中里恒子のレビュー一覧

  • 時雨の記〈新装版〉

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    ネタバレ

    目次
    ・時雨の記
    『時雨の記』によせて
    ・見事な捨身 河上徹太郎
    ・或る高度の愉しさ 宇野千代
    ・恋を描き得た小説 江藤淳
    中里恒子 案内
    ・中里恒子・人と作品 阿部昭
    ・中里恒子年譜

    二十年ぶりに再会した熟年の二人。
    実業家の男性と夫と死別して一人で生きる女性。
    なんか渡辺淳一臭がプンプンしていそうじゃないですか?

    しかし全然違います。
    二十年ぶりに再会したといっても、男・壬生の方は覚えていても、女・多江の方は「以前会ったことがありましたか?」とにべもない。
    めげずに多江に接近する壬生。

    あのね、この二人最後までプラトニックなのよ。
    純情ぶっているわけではない。
    互いを大切に思うから、

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    2022年06月28日
  • 時雨の記〈新装版〉

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    「凛として個」
    知らなかった、40年ちかくも前にベストセラーになっていたこの本!

    でもね、そのころ読んでいたとしても今ほど共感したかどうかね?
    つまり中里さんが、今のわたしの年齢でお書きになったからなのではないのかな。

    おいらくの恋、とひとくちに言ってもさまざま。
    なまなましいのやら、枯淡のやら。

    でもこの小説の年齢設定は40代女性と50代の男性。
    そこにわたしはうーむと思う。

    プラトニックなのだ。
    なのだけれども、しかるべくしてプラトニックなのではないところにいろけがある。

    なぜ60代も後半に書いた作者が作品の年齢を若くしたか?
    いまでは実年齢が年より若くなったという、うがったこと

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    2021年08月07日
  • 時雨の記〈新装版〉

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    「じゃ、帰る、」
    「帰るとき、いやだわ、」
    「居据わろうか、どうする、」
    多江は、笑っているような、愁い顔で、車のところまで送って来た。
    2015/02/12-02/21

    2023/11/01-11/07

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    2015年08月09日
  • 時雨の記〈新装版〉

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    書体が古いので、物語に入り込むまではちょっと読みにくかった。
    武者小路実篤の「愛と死」を彷彿とするなと思いながら読み進んだ。
    二人の想いがとても美しく、生き生きと描かれている。
    読後感は哀しいような、なにかひたひたと迫ってくるものがあるような。
    そして何よりも豊かな情感。

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    2013年06月08日
  • 時雨の記〈新装版〉

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    熟年の、しっとりとした恋のお話。
    けぶる時雨の匂いが感じられて、静かな静かな気持ちになります。
    書簡のやりとりも大好き。
    本当に、大好きなお話です。

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    2009年10月04日
  • 時雨の記〈新装版〉

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    中年期の恋のお話。あくまでプラトニックな関係を貫いていて、女も毅然としているので、いやらしさがなくて、さらっと読める。感情移入をするようなお話じゃなかったけど、面白くてスラスラ読めた。
    「瑠璃無地のずん銅の口の締まった瓶は古伊万里であったから、わたしは、それに小さな花一輪を短く入れたその強い美に首をかしげてしまった。教えてできることではない。金で買える美ではない。こりゃあ、ただの女じゃないな、気に入った···」
    こんな風に自分のセンスを分かってくれる感性があり、なおかつ、超強引で、頼もしい男。いますか?!五郎丸歩が、茶道にも精通している、みたいなことでしょう。

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    2015年11月26日
  • 時雨の記〈新装版〉

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    中年を迎えた男女の恋愛小説。
    年を重ねているなりの知識と生き方は爽やか。
    引き算という言葉が合うような。
    でも、社長という役柄はちとズルい。そこも引き算してみておくか。

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    2012年01月28日
  • 時雨の記〈新装版〉

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    夫亡きあと、華道を教えながらひっそりと暮らす妻。
    未亡人に惹かれる中年の会社社長。

    独り身でも質素に端然と暮らす女性のたたずまいに憧れました。

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    2009年10月04日
  • 時雨の記〈新装版〉

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    吉永小百合さんと渡哲也さんの映画を見て、原作も読んで見たくなり手を取りました。二人の逢瀬は純粋に楽しそうでしたし、最期の場面は切なかったです。

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    2022年01月16日
  • 時雨の記〈新装版〉

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    今まで読んだことのない作風だったけど、わりと好き。
    50過ぎの会社社長(壬生)と未亡人の女性(多江)との恋愛、壬生にとっては不倫になるのかもしれないけど、二人の気持ちが純粋でプラトニックなのでいやらしさもなく、なんとも微笑ましい関係。壬生が少年のように自分の気持ちに正直にぐいぐいいき、多江が最初はとまどいつつ徐々に暖かく受け止めていく。二人の関係が粋で、このまま二人で静かに楽しく暮らさせてあげたいなぁと思う。
    結末はハッピーエンドというわけにはいかないけど、多江には暖かいものが残ったのではないかと。

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    2016年10月17日
  • 時雨の記〈新装版〉

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    いい歳して恋に狂う二人。その距離感がオトナというか、禁欲的。私小説として読むと壮大なノロケ話に感じてしまったけど、人生の残り時間を感じながらの恋の深みなんて…もっと歳とって読めってことでしょう、きっと。

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    2013年09月17日
  • 時雨の記〈新装版〉

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    同年代の話のはずなのに、こんなしっとりした様子は、今の私にはないなあ、と思いつつ、淡々と読んでいたのだけれど、結末にしんみり。人を愛するって、確かにこういうことなのかも。

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    2013年02月14日