安東次男のレビュー一覧
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ネタバレ友人が「読む?」と
おー、懐かしい
岩波少年文庫
この文庫は大切にしなければ!
『裕福に暮らすチト少年.お父さんが兵器を作る人だったことを知り,驚きます.じぶんが不思議な〈みどりのゆび〉をもっていることに気づいた少年は,町じゅうに花を咲かせます.チトってだれ?』
第二次世界大戦に出征したフランスの作者
レジスタンスをよびかけた
歴史小説家でもあり、政治家でもある
昔のお話しだけど
昔話ではないよね
かなしいことに……
チトのラストは静かで切なく温かい
平和って?
今も是非読んでほしいお話しです
大人にも!
≪ このゆびで せんそうのない せかいへと ≫ -
Posted by ブクログ
ネタバレみとりのゆび、グリーンサム。
チトは一体何者なのか?
終わり方だけ謎だった。
それで終わってしまうなら、物語というよりは聖書に登場する天使だ。
本当に天使だったのか??
刑務所にも花を、貧乏街にも花を、病院にも花を、戦争を花で止める、鉄砲工場は花の工場に変わる。心に残る良い話だったが、綺麗事ではある。
実際は、刑務所に花が咲いても罪人の罪は変わらないし人によっては性根も変わらない。
貧乏街も花を商売にはするだろうが、家を建てられるほど稼げない。花を食べてしまうかも。
病院はまだ良いかもしれない。ただ衛生面の心配と、花の管理が大変そうだが。すぐ枯れそう。
しかし人として、理想としては、チトやチトを取り巻く人達のような考え方(古い考え方にこだわらない)を心の片隅でもいいから維持し続けたい。本当なら心の全てをこの考えで満たした純粋な生き方をしてみたいが、この現実社会では無理だ。
チトは美しい両親かつ金持ちの家に生まれ、チト自身も見た目美しく、学校は強制されず、夫婦仲も悪くなく、寛容な心を持っている。この環境もまた天国すぎる。 -
Posted by ブクログ
優しい、素敵な物語でした。しかし自分は、児童書、というものに胡散臭い、説教くさい、という思いを持っていた子供でした。だからずっと遠ざけてきたのですが、大人になってからはときどき読むことがあります。だいたい本を書くのは大人と決まっているので、この本も、やはり子どもに語りかけるような「みなさん!」みたいな文体で訳されています。それは大人の自分には微笑ましく、読みやすく感じられますが、子供の頃の自分が読んだら、どう感じたのだろうな?という思いが出てきます。だいたい本を読むような子供は、子供扱いされるから反発するんだよな、と思います。自分のようなひねくれた子どもにも届く、素敵な物語が多くありますように!
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ネタバレ花を咲かせる力を持った少年チト。彼が蒔いた種とは。
花を咲かせる「みどりのゆび」を持った少年チト。兵器工場を営む父と美しく優しい母ももとで何不自由なく育った。囚人が押し込められている刑務所に、貧しい人たちが劣悪な環境に暮らす地域に、生きる希望を持てない人がいる病院に、遠くから連れてこられた動物たちがいる動物園に、次々とチトは花を咲かせていく。ある日戦争について聞いたチトは、戦争を無くす方法を考えた。それは兵器に花を咲かせて使えなくしてしまうこと。その計画はうまくいったが、そのせいで父の工場は注文を失ってしまう。勇気を持って自分がしたことを告げたチトに対して、父は方向転換を決心し、それからは花を作る工場に変わって平和を推し進めていくようになる。
タイトルとあらすじは知っていても読んでみると違った印象を受けた。兵器をダメにしたチトに対して、父や工場の者が辛く当たり、大人はわかっていない、という展開になるのかと思っていた。しかし、大人たちはチトの行動を真剣に受け止めて、自分たちの行動を変化させた。これは作者が第二次世界大戦に出征し、レジスタンスを呼びかけた経験があったからかと思う。行動するのは自分たちで、考えを変えるのは今だと。命も祖国も奪う戦争を誰も望まないのに、戦争が終わらないのは、終わらないと思って行動しないからだと。
決断力のある実業家の「おとうさん」の描かれ方にこそ、この作者の理想の大人(もしくはリーダー像)が現れていると感じた。また「チトは天使だった」という人智を超えた存在が変化を促した、という結論に、人が変わることの難しさを示す、あまりにも夢のような理想も感じた。子ども向けの童話であるが、ロマンティックなようで突き放した読後感は、後書きで触れられていた『星の王子さま』との共通している。 -
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児童文学に駄作無しと思っています。大人が子供に読んで欲しい本というのは真剣に選んでいるので必然的に名作が残っていくのでしょう。
本作もレビューするのがおこがましい作品です。植物を異常繁殖させる能力を持った、恵まれた家に生まれたチト。彼の生家の家業が兵器商人だと知った時どうするのでしょうか?
人と人が争う事、人が人を裁く事。局地的な平和と貧富の差。誰かの不幸で成り立っている世の中の仕組み。色々な要素が詰まっていて、読み取るものが沢山入っています。
特に目新しい事が書いてあるわけでは実は無いのですが、大人になると真っすぐこういう事と向かい合っていく事も減り、「世の中はこういうものだ」という固定観念に囚われがちなので、こういう素朴に真っすぐ問いかけてくる本は新鮮です。 -
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ネタバレ春の岬旅のをはりの鴎どり
浮きつつ遠くなりにけるかも
三好達治の処女詩集「測量船」巻頭を飾る短歌風二行詩。
昭和2-1927-年の春、達治は伊豆湯ヶ島に転地療養中の梶井基次郎を見舞った後、下田から沼津へ船で渡ったらしく、その船中での感興であると紹介されている。
梶井基次郎と三好達治はともに大阪市内出身で、明治34-1901-年2月生まれと明治33-1900-年8月生まれだからまったくの同世代だし、同人誌「青空」を共に始めている親しい仲間。梶井は三高時代に結核を病み、昭和2年のこの頃は再発して長期療養の身にあり、不治の病との自覚のうちに死を見据えた闘病の日々であったろう。「鴎どり」には湯ヶ島に別れてきたばかりの梶井の像が強く影を落としているにちがいない。
梶井は5年後の昭和7-1932-年、31歳の若さで一期となった。
奇しくも今日3月24日は梶井基次郎の命日、いわゆる檸檬忌にあたり、所縁の常国寺-大阪市中央区中寺-では毎年偲びごとが行われている。 -
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60年近く前に翻訳された、フランスの童話。著者のドリュオンは小説『大家族』で有名な文学賞であるゴンクール賞を受賞した作家です。
小学校低学年の年齢に当たる少年チトは、町の大金持ちの両親やその大きな家で働く家政婦や庭師のおじいさん、両親の工場で働くかみなりおじさん、そして馬たちに囲まれて生活しています。学校へ通うことになると、まるでそのシステムに適応できず、すぐに退学することに。両親の指示によって庭師やかみなりおじさんに物事を学んでいくことになるのですが、そのうちに自分の家が武器工場だと知ることになります。
中盤までは横へと筋が流れていくお話だったのが、中盤からはそれまで語られた世界や人びとを濃く描くことによって物語の深みが増していきます。さながら、解像度を上げた部分を端的に、詩的な種類の言葉で語るというように。そういったクローズアップする技法だけではなく、物語の展開にも、ちょっとだけ哲学的なエッセンスを盛り込んだり、物事をフラットに見ることでわかってくる「そもそもの基本」に立ち返る考え方によって物語を通じて現実のベールをはがしてみたりしています。そういうやり方が、物語をおもしろくするんですね。
ネタバレになりますが、最後には、主人公・チトの属性が人間ではないものとして描かれます。チトが考えたこと、成したことを人間のままとしての行いにできなかったところに、著者の「人間への少しばかりの諦念」があったかもしれません。そこまで利他的で博愛的でみんなを幸せにしてしまう存在が、子どもだとしても人間であることに、現実をよく知るであろう作家の目にはほうっておけない食い違いが見えたのかもしれません。
さて、最後に訳者解説から、再び技法についての引用を。
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フランスの童話には、ひとつの特徴があります。おはなしの、筋よりもきめこまかさ、詩的なふんいきやことばのおもしろさを、たいせつにすることです。そしてそれらをうまく使って、まるで宝石のような、うつくしい文章をつくりだすのです。 (p213 訳者解説より)
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僕が物語を書くとき、それも最近の何作かを思い浮かべてなのですが、横の流れであるいわゆる「筋」と、その場その場で立ち上る縦の「味わい」を、意識して書きはしています。でも、そこにぎこちない部分があるというか、まるで数本の竹ひごの骨だけで簡素に組み立てた模型のような感じがちょっとします。肉付けや試みという点で、自分としては物足りないわけです。もっと自由にいろいろとやって楽しめばいいのに、どうもしゃちこばる(まあ、やれている要素もけっこうあるにはあるのですが)。たぶん、創作に使う時間がぎりぎりだからだろうな、と思いますが、そこは二倍の時間がかかったとしてもやっていくといいのではないか、と今回、本作品に触れて、そう感じました。
というように、物語世界を楽しみながらの、学びのある読書になりました。……よき。