東谷暁のレビュー一覧
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本書は改憲派も護憲派も自らの政策の手段としてしか憲法をとらえていないことを批判する。ともすればすぐに96条とそれに続く9条の改正だけが焦点となることを。
あとがきでは、今行われている憲法論議に足りない重要な事柄として倫理や道徳などの思想的側面が挙げられている。
本来の憲法の在り方とは何だろうと考えたとき、本書は様々な手がかりを提示する。戦後憲法の成立過程、ノモス論、和辻の日本倫理思想史、象徴天皇制…
どの切り口にしても、日本の来歴やアイデンティティなど思想的な内容を憲法論議に盛り込むことは相当なる議論を呼ぶんだろうと思う。
しかしこれから真の意味で憲法を考えるならば大切な議論である。 -
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7人の著者によるTPPのデメリット、危険性を説く警告書。舌足らずな部分は見受けられるが、論旨自体はそれぞれ納得がいく。TPPは国家間の交渉ではなく、グローバル企業の利益誘導という漠然とした印象は間違っていなかった。
・アメリカの「年次改革要望書」(勧告書)は国家の主権の領域に及んでいた。
・非関税障壁=規制や制度
・国民皆保険制度の空洞化(公的医療保険の給付範囲の縮小)
・長谷川三千子:翻訳作業とは翻訳される言語と翻訳先の言語との間で綿密な概念の検討が行われ、双方ともに厳しい知的吟味にさらされる過程である。外来の語彙や概念が触媒となり、土着の文化が活性化され、発展し、多様化していく。
・日本 -
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大震災の混乱に紛れ、唐突に言い出した管政権が言い出したTPP、あまりにも不自然である。
しかしながら、官僚の言いなりのマスゴミは、国民にその中身をまったく知らせない。
もし、人間の諸行為を宇宙から観察する機関が存在するとするなら、日本の統治機構は、なぜ、無知蒙昧にアメリカの統治機構に追随するのだろうと観察・分析するだろう。
国益・望ましい国家像を想像することなく、思考停止した日本の統治機構。
TPP問題の本質を事実に基づき暴きだした著作である。
ごくごく一般的な良識があれば、誰もが、たやすく理解できるように書かれてある。
この本を読んだ、ごくごく普通の人間は言うだろう。
管、前原 -
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ネタバレ[ 内容 ]
二〇〇七年にサブプライム・ローン問題が顕在化して以降、アメリカ発の金融危機は全世界に広がり、日本を含めた世界各地の経済が壊滅的な打撃を受けた。
「百年に一度」と言われる金融崩壊の真犯人はいったい誰なのか?
世界の隅々まで達した情報・金融ネットワークを背景に、起こるはずのなかった住宅バブルがアメリカ全土に広がったとき、無限の成長を約束したはずのIT革命、金融工学は凶器と化した。
危機の本質を、気鋭のジャーナリストが「欲望」「物語」「技術」「思想」など七つの視点から論じる。
[ 目次 ]
プロローグ 世界経済を崩壊させたのは誰なのか
第1章 巨匠―神の如き男の凡庸な弁解
第2章 欲 -
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ネタバレデザイン思考のルーツはKJ法であったということを知り、川喜田二郎氏に興味を持った。川喜田二郎氏といえばフィールドワークの先駆者的存在。氏と同じ時代にフィールドワークに魅了された方には、とにかくすごい方が多い。そのひとりが梅棹忠男氏。
『予言者 梅棹忠男』というこの本のタイトルは、けっして大げさではない。梅棹氏は、ぶっ飛んでる。戦後に日本の高度成長、情報化社会、グローバル化、ソ連崩壊、専業主婦の減少などを言いあてたそうだ。
どうして、これほどのことを言い当てることができたのか? このヒントがこの本にある。
この本は、梅棹忠男氏の伝記としてもおもしろいが、マーケティングや顧客心理を掴むということ -
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フリージャーナリストの東谷暁が、山本書店店主にして1970~80年代を代表する評論家である山本七平氏(1921~91年)について、『日本人とユダヤ人』、『「空気」の研究』等の代表的な作品を解説しつつ、その人物像を追った評伝。尚、山本書店は、山本氏が創業した聖書学を専門とする出版社、また、『日本人とユダヤ人』(1970年)は大宅壮一ノンフィクション賞を受賞し、300万部を超えるベストセラーである。
山本氏の日本社会・日本文化・日本人の行動様式等についての洞察の深さと、「山本学」とも称される、その思想の影響力の大きさは、本書の冒頭でも列挙されている、「日本人は空気でものごとを決めてしまう」、「日本 -
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ジャーナリストの著者が、大学在学中から国立民族博物館監修『季刊民族学』編集部に従事し、梅棹忠夫の知遇を得たという経歴で、梅棹忠夫の評伝を、書いたのがこの本である。
多くの弟子筋が書いたものは、文化人類学者や知的生産の技術者、あるいは探検家思考の作家によるものであり、フィーウドワークのすばらしさや、私的探求心の旺盛さを描き出すものが多い。
この本は、預言者 梅棹忠夫という視点で、まとめられたものである。
プロローグ ――実現した予言と失われた時代
第1章 「文明の生態史観」の衝撃
第2章 モンゴルの生態学者
第3章 奇説を語る少壮学者
第4章 豊かな日本という未来
第5章 情報社会論の先駆者
第 -
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本書の内容が本当なら、間違いなくTPP締結はしない方がいいでしょう。アメリカの繁栄のために、日本が踏み台になる理由はありません。
しかし気になるのは、TPPの中身が政府内できちんと把握できていないにも関わらず、著者は分かっているという点です。そんかことがあるものなのかと疑問に思います。
コミュニケーションでの送り手と受け手の関係は、受け手が有利だというのは糸井重里も言っています。『挨拶したけど返事がなかった!ひどい!』『いや、そもそも聞こえなかったし』となれば、受け手の方が分があるでしょう。
今までの均衡を崩すのには何か理由があって、自分にプラスになるからするものです。TPPも、アメリカ自身に -
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ネタバレTPP、何だそれ?という当然の反問も許さず、日本人の前に唐突に巨大な選択肢として立ちはだかることとなった、その経緯の不自然さから、まず本書は説き起こす。前原前大臣の「農業はGDPの1.5%」という発言に象徴される「農業」対「非農業」という明らかにミスリードされた問題設定からして、全てを知っていながらあえて教えない、いかにして国民を丸め込むかに重点をおいた感のある不自然な議論であった。(本書を読み、今にして思えば、であるが)
詳細は本書をぜひ一読願いたいが、それにつけても不思議に思うのはこのような意図的な国民世論の丸め込みをあえて行おうとする人々の真の意図である。日本の国家指導者層(政・官・業・