樫山欽四郎のレビュー一覧

  • 精神現象学 下

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    『精神現象学』のうち、精神、宗教、絶対知の各部を収める。理性にまで達した人間の意識は、それからも遍歴を続ける。精神においては、人倫、教養、道徳が問題とされる。しかし道徳に至ってなお、精神と対象の分裂が終わったわけではない。そこで宗教へと精神は展開されるが、そこでもまた分裂は終わらない。最終的に、意識ないし精神と対象との和解がもたらされるのは、絶対知すなわち学の境地においてであるとされる。人類の知の展開と自己の意識の展開とをパラレルなものとして把握しながら、自己の知を歴史のもとに把握する、というのは卑俗な概括かもしれないが、ヘーゲルの目指した学の何たるかを理解しようとするのであれば、この書は非常

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    2012年12月24日
  • 精神現象学 上

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    哲学・思想史でヘーゲルの名を不朽のものとしている名著。本訳では、序論、緒論、「意識」、「自己意識」、「理性」を上巻に収める。序論では、ヘーゲルの学の理念が語られる。それ以降は、精神の現象学すなわち「意識の経験の学」が展開されるが、それはあらかじめ不動の観点に立って意識を観察するというものではない。むしろ、意識の形成を「感覚的確信」から、あたかも意識を遍歴していくように、各々の観念を展開しては廃棄していく。そうした運動こそが「概念」であるというヘーゲルのテーゼは、概念についての概念の変革を企てたものだと理解できるだろう。意識がいかなる経験を経て、究極的にいかなる境位にたどり着くのか、それが「精神

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    2012年11月19日
  • 精神現象学 下

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    読み通すだけで一年三ヶ月かかった。
    キリストの死と再生と三位一体、ギリシャ悲劇「アンティゴネー」の解読(というのか?)などまで飲み込んでしまう破格の展開にびっくり。

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    2009年10月04日
  • 精神現象学 上

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    ただでさえ難しい内容の上、専用の辞書がいる直訳調の翻訳。「即且対自的」「自独存在」「対自存在」って言われて何のことだかわかります?長谷川宏「新しいヘーゲル」「『精神現象学』入門」、西研「ヘーゲル 大人のなりかた」を脇に置いてなんとか上巻は読み通す。★五つは読み通した自分へのご褒美。

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    2009年10月04日
  • 精神現象学 下

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    再読。
    しかしヘーゲルは苦手である。何度読んでもやっぱり苦手だなと思った。
    西洋哲学史上最も重要な代表作の一つとして尊重されている本書、最初の方は、「どうしてわざわざここでこんな概念を持ち出さなくちゃならないんだろう」と腑に落ちないながらも、まあ、すこぶる複雑な論理に知的興味を惹き付けられないでもなかった。しかし、ヘーゲルの言う「精神」は実体化し、いつのまにか共同体や果ては「国家」をも支える原理となってしまう。このへん、ルソーの「一般意志」とも共通点があるのかもしれないが、それと同様に危険な思想でもある。本書を読んでいると、あの「エーテル」というヘンテコな(誤った)当時の科学的常識が思い出され

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    2016年08月14日