豊かさの指標を、一日の余暇時間で考え、文明以前の未開の状態の方が豊かであった事。現代のGDPで示す経済状況は、金の介在する活動を示しているだけであり、当てにならないとの論調である。GDPの話はそうだが、余暇時間については、寿命を勘案せずに論が進む事に違和感を覚える。医療技術の発展を切り離して考えたとしても、世界が単一国家ではない限り、防衛のための軍事力、交易で不利益を被らないための余剰資産の生産は必要になるのである。
昔が良かったという切り口は面白い。しかし、前提が単一国家であれば、論点が違う。評点の難しい図書である。