【目次】
はじめに
第1章 血液を観る
1-1 血球の多彩な姿
血液の固体成分 / 極小・多彩な成分 / 美しい血球像 / 赤血球の変形能力 / 鎌形赤血球症 / 赤血球の構造 / 赤血球には核がない / 白血球の姿 / 血小板の姿
1-2 血漿とその成分
血漿の正体 / アルブミン / グロブリン / アルブミン対グロブリン(A/G)比 / 血液凝固因子など
第2章 血液の循環と働き
2-1 血液の通り道
血液は最大の「臓器」 / 血液を巡らせる「圧力」と「しなやかさ」 / からだの中の上・下水道網
2-2 血液の働き
血液の六つの働き / 水分の保持 / ラクダの超能力 / ガス交換 / ヘモグロビンについての誤解 / 血液は弱アルカリ性 / 赤血球は酸素がいらない / 栄養・ホルモンなどの運搬 / 体温調節 / 脳を守る冷却システム
第3章 ヘモグロビンの正体
3-1 血液はなぜ「赤い」のか
血はなぜ赤く見えるのか / 静脈はなぜ青く見えるのか / 静脈が「赤く」見える場所 / 筋肉はなぜ赤いのか
3-2 ヘモグロビンの構造と役割
酸素の運び屋 / リン酸化合物の仕事 / 高地順化 / 「大人のヘモグロビン」と「赤ちゃんのヘモグロビン」 / 青白い母親と真っ赤な赤ちゃん / 新生児黄疸がなぜ起きるのか
第4章 白血球の姿と働き
4-1 顆粒球と単球
染色による観察 / 好中球はピンク色 / 好酸球はサーモンピンク / 好塩基球は青紫 / 単球は大食漢
4-2 リンパ球
スカイブルーのリンパ球 / リンパ球の種類
4-3 白血球による免疫の仕組み
感染に対する幾重もの備え / 好中球とマクロファージの働き / B細胞による免疫 / 抗体の発見 / 免疫の記憶 / 顆粒を持つ大型リンパ球 / T細胞による免疫
第5章 凝固と溶解の驚くべき仕組み
5-1 血液はどのように固まるのか
「止血」と「凝固」 / アクセルとブレーキ / 「凝固の謎」解明の道のり / 外因性の凝固ルート / 保存血液への応用 / 内因性の凝固ルート / 血が凝固しない病気 / 複雑な凝固のシステム / ビタミンKは凝固の「K」 / 血液凝固の「滝」
5-2 血管内の血液はなぜ固まらないのか
血管内の「防火システム」 / 線溶の仕組み / 抗凝固の第一段階 / 抗凝固の第二段階 / 抗凝固の第三段階 / 抗凝固の第四段階
5-3 血栓の予防
流れているから凝固しない / 怖い鬱血 / 血小板や凝固因子の抑制 / ワルファリン / 凝固の所要時間判定法
第6章 血液の一生
6-1 血球の「故郷」骨髄
細胞の寿命 / 造血幹細胞の落ち着き先 / 骨髄移植への道 / 骨髄のスクラップ&ビルド
6-2 赤血球と血小板の誕生
骨髄系とリンパ球系 / 赤血球の産生 / ヘモグロビンの合成 / 核を吐き出す / 血小板ができる仕組み / 血球のデビュー
6-3 白血球は学ぶ
顆粒球ができる仕組み / 骨髄芽球→前骨髄球 / 骨髄球→後骨髄球 / 杆状核球→分節核球 / 単球の誕生 / リンパ球の社会のできかた / T細胞の教育 / B細胞の誕生 / 白血球の帰巣能力 / B細胞の「根城」リンパ節
6-4 血球の最終処分場
血球の寿命 / 脾臓の「簗場」が最終処理場 / 脾臓の簗場の仕組み / 鉄のリユース
第7章 血液「常識」の非常識
7-1 「サラサラ血液」の誤解
「サラサラ血液」は何を見ているのか / 「ドロドロ血液」は多血症 / 「サラサラ血液」は貧血症
7-2 血液型の非常識
血液型への誤解 / 血液型の発見 / ABO式血液型 / Rh式血液型 / 母と胎児の血液型不適合 / 白血球の血液型 / 「血液型性格判断」のウソ
7-3 覆ったコレステロールの常識
コレステロールの発見 / 乏しい科学的根拠 / 悪玉・善玉コレステロール
参考文献
さくいん
【感想】
貧血治療ではヘモグロビン(Hb)値が重視されるけど、酸素運搬の担い手としてHbだけでなく2,3-DPG(2,3-ジホスホグリセリン酸)も重要とのこと。しくみをちゃんと理解しなきゃと思った。
その他、血液成分の解明の歴史は血液凝固の解明の歴史、血液は「凝固しないから流れている」と同時に「流れているから凝固しない」、鉄のリユースなど、興味深い話が多く勉強になった。
一方、血球を顕微鏡で見るとどれもとても美しいと著者は語るものの、肝心の写真がモノクロ。良書なので、改訂の際にはぜひ血球の美しさをカラーで伝えてほしい。
【まとめ】
★ 【血液の6つの働き】①水分保持、②ガス交換、③栄養・ホルモンなどの運搬、④体温調節、⑤からだの防御、⑥傷口の補修
- 【血液は臓器】血液はまとまった働きをしている点で、臓器と見なすことができる。肝臓よりも重く、からだの中で最大の「流れる臓器」。
- 【学習のポイント】血液成分の解明の歴史は、血液凝固の謎を解き明かそうとする歴史だった。そのため、血液凝固のしくみ(凝固と抗凝固)を知ることは、血液の成分や働きを理解するうえで役に立つ。
- 【鉄のリユース】赤血球が寿命(≒120日)を迎えると、脾臓や肝臓で分解・処理される。その際、ヘモグロビン(Hb)から鉄(Fe)を完全に回収・再利用する。大人のからだの総鉄量は3-5g(3,000-5,000mg)ほどだが、ほぼすべての鉄は繰り返し体内で再利用することでまかなっている。ただし、排泄などによる微量の鉄損失があるので、それを補うために1日に1mgほどの鉄を食事によって補給する必要がある。1mgの鉄を補給できない場合、やがて体内の貯蔵鉄が枯渇して貧血(鉄欠乏性貧血)になる。