司馬遼太郎の影響力があまりにも大きいせいか、散々な評価を受けている豊玉発句集。その全41首が解説付きで読めるだけでも、ファンにはオイシイ1冊といえるのではないでしょうか。「少しくどい」や「技巧に乏しい」と辛口の意見が多いですが、良句・秀句と呼べる評価もいくつかあり、その目は公平です。「小説から都合よく引用したり、創作的解釈はすべきではない」という著者の意見には賛成です。近藤勇の漢詩にも多く触れられていて、近藤の武士としての教養、土方の趣味としての俳諧という両者の文学への姿勢の対比もあり楽しんで読めました。