武田頼政のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ブルーインパルスが東京オリンピック開会式で青空に描いた五輪が、日本国民の平和と復興の象徴であったあの日から今まで、子供から大人まで目を輝かせ高揚させる魅力がここにはある。
浜松航空祭でのブルーインパルス墜落事故を目の当たりにした著者が、当時の関係者が全員退役するまで20数年の時を熟成させ、丹念に取材し事故の本質を見極めんとした本書は、何より戦闘機と戦闘機乗りへの愛が感じられる人間ドラマとしても読み応えある一冊。
常に死と隣り合わせの戦闘機パイロット。コクピットの中では自分一人の判断を迫られるのに、組織の中の一コマとして波に抗えない場面もある。
ブルーインパルスは唯一「飛ぶためだけ」の部隊 -
Posted by ブクログ
展示飛行で有名な航空自衛隊のブルーインパルス。その誕生から、数回の墜落事故をめぐるパイロット、航空自衛隊関係者の葛藤などを丁寧に取材したノンフィクション。
「税金泥棒」、「違憲の軍隊」などと最近とは異なり世論の大半が自衛隊に厳しい目を向けていた1980~1990年ごろ、「絶対に展示飛行で民間の死者を出してはならない」と相当なプレッシャーの下で飛行を続けていたパイロット達の心境が伝わってきます。
その状況下で発生した基地航空祭での墜落事故。観客から死者は出ませんでしたが、その事故の責任をめぐり様々な思惑が交錯します。
同僚パイロット、パイロットを束ねる幹部自衛官、そして殉死したパイロットのご家族