芦崎治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私が眠ると、みんな死んじゃう
本書を読み終えた後に、この言葉を振り返ってみて、深い溜息が出る。こんな世界があったのか。こんなにも凄絶な世界があったのか、と。
この本は、ネトゲ――コンピュータネットワークを通して他のユーザーとオンラインで同時進行するゲーム――にのめり込み過ぎたあまり、現実社会の生活にまで支障をきたしてしまった、あるいは現在進行形で日常生活が破綻している「ネトゲ廃人」達の「告白集」だ。ネトゲーに関する筆者の意見、依存症からの脱出法なども書いてはいるが、内容がいまひとつであったため、僕の中でこの本は「告白集」と位置付けてるし、多分そうやって読んだ方が面白い。ゲーム好きの人とかなら、知っている単語とか内容が結構あるのでそれだけで読んでて面白いと思う。
本書を読んで驚くのが「ネトゲ廃人」の層の広さ。大学中退の「ああやっぱりな」的な青年がいるかと思えば、小学生の男の子がいたり、四十代の主婦がいたりする。やはり「ネトゲ」というと二十代のニートがやっているというイメージが強いので、主婦がネトゲをやっているなどというのは素直に驚いた(いやそもそも僕の中のニートの認識が間違ってる気はするが)。パソコンが普及して一般的なものとなっているし、今となってはネトゲは誰の手にも届く、身近な存在になりつつあるのだろう。
そのような「ネトゲ廃人」等に筆者が質問を投げかけ、答えてもらう。質問の中身自体は平凡なものだが、何しろテーマがテーマなので面白い。ここでの文章は結構淡々と書かれていたのだが、実際の現場はもっと惨憺かつグロテスクなものだと思う。ネタバレするのもアレなので、詳しい内容は実際に読んで確かめてほしい。ゲームに興味がない人でも楽しめると思う。
ネトゲに関する意見文としては微妙で浅いものだったが、今まで触れられてこなかった「ネトゲ」というテーマが一冊の本という体をなして世に出てきたのは意義あることだと思う。ネトゲをやる人達の間で話題になってはいるし、友達がネトゲにはまっているのを止めたくて読んだ人、ゲーム依存症の人の心理を知りたくて読んだ人もいるようだった。まあでも、少なくとも僕の知人でこの本に書かれているようなヘビーな「ネトゲ廃人」はいない。日常会話で「お前廃人だな」とか言ってられるうちは大丈夫なんだろう。きっと。 -
Posted by ブクログ
私自身、学生時代はまさに本書で紹介されるような廃人の一人であった。30時間ぐらい起きて、10時間ほど寝る。PCはつけっぱなし。当時はまだフレッツがなかったので、夜11時からの定額プラン「テレホーダイ」を利用してはいたものの、その時間だけではとても満足できなくなって結局他の時間もログイン。バイトなどで出かけている時は、サードパーティツールを使って自動でキャラ育成。こんなことを3年。一度辞めてからまた1年の計4年。
やっていたゲームは、本書中でもプレイヤーはハードゲーマーと紹介されていた「ウルティマオンライン」。日本にサーバがない時からやっていた。
当時を振り返ると、まさにゲーム中のキャラは自分自身。そしてゲームで出会う仲間はすぐに本音で語り合える「親友」になる。私は初心者にとって非常にハードルの高いゲームであるウルティマを、せっかくはじめたのなら楽しんでもらおうと思って初心者サロンのようなギルドを作りギルドマスターを務めていた。毎晩10時ごろから、いつもの場所に仲間たちが集まる。おしゃべりタイムのはじまり。しばらくチャットしたりゲーム内で面白い動きをしたりして遊んで、そのうち仲間のうちの何人かがダンジョンへ狩りに出かけた。私自身は自分が強くなりたいという思いもあり、仲間が寝た後の深夜、一人で強いモンスターの狩りや、対人戦の練習などに出かけたりしていた。
当時、ギルドメンバーのためにHPも立ち上げ、ウルティマの現実的な楽しみ方についても考察し、リアルとの両立をどうつけていくかに重きを置いて記事を書いた覚えがある。そうした趣旨の集まりだったので、オフ会で会っても、皆ほとんどゲーム内の印象と変わらない仲間たちで、すぐに打ち解けることができ、長く付き合うことにもなった。中にはギルド内で付き合い始めたメンバーもいた。
しかし、私自身はほとんど大学にも顔を出さず、バイト以外は部屋に閉じこもりきりであった。よく今、普通に暮らせているものだと思う。自分自身が過去、そうであったからこそ手に取った本であり、想像通り過去の自分を見るような例がたくさん挙げられていた。
ただし、最後の部分でなんとかバランスの取れた記述をしようと試みているとはいえ、どうも著者はネトゲ廃人を特別視している印象派ぬぐえない。生育歴やら、ゲームにはまった時期にその人に起こった不幸やら、原因を探りすぎている。また、オフ会についての記述も、差別的ともとれる書き方が目立つ。
私は、経験しているからこそはっきり言える。ネトゲ廃人には誰でもなってしまう可能性がある。ネットゲームは人間とのコミュニケーションだから。人は、人の中に生きているからこそ毎日を過ごしていける。ネットゲームにも、その中に人間が作った社会がある。人間がいるから、毎日が過ごせてしまう。仕方がないのだ。そういうものなのだから。
途中に紹介された、韓国のネトゲ中毒を診ている医師のコメントが印象に残った。
「ネトゲ中毒にならないためには、ネトゲをやらないことだ」
正論だと思う。