横山悠太のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ第57回群像新人文学賞受賞作品。
思わず吹き出しちゃったくらい笑えるユーモア小説。
日本語を学ぶ中国人向けの日本の小説を書こう、というコンセプトで書かれた小説であるとのことだが、逆に日本人にとっても中国語を学ぶというか親しみをもつのにいい小説なのではないかと思った。
中国人にとってカタカナはかくも大敵とは。主人公の中国人と日本人のハーフ(とは言わないんだっけ)もカタカナが憎く、彼の語りで進められるこの小説はずっと本来カタカナで表される単語に中国語の漢字(に日本人向けにカタカナのルビがふられている)が当てられているが、ラスト猫になった後の文章は自然にカタカナが使われている。これは何を意味するのか……。猫になったことによって彼の中で何か悟ったというかはっちゃけた感じは受けるけれど。
「どうして俺はこんなにへそ曲がりのつむじ曲がりのおたんこナスなんだ。本当は日本のことも大好きなくせに。(p133)」とあるように、猫になってふっきれて「本当は日本のことも大好き」だということを受け入れたので日本特有のカタカナ文化も受け入れた、というところだろうか。
大してかかわってもない猫を「先生」と呼ぶところ、好き。
笑えたところ。
・中国人たちのロビンソンの歌詞への無理解。
なんだよルララってみたいな。確かに(笑)
「男女紛紛たる議論の末、結局これは神経病者かアルコール中毒者のうわごとを誰かが口述筆記したものであろうといった者の意見が、最も有力となった。(p46)」
・日本に来て税関を抜ける際に「おかえりなさい」と言われたので、メイドカフェ(とは何か主人公はいまいち理解できずに、ただの喫茶店だと思い込んだまま入店)でおかえりなさいませーごしゅじんさまにゃーん! と言われたのを日本の文化だと思い込み「ただいま帰りました」と答えたところ。
「機場でも珈琲店でも何処でも「おかえりなさい」というフレーズは用うものらしい。察するに「いらっしゃいませ」の意味もあるのだろう。畢竟日本人はあいさつ狂である。ましてや「おかえりなさいませ」とはご丁寧なこった。それにしても、最後の「にゃーん」は何事だ?」 -
Posted by ブクログ
2014年群像新人文学賞受賞作であり、先日の芥川賞候補作となった作品(受賞はならず)。著者のデビュー作。
日本語を学んでいる中国人の友人が「日本語はとにかくカタカナがやっかい」自分の日本語レベルで読める小説はないかと聞かれ、ひと昔前の小説を渡した。すると今度は「カタカナが少ないのは良いが、時代遅れの漢語ばかりで読みにくい。とくに夏なんとかという作家の作品は漢字の使い方がでたらめ」だという。そこで、日本語を学ぶ中国人のための小説を書こうと思い立つ。その作品が「吾輩ハ猫二ナル」であった。
文章はカタカナを全て漢字に置き換え、また
日本語と漢語が激しく入り乱れる。最初は読みづらくもありますが、疲れることなくだんだんと慣れてくるのは散りばめられた現代の日本や中国に対するユーモラスな風刺表現のおかげでしょうか。
作中にあるスピッツの名曲「ロビンソン」の歌詞の解釈には笑ってしまいました。
物語を楽しむというよりも、実験的(知識の乏しい僕には少なくともそう感じられました)な文章表現を楽しむ作品だと思います。