すっかり忘れていたけど確実に少年時代の興味関心領域に「中岡俊哉」という地下伏流水が流れていたことを知りました。当時の少年マガジンは超立体的で「ゲゲゲの鬼太郎」が連載されている時は世界の妖怪特集、「幻魔大戦」が連載されている時はエスパー特集が掲載されていて、隅々まで貪り読んでいたっけ。漫画の方は水木しげるや石森章太郎(石ノ森じゃない時代…)などの伝説のレジェンドたちがキラキラしていたし、グラビア特集の方は大伴昌司の先駆的仕事が再発見されていますが、確かに情報ページには、必ず、中岡俊哉って名前がクレジットされていた記憶があります。怪奇現象、超常現象は男の子たちの大好物だったからなぁ。しかも本書で楳図かずおの「へび少女」の原作が彼だったんなんて、びっくり。それを読みたいため少女フレンド、恐る恐る開いたことを思い出しました。でも、本当かなぁ。この本の著者の息子と弟子なので、取り上げている対象への距離感が近すぎるような感じもあります。それが、中岡俊哉の、なんかちょっとだけ「本当かなぁ…」という文体を思い出させ、ちょっと面白くもあり…。怪奇→超能力→コックリさん→心霊写真→透視能力→ピラミッドパワー→ハンドパワー、中岡俊哉が目をつけた領域は、彼の関心領域の変遷というより、高度経済成長末期から21世紀になるまでの日本人の心が求めたナラティブという感じがします。そういう意味で、「スピリチュアルの父」という題名が正しいかも。触れてはいないけど、オウムだって中岡チルドレンなのかもしれないな、と思いました。そんな「コックリさんの父」が、ライターになる前の中国での人生が「そんなこと、あるの!」というようなトンデモ変遷で、その部分でもおなか一杯です。そのパートが息子さんの担当、ライター時代がお弟子さんの担当とのこと。