スティーヴンソンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
以前も数回読んだことがある。
善と悪のバランス・理想や抑圧・社会的な顔と人間としての顔。
様々な要素が絡んでいる。
結局、ジキルそのものが利己的なように読める。
決して「ジキルが善」として描かれていないところが、ミソな気がする。
人当たりは良いけれど、彼の言動には身勝手なところがある。
何度読んでも面白い。
いつも解説を読まずに、純粋な感想を書いているのだけれど、今回、解説を読んで、「男色」という視点からも楽しめる作品なのか、と一層興味がわいた。
確かに、作中にちょこちょこと性的なものを想像させる言葉が使われているな、とは思っていたけれど、当時の社会的な背景を思いながら読むと、面白さが増すだ -
Posted by ブクログ
表紙の佳嶋さんのイラストに惹かれたのと、前から読みたいと思っていた作品だったので購入!
ジキルとハイドが二重人格者なのは知っていたけれど、まさか容姿ごと変わるとは…最後のジキル博士の手紙での告白による心の葛藤が読んでいて色々と考えさせられた。誰だって心の中では善と悪が鬩ぎ合っている、それとどう付き合っていくかが重要で、あまりにも悪を否定しすぎると自分自身を縛り付けてどんどん身動きが取れなくなってしまう。何事もバランスが大事。
この小説が書かれた当時のロンドンの背景や人々が抱いていた偏見についてが、あとがきで少し触れられていて、それを知った上で読み返すとまた違った風に受け取れる部分が沢山ある -
Posted by ブクログ
ネタバレミュージカルを観てそういえば原作を読んだことないなと気づき読んでみることに。まず本自体の薄さにびっくりし、登場人物も10人に満たないくらいのとても短編。舞台上ではエマやルーシー、殺された理事会のメンバーなどのキャラクターがいるが、この中で原作に登場するのはカルー卿(しかも殺されるだけ)のみ。
今でこそ「ジキルとハイド=二重人格」という意味合いで使われているが、読んでみると薬で身長や顔つきが別人になる様子が描かれている。友人の弁護士アタスンの視点で(ハイドの姿の)ジキルが死んでからは手記と手紙によってその経緯が語られる。
訳者あとがきで「当時の視点からすると同性愛(当時の法律では違法)と取られる