フェリックス・マーティンのレビュー一覧
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貨幣は自然発生的に生まれたものではなく、社会的な技術である。その標準を決めるのは社会であるはずだが、ジョンロックのところで経済学は道を誤った。貨幣経済において銀行の果たしてきた役割は殊更に多く、モラルハザードを防ぐためにどのような規制を作るかなどは大いに議論になってきた。解決策としてナローバンクが挙げられる。だが結局、貨幣の本質を中央銀行や影響力のある人たちが知れば良いのではなく、貨幣経済に暮らす我々が知らなければ意味はないのである。
かつては物々交換で、それをより便利にするために貨幣が作られたと思っていたがそうではなかった。正統派経済学は脇道にそれてしまったとのことだが、貨幣経済の発展と富 -
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古代文明以来の経済・金融システムの概要や経緯をうまくまとめており、自由資本主義経済が支配する現代システムの問題点にまで至る内容。 各論も総論も扱って多くの章がテーマごとに連なっていく内容のため読み物としても面白かった。
経済学や金融会社が欠陥だらけである理由が良くわかる。
度重なる金融危機のリスクを内包し、超格差社会となった現代を暗黒時代としており、貨幣思想の変革で金融システム抜本改革が必要との主張である。 解決する方法としてナローバンク構想が挙げられているが、今後の方策に取り入れられていくのか注目したい。
経済・金融から紐解く歴史解釈として、なぜ欧米が覇権を制したか、なぜ英国で金融革命(産業 -
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1)経済学科出身だしビジネススクールでも経済学は履修した。けど世の中の出来事を見てると納得いかない。そんな僕に間違いなく必要な本。
2)まだ十分には咀嚼できていない。時間をとって振り返らないと。経済学とファイナンスにはお互いが欠けている?そんなの薄々分かってたけどさ。数式ではなく歴史と思想の流れでそれを読み解く試み。筆者が参画しているThe Institute for New Economic Thinkingって非営利組織も面白そうだ!時間がいくらあっても足りないね。
3)有意義な試みだからこそ、紛らわしい邦題や、無関係のジャレド・ダイアモンドの名前を筆者の名前よりも大きく出すような和風マー -
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ジャレドダイアモンド級の「知的衝撃」と、帯にある通り、壮大かつ独創的なストーリーで一気に読みきった。
この本から学んだ今後の課題についての個人的なまとめが以下である。
①貨幣はそれ自体に価値のある商品ではなく、譲渡可能な信用である、という概念を理解すること。経済学の主流である新古典派に対し、もう一度原点に立ち返って貨幣観を見直す時期に来ている。
②貨幣で測るべきものと、そうでないものを分離する必要性(貨幣を尺度とする経済的価値で測る対象は何か?という議論)
→マイケル・サンデルの「それをお金で買いますか?」の議論につながる
③正しくリスクを分担する
貨幣は自由の欲求と安定の欲求を同時に満たすこ -
Posted by ブクログ
本の帯に「桁外れの知的衝撃! ジャレッド・ダイアモンド級!」と書かれている。「ジャレッド・ダイアモンド」が大きく、「級!」があえて小さく書かれている。最初はジャレッド・ダイアモンドが絶賛でもしたかと思ったが、なんだか関係なさそうで、いくら日本だから本人が見ないし、主観だからいいとか言ってもその行為はまったく誠実さに欠いているところだ。また、タイトルにしても、『Money The Unauthorized Biography』であるところを、例の世界的ベストセラー『21世紀の資本』にあやかりたいところがみえみえなのである。著者本人や内容には関係ないだろうからよしとしたいが、出版元はせめて罪悪感は