世界中で大きな反響を巻き起こしたマイケル・A・オズボーン准教授の論文「雇用の未来」では、コンピューターにとって代わられる確率が高い職業として次のものが挙げられている。銀行の融資担当者、スポーツの審判、レストランの案内係、保険の審査担当者、電話オペレーター、レジ係、カジノのディーラー、パラリーガル・弁護士助手、時計修理工、彫刻家、データ入力作業員、簿記・会計監査事務員、映写技師、クレジットアナリスト、義歯制作技術者、建設機器オペレーター、訪問販売員、塗装工などである。
アシスタント・補助業務は、どちらかというと定型的な仕事が多い。人間でもロボットでも同じレベルでできるのであれば、どちらが補助業務を行ってもいい。従来は「頼む相手」の選択肢が人間だけだったので、人を雇ってきた。ところが、システムの方が進化して、入力作業から分析業務、情報収集まで容易かつ安価に行えるようになってきた。こうなると人間がいる必要はなくなる。
工場労働の現場で、特別な熟練技術を持たない作業者が行ってきた定型的な業務の多くは機械化されたり、海外に出ていってしまったが、それと同じ事がホワイトカラーの業務でも起きている。
コンピューターが人間の雇用を奪うのではないかという懸念の大きな要因の1つがAIだ。従来のコンピューターは人間がプログラムした通りにしか動かず、自ら学習する事もなかった。しかしコンピューターが自ら学習し、行動を変えていく人工知能となると話が変わってくる。現在、膨大なデータを瞬時に集め、それらのデータを高速で処理できるようになってきた結果、人工知能の強みは急速に増している。
コンピューターをはじめとする情報システムの進化は指数関数的に速くなっており、2045年には人間の能力を追い越してしまうともいわれる。仕事を奪われてしまう人の数、可能性は増えているのが現実である。経営、管理、監督に当たる一握りの人と、ごく一部のクリエイターだけが高い報酬を得てバラ色の未来を手に入れつつある一方、それ以外の人は非常に安い賃金に甘んじているのが「現在」である。しかも、ロボットという新たな脅威も生まれた。こうした社会で生き延びるためには、ロボットやコンピューターを「使う立場」になるか、自らこれらを使うビジネスを生み出すしかない