秋梨惟喬のレビュー一覧
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中国を舞台にしたミステリっぽい連作短編。
世界観が非常におもしろいです。西欧の方が日本の忍者を思うように、中国の仙術だの仙人的なものはミステリアスでその雰囲気だけでも読んでいてわくわくしました。
でもそういった仙術がある世界観でのミステリってのも大変ですよね。仙術駆使したらトリックも不可能犯罪もなにもあったもんじゃないし。そのあたりのさじ加減が難しかったんじゃないでしょうか。
実際、謎解きというか真相は昔の中国とかそういうの関係なくなってるなあとは思いました。これこのまんま日本でもどこでも別の国の別の時代でもよくね?みたいな。まあそれを雰囲気でうまく水増しというか誤魔化してるところはあったかな -
Posted by ブクログ
古代?中国を舞台にした、連作ミステリ短編集。
多分、水滸伝を主とする中国の時代小説や
武夾小説(というジャンルを初めて知った)を
好きな人は、面白さ倍増なんだと思う。
そのあたりの事が全く分からない私でも充分に
楽しく読めたので、知識があったらどれ程か、と
若干悔しい想いすら抱いた。
やっぱり水滸伝くらい読もうかなー。
金庸も少し気になってはいるんだよな。うーむ。保留。
雰囲気は作者が後書きでちらっと名前を出していた
必殺仕事人に近いような気が。
時代物+推理物+アクションのバランスが絶妙。
それぞれの話で視点人物どころか舞台も登場人物も
全く違うのだけれど(少なくとも名前や立ち -
Posted by ブクログ
【内容】とある町の少年探偵団を構成するメンバーたちが、遭遇したいくつかの事件をそれぞれの視点から語る。
【感想】ミシェル・ビュトールの『時間割』って小説やったと思うけど、そのなかで、ミステリとは探偵による犯人の殺害という最後の殺人によって終わる物語というふうに語られていたような記憶がある。月岡クンはそのことの痛みを抱いてしまった探偵だと思う。その分ケレン味が減じ、ミステリのスッキリ感も減っていると思う。もっとコナンのようにノーテンキに悪を断罪できた方が作品としてはええんやろうけど、個人的にはこちらの方が共感できる。
とある二人が同一人物ではなかろうか?というのはぼくも何度か考えたことがあって -
Posted by ブクログ
もろこしシリーズ初長編。あれやこれやとキャラクター
総登場の様相を呈しとても豪華な作品となっている。
ミステリ成分は相変わらず薄めだとは思うし「またその
手を使うんですか⋯」と思ったのも事実だが、例に
よって私が読みたいのはそこではなく(笑)。
<以下水滸伝好きにのみ向かって>
おそらくは行者の形見であろう二振りの戒刀で大暴れ
する豹子頭が矛を相手に啖呵を切り、蛇矛を得て魔神と
化す。鼓上蚤が単に軽功だけでなく神行法まで会得して
おり元禁軍師範の相棒として大暴れ。もうこれだけで
鳥肌が立つほどの喜びだった。特に蚤は好きなキャラな
上に北方水滸では早々に退場したので、ここまで活躍
させてくれ -
Posted by ブクログ
武俠の世界観で繰り広げられるミステリという新趣向。
水滸伝のキャラクターが登場すると聞いて読んでみた。
正直ミステリとしては弱いと思う。トリックは読んで
いる途中で思いつく程度のものだし、解決に至るまでの
道のりで可能性を潰していく過程が作業のように感じる
部分も多い。だが、どの作品も、真相が解明されてそれ
でそのまま終わるのではなく、そこから一ひねりある
ので読み物として一段深いものになっているところが
良いと思う。
登場した水滸キャラは浪子燕青と玉麒麟盧俊義。他にも
何人かモデルとなったキャラがいるようだ。水滸好き
なら読んで損はないと思う。
引き続き残り2冊のもろこしも読んでしまい -
Posted by ブクログ
清が滅んで中華民国ができた数年後。地方では中央の詳しいことはよくわからず、政府から派遣されて来た知事より地元の大物が仕切っている状態であった。そんな時代設定で、タブロイド紙のような地方都市の新聞「黄石斎真報」に持ち込まれるさまざまな事件を描いている。
位牌で発電、内蔵を抜いた死体、壁から出てくる妖怪の手など怪奇色の強い事件を、記者たちは取材しつつ解明していくのだが、記者というのは世を忍ぶ仮の姿で実は副収入を得る方が大事な怪しい面々である。
ミステリー風味の活劇小説という感じだが、ラストの話ではサプライズもあって、なるほどそう来たかと思った。 -
Posted by ブクログ
「もろこし」シリーズの作者が書く中国歴史ミステリー。
中国のカストリ新聞紙「黄石斎真報」。社会問題や事件のみならず、怪しげな話題も取り扱っているがその裏では・・・
新たなシリーズなのかどうかはわかりませんが。時代が20世紀の初頭ということで大体の「もろこし」シリーズよりも時代が下ってる舞台です。
読んでいてその中国っぽさという不思議な異世界観は伝わってはきましたが・・・結局オカルトめいた出来事も真相は人の手で・・・というのがその不思議めいた雰囲気を払しょくしてしまってるようでいまいち。もろこしシリーズのような「仙術」とかそういうのは基本的にでてきません。だったら別に中国じゃなくても・・とい -
Posted by ブクログ
中国の仙道的な小説シリーズが他になかなかない面白さの作者の放つ少年探偵なお話。
でもどちらが先に書かれたんだろう?今作の一篇目はかなり昔に書かれたものを手直ししたとかあとがきで書いてあったような・・・そのせいかちょっと粗削りな印象でした。面白いことは面白いけど、登場人物や設定からすると妙にシリアスな感じが面喰うというか。もっとお気楽な日常の謎的な子供ミステリを予想したもので。。。
いろいろ掘り下げそうでいてそのままのものもあって、次回作もあるようなのでそちらもそのうち読んでみたいと思います。
キャラクターとしては「数合わせ」の勝川司馬くんあたりがいい味だしていて個人的には好みです。