島田覚夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
もともとサバイバルのノンフィクションが好きだ。その中でも、終戦を知らずにジャングルで隠れ生き延びた旧日本兵の話に興味があり、数冊選んだうちの1冊である。
一言でいうと、すさまじかった。感動した。
著者を含む日本軍17人は、ニューギニアに終戦直前に派遣されたが、敵の爆撃を受けてジャングルに着の身着のまま逃げ込んだ。そこから隠れながらのサバイバル生活が始まる。山に畑を作り、狩りをし魚を釣り、家畜を育て、現地人と交流し、現地語を覚え、監督者に発見されるまでなんと10年もの間、山奥に生き延びたのだ。
当時ろくなツールもないのに、著者たちの記憶だけを頼りに書かれた本書は克明な記録である。激しいマラリアや -
Posted by ブクログ
激戦、籠城、原始生活、現地民との交流…。
心にささるのは、各年の正月の手記に書かれた筆者の思いである。祖国、肉親がどうなったか、もはや戻る場所も頼る人も自分を待つ人もいないのかもしれない、世界に忘れ去られたような離島に、わずかな日本兵とともに隔絶された孤独、寂しさ、不安、恐怖。そういった感情たるや、平和な世に生きる僕には到底想像もできない怖い暗いものだ。
農園の開拓や食料の確保のための創意工夫や、現地民との交流は、一見すると楽しそうではある。しかし、その活動の裏には前述の暗い気持ちが絶えずあったのであり、活動に打ち込むことにより、死につながる暗い気持ちを振り払おうとしていたのであろう。壮絶