斎藤隆夫のレビュー一覧

  • 回顧七十年

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    かつて日本にこんな政治家がいたということを、不覚にも寡聞にして知らなかった。
    五.一五事件や二.二六事件で政治家の命が奪われるような状況にもかかわらず、毅然として議会にて粛軍の演説を行うような気概は、はたして現代日本の政治家中に幾人いるであろうか。
    「近衛公への意見書」中の数項は、あたかも現在の与党議員のことを指摘してるかのごとくで、いやしくも自信を政治家と名乗るのであれば、ぜひとも読んでいただきたい「意見」が開陳されている。
    何より特筆すべきはその文体である。漢文の素養の高さを思わせる簡にして要を得た文章は、70年という長い年月の経緯を伝えて余りある。
    兵庫県出石の生んだ後世に誇るべき人物の

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    2019年12月04日
  • 回顧七十年

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    ネタバレ

    [一徹]二・二六事件後の「粛軍演説」で、一躍時の人となった斎藤隆夫の自伝。無一文に近い状況で上京し議員として活躍するも、支那事変に関する演説で除名処分に。その後,いわゆる翼賛選挙を戦い抜き,改めて議席を獲得した氏の政治信条や姿勢が伺える作品です。解説は日本近現代史の専門家である伊藤隆。


    高校の日本史では「粛軍演説を行った人」という文脈でのみもっぱら取り上げられることの多い斎藤隆夫ですが、その保守性や議会中心主義の考え方、また,政治家とはどうあるべきかというところまで本書から読み取ることができ、自分にとっては新たな斎藤隆夫を「発見」することになった読書でした。

    〜およそ事を行うに当っては、

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    2017年11月27日
  • 回顧七十年

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    斎藤隆夫 「回顧七十年」自伝のほか2演説を掲載した戦前戦中の政治記録。

    この本の帯や解説にある「現状維持の勇気」とは、実行性のない軍部の革新を批判し、現状維持により責任ある立憲政治を続けることを意味。

    二二六事件後に行われた粛軍演説、支那事変処理を批判した反軍演説の2演説は迫力ある。二二六事件に見られる思想的単純さ、東亜新秩序に見られる理想主義的な実行性のなさを批判し、軍人による政治運動を批判


    ヨーロッパによる東亜侵略阻止は重視しているが、戦争については 適者生存と位置づけ、勝者による領土侵略は肯定。太平洋戦争の失敗は、政治が無力であり、軍人の政治運動を許容した点にあると言いたいのだと

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    2021年08月21日