉との一筋縄ではゆかない関係に重点を置くのでもない。その一方で、他の二兵衛モノにては採り上げられていないエピソードが多く収められてあるから、特定の細部に頁を費やす分、全体としては「端折った」ように映るのかも知れない。
要するに、筆者が書き留めておきたかったのは二兵衛それぞれの “人となり” なのだろうと想われる。
読み進 -
Posted by ブクログ
ネタバレ戦国乱世を完全に終わらせ、天下泰平の時代を切り開いた徳川家
康。その偉業の陰には、祖父・松平清康、父・松平広忠の二代にわたって続い
た悲劇の歴史があった。
松平清康はわずか十三歳で宗家の家督を継ぐと、疾風のごとく大地を駆け巡り、
三河全域の統一をなしとげた英傑だった。しかし、戦陣で家来に襲われて思いが
けない最期を遂げ、三十五歳にして天下を目指す覇業は挫折してしまった。
清康の突然の死は嫡男・広忠に命の危険と苦難の人生をもたらした。その不遇
に耐え、自立を模索して苦闘した広忠もまた家来の手にかかって若い命を落とし
た。
人質の境遇から戦国の世に人生の第一歩を踏み出した家康は、二代続いた負
の連