タイトルは「プレゼンの本質」と一見するとよく言い回しの本になっていますが、内容は10年以上プレゼンビジネスに関り、伝える力が圧倒的なトッププレゼンタ-を徹底的に研究された筆者の経験及び見解が書かれた重厚な本でした。
最初に衝撃を受けたのは、冒頭でプレゼン本なのに話し方やスライド作り関連のことは重点はおかないと語っている点でした。そうした技術はないよりあるにこしたことはないが、表層の部分にしか過ぎず、むしろプレゼンで提案するものに価値があれば選ばれて、価値がなければ選ばれない。提案の根幹である価値を考えるこのプロセスこそプレゼンが伝わるか伝わらないかの8割を決めると断言されていた点です。
このように書かれますと自分にそこまで価値のあるものは持っていないと考える人もいるかもしれませんが、本書で語られているプロセスとは今ない価値をプレゼンの為に無理矢理作るのではなく、すでにそこにある価値を掘り起こす作業を意味しています。
いわば自分の中にあるダイヤモンドの原石を発見し,それを磨く。同時に相手にこのダイヤモンド(価値)をプレゼントにするには、そのまま渡すのではなく、相手の指のサイズを知りサイズに合わせて指輪を作ってあげないと相手が喜んでプレゼントして受け取ってくれないのではないですかと提唱しているのが私の感じた本書の概要です。
私も過去にプレゼン本の類はいくつも読みましたが、本書レベルの内容が書かれたプレゼン本にはこれまで巡りあったことはありません。スティ-ヴ・ジョブズをはじめとした圧倒的成果を出すプレゼンテ-タ-がプレゼンの際にここまで考えているのを知り、圧倒されると同時に本書で書かれていることを学べば、そうした人たちに近づけることが出来るという可能性を感じることが出来る。
それが本書の優れた点ではないかと思いました。