貝澤哉のレビュー一覧

  • カメラ・オブスクーラ

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    ナボコフ33才の作品。俗物たちのメロドラマを世にも美しい文章で。この人、30代のころは文章もノリノリで読みやすく、どこか清々しい作品が多い。楽しい!
    マグダのイメージは、ちょっと前のスカーレット・ヨハンソンがぴったりくる。

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    2011年11月17日
  • カメラ・オブスクーラ

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    確かに『ロリータ』にすごくよく似ている。語りが全知の三人称とハンバート・ハンバートの強烈な一人称っていう違いもあって(もちろん、多分それだけじゃない)、ロリータっていう万華鏡の鏡の中に入って、内側から外を眺めている感じ。いや、ハンバート・ハンバートについて言えば『ロリータ』が中で『カメラ・オブスクーラ』が外なのか。

    『ロリータ』より短くて分かりやすい。

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    2011年11月17日
  • カメラ・オブスクーラ

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    ネタバレ

    おもしろい。芸能人の不倫報道などが気になってしまう人にはたまらないだろう。
    ナボコフといえば「ロリータ」だが、本作もロリコン親父が未成年の美少女に翻弄されてしまう物語だ。
    裕福な美術評論家クレッチマーが、美少女マグダに夢中になる。妻子を捨ててマグダと一緒に暮らし始めるが、そこにマグダの元カレであるホーンが戻ってくる。
    マグダとホーンの関係を知らないクレッチマーは、マグダとの生活の中にホーンが出入りすることを許してしまう。マグダとホーンは、クレッチマーの目を盗んでいちゃいちゃし、しまいにはクレッチマーの財産を奪う計画まで立てはじめる。
    偶然、マグダとホーンが自分を騙していたことを聞かされたクレッ

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    2020年03月20日
  • 絶望

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    ねっとりとした意地悪な文体。解説にて初期ロシア語による翻訳で、それがウリだそう。その解説にて一生懸命、小説の仕掛けを力説されてる訳だが、まず作者を好きで尊敬し、作品に興味を持つ、そこからが開始点であり。

    淡々と読んでいるだけでは、そうなのいやそうじゃない、もったりくったりとした、自分の犯罪を計画して楽しみイラつく男の1人語り。

    場面場面は昔の宝田明が出てるドラマっぽいと思った。

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    2018年08月23日
  • 絶望

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    1936年刊、ナボコフ初期の小説だ。今回は犯罪者の手記といった形をとり、どうやら、ナボコフが嫌いなドストエフスキーをパロディ化しているようだ。どうにもとりとめのない、主観的な饒舌がドストエフスキーの文体を真似ているのだろうが、本家の作品のようななまなましい迫力は全然ない。
    「鏡像」という「虚構」が最後に音を立てて瓦解していくところが、この作品の白眉だろう。主人公の思い込み・勘違いがさっと振り払われ、主体が一瞬消失するような感じは、ナボコフならではかもしれない。
    ドストエフスキーの真似なんて、やめとけば良かったのにな。

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    2014年08月17日
  • 絶望

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    ふぅ! やれやれ…。印象をとしては、「ヘッポコ主人公のながい知的遊戯に付き合いました」かな(失礼)。タネ明かしはほぼ解説にて。探偵小説を下書きにしたメタフィクション、だそう。なのですが。正直なところ、読んでいる間は、「これが、文学、芸術、なのですね?」ふふふ...コントとしてなら楽しめそうかしらん、といった感じ。
    度々読者を引き止め、「読者よ...」と呼びかけては、コレにはこれこれこういう理由があるんだからね、『なんだからね!』の過剰なエクスキューズに、あ、そう。へーそう。(毛先を弄りながら)そっかそうだねあはは、と上の空で相づちをうっているイメージが続く。
    好きな場面は、風がオリーブの木の葉

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    2014年01月23日