中沢弘基のレビュー一覧
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気軽に読み始めたら未知の世界過ぎて面食らった。自分は化学に弱いことを痛感させられたが、非常に興味深い読物だった。特にホモキラルだのラセミだののあたり、物理界の対称性の話題はお馴染みだが、化学にも左右の概念があったとは。ぜひ覚えておきたい。
まず、筆者は「生命は海で生まれた」という常識を徹底的に否定する。理由の一つとして、水中では加水分解が進むためむしろ分子進化には適さないことが上げられる。
筆者の説は独自のもので、広く受け入れられた学説とは言い難いようだ。まだまだ推論を重ねただけという部分もある一方、一部は非常に説得力を感じる。
●「生物はエントロピー増大化法則に反している」
よもやこのパ -
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我々が地球の子であることが証明されている。有機分子のビッグバンが起こったことにより、地球で生命が誕生したと説明している。
有機分子のビングバンとは概ね次のようなことらしい。
40〜38億年前に隕石の海洋衝突による”還元的”な衝撃後蒸発気流の中でアンモニアが大量に生成される。そして、”後期重爆撃”の時代には、一度隕石が衝突した付近の海域に再び隕石が衝突し、アンモニアやカルボン酸、あるいは炭酸水素アンモニウム、アミンやアミノ酸などが原料となってより複雑な有機分子が生成された。
また、熱力学第二法則に基づき、「生命の発生と生物進化は、地球のエントロピーの減少に応じた、地球軽元素の秩序化(組織化・ -
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「生命誕生」という大テーマに挑んだ野心的な書籍。新書形式だが、その内容はかなり重厚である。
生命の誕生から、その進化の探求については、近年ではニック・レーンの2009年の著作『生命の跳躍 - 進化の10大発明』という非常に野心的な良書がある。著者もレーンも、生命の誕生のもとになる有機分子の発生メカニズムについて、雷による化学反応で有機分子が生まれるという有名なミラーの実験を否定している。レーンは、前掲書にて海底での熱水噴出孔説を採ったが、著者は「隕石衝突よる有機分子のビッグバン」および「分子進化の自然選択説」という独自の仮説を採る(熱水噴出孔説を著者は明確に否定している)。著者の説は、約40 -
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無機・有機化学、地球物理が示唆している事実を積み重ね、大胆で新たな生命史像が提示されている。RNAワールド仮説をはじめとする生物学の「定説」を覆すことに成功している。これまで読んだ生物系の本とはアプローチが異なり、非常に面白かった。未解明の部分を明確化したことの意義も大きい。参考文献が丁寧についているのも新書とは思えないクオリティだ。
・古代の磁性鉱物の向き。地球磁場の化石という見方。大陸移動説の確立。
・生命の発生は地球の熱の放出に伴うエントロピーの減少という物理の一般法則の結果。だからこそ他の天体にもありうる。
・バクテリアには生物進化の初期だけにある「細胞内共生」という進化の別の機構が -
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刺激的な読書だった。まだ確立してるとはいえないようだが,かなり説得力ある化学進化のシナリオ。原始大気の様子が分かってきてミラーの実験の前提条件はもはや崩れてしまった。それなら原始地球でどのようにして生命の原料となる有機物が合成されたのか。そしてそれがいかにして高分子の形態に変化し得たのか。長年の研究を通して筆者が至った結論は次のようなものだ。
全球溶融状態から冷えていく地球には海洋ができ,そこに後期重爆撃(40-38億年前)の隕石衝突が起きる。海水と地殻と隕石は蒸発して還元性の蒸気流となり,そこで様々な有機分子が合成された。それらの大半は大気中や海洋で再び酸化され分解するが,一部が粘土質鉱物に -
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無生物しかなかったはずの太古の地球にどうやって生命が発生したのか、非常に不思議だと思っていました。現代の最新の生命科学を見ても、生物の一部である細胞を加工して別の細胞にすることはできても、完全な無生物から生物を生み出す技術については、手がかりすらないように思えるからです。
一般的には、太古の地球の海には有機物がたっぷりつまった「生命のスープ」だったことがあり、そこに雷が落ちたりというショックによって偶然生命の素が発生し、それが進化して今日のような状態になったという説明ですが、どうも腑に落ちませんでした。
しかし、この本では、現代の研究で明らかなになっている地球の過去のイベントから、どのような物 -
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約46億年前に誕生した地球において、どのように生命が誕生したかについて考察した本でした。
本書では、一般的には最初の有機物、及び生命は海底の熱水噴出口の付近で誕生したと考えられていますが、それとは異なり、地理学的な視点からの新たな視点から考察されていました。
約40億〜38億年前の激しい隕石の衝突である後期重爆撃によって、水が超臨海水から超高温の気体となり、衝撃後蒸気流が発生した。この中で水が水素イオン、酸化物イオンに分解され、酸化物イオンは金属を酸化して吸収されるので、水素イオン過剰の状態となり、大気が還元大気となった。その結果、窒素が還元されアンモニアとなり、海洋中に炭酸水素イオンとア -
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大変意欲的な作品で、生命誕生だけにとどまらず、そもそも生命誕生の歴史とは地球誕生の歴史であることを痛感させられた。
「生命体はエントロピー平均化の法則に反している?」という謎、「ユーリ・ミラーの実験はほんとうに正しいのか?」という謎、「海が生命誕生の基ではなく、地球内部の圧力と熱による?」など、その仮説だけではなく実験によっても実証している。
無機物質しかなかった原始地球において、高度な「有機物質結合体である我々がどのように生まれたのか?翌々考えてみると、窒素や酸素、水素、炭素をただ並べても何も起きないのに、高度に組成すると生命体になるのだ。これは地球の大きな営みが隠されている。
骨太で -
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生物は一つの単細胞から多様な種に進化していったとするのが生物学の常識だが、では最初の生物はどのように誕生したかに対しては歯切れが悪い。太古の海は有機物のスープであったとか地球外から隕石で運ばれてきたからとか、である。
本書は分子がどのようにして有機物となり、重合化して核酸などの生物のもととなったかについての仮説を提示している。これを地球の成り立ちから説明しており、きわめて蓋然性が高い説だと思う。
地球の歴史を見ると生命が誕生するのは必然的であったとも言えるし、地球が生物が誕生するようなシナリオを描いてきたのはミラクルな偶然であるとも言えるかもしれない。 -
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著者の主張する第二章(エントロピーと進化の関係の話)が全く受け入れられず、全体的に斜に構えた姿勢で読み込んだ。第二章のツッコミどころが多くてどうする?
本当は化学進化における様々な説を知りたくて最初にこの本を手にしたのだが、この本では自説以外の説はほぼ否定する始末。特に後半は持論に沿った仮説の話でお粗末。説を裏付ける物的証拠に触れないまま理屈一辺倒であるため、途中から辟易。
化学進化についていろいろ知りたかったものの、著者の自説に感化されそうになり、中立的な判断ができなくなりそうだ。
内容的に★2つぐらいが妥当であるが、参考文献など含め丁寧に書いている箇所もあるので、おまけで★3つ。