加藤征治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人間の体の大部分は「水」でできているといっても過言ではない。成人男性では、55~60%、成人女性では50~55%が水分を占めるという。人体の水分は、細胞内にも、細胞の外にも「水」が存在する。このうち、細胞の外に存在するものを「体液」と定義するらしい。体液の中で代表的なものは「血液」だろう。人体を循環する血液が恒常性維持のために大切なことは誰でも知っている。だけど、血液以外の体液をボクたちはよく知っているだろうか? 第2はリンパ液であり、第3が脳脊椎液らしい。
本書はこの「リンパ」に関してまとめた本。
血液は心臓をポンプとして、まさに体内を循環しているが、リンパは半循環であるとか、床屋さんの -
Posted by ブクログ
リンパ管に対する研究の歴史的経緯とリンパ浮腫の治療についてまとまっている。
今まで血管系と比して研究の対象とされてこなかった分野だが、婦人科腫瘍に対する手術後高率に発生するリンパ浮腫など生活上非常に困っている人も多い。
リンパ管肉腫(Stewart-Treves症候群)など生命予後を規定する疾患も発生することからも、重要な領域である。
しかしながら、リンパに関する研究、治療どちらも一般的とはいえる規模には至っておらず(勿論優秀な研究者、臨床家の先生方はいらっしゃると思うが、たとえば婦人科腫瘍の治療とリンパ浮腫の治療の規模が違いすぎる)、更なるデータの蓄積を待ってからこのような本が現れてもよ -
Posted by ブクログ
リンパという言葉はもちろん知っているけれど、学校などで習うことは断片的で、全体像は分かっていなかった。本書を読む前は、リンパと言えば血液から出た組織液が入っていく場所で、消化管から吸収された脂肪が流れ込む場所であったり、免疫の場であったり、がんが転移して成長する場、という印象しかなかった。
本書を読んで、リンパについて体系的に知ることができた。たとえば、リンパ管が血管と異なり「行き止まり」があるということは初めて知った。リンパ管壁に平滑筋があって自力で液を流しているというのも驚きだった。
途中の期間ごとのリンパの構造についての箇所などは、単調すぎて退屈だったかな。教科書っぽい感じがして、あまり -
Posted by ブクログ
血液の本はあれこれ読んだことがあるけれど、リンパを扱う本ははじめてかも。
人の身体の多くが水分。その中でもハデなのが血液で、地味なのがリンパ。なんていうとリンパに怒られてしまう。血液の役割はなんとなくわかっているけれど、リンパのことって知らないなあ。血液は心臓という動力で速く動くけれど、リンパはそういうものがないので、ゆっくりと体の中を流れている。なぜ流れるのか。リンパマッサージというものがなぜ役立つのか。目に見える「むくみ」から、癌の転移に関わるメカニズムなど。
身体の中身の話って、いまこの瞬間も自分に起こっていることなので、わかった嬉しさと、なんだか気持ち悪さが両立して好きだなあ。