長岡義幸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
低迷にあるといわれる地域の書店の実態を数十店舗取材したルポルタージュ。著者は「困難な時代であっても街の本屋が街の本屋として成り立ってほしいと願いつつ、さまざまなかたちで奮闘する書店を見て」いる。閉店していく街の本屋がおおい中で奮闘している本屋の姿を丁寧に描いて、まだまだ頑張っている本屋がいることに勇気づけられる。独自のチョイスで個性的な書棚を作る本屋もあれば、文具や生活用品と併せて販売したり、立地や地域のニーズによって本屋の形もさまざまなであるが、それぞれの店主が工夫をして生き残りをかけている。その熱意は地域の読書活動、文化の拠点たれという気概があるからだろう。この本屋もあの本屋も行ってみたい
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Posted by ブクログ
例の東京都青少年健全育成うんたらかんたら条例を念頭に置いた本。
戦後から現代までの、マンガ規制を時系列や、それに関係した人発言や引用を挟みながら追っていく。
都条例が議論されるように至った経緯を知るには便利。
その時々の、出版社の考え、警察や行政の考え、親やいわゆるPTAの考えが手に取るように分かる。
できれば、著者の考えや、現状を打開するような案も聞いてみたかった。
結局、表現の自由、性の描き方、それが差別になるかどうか、どこまでがエロいものなのかっていう判定基準は人それぞれ。
ましてや、その情報が元で青少年の育成が阻害されるのかどうかなんて、主観と時代環境が影響して、客観的な基準なんて -
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Posted by ブクログ
小さい子を持つ親としては、特に過激なエロの「有害」マンガは見てほしくないし、なるべく遠ざけたいと考えている。
だけどそのことと、権力が規制することはまったく別の話。いつの時代も、自分が悪とみなすものを権力・暴力で排除しようとする人は存在するんだなー、と悲しくなった次第。
著者の議論に大筋で同意するけど、もうちょっと中立的な書き方でもよかったんじゃないかなあという気がする。
本書の書き方だと、「規制派」の考えを改めさせるのは厳しいんじゃないかなあ。
蛇足ながら、「非実在青少年」の話の時に、呉智英さんが「好色一代男」の話をしていたのが笑った。呉さんの得意とする論法。なるほど、確かに。 -
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Posted by ブクログ
マンガに対する規制とそれに対抗する動きを紹介する一冊。前半で昨今の状況、後半で戦後以降のマンガ規制に関する歴史を紹介している。
[マンガ規制反対派の<弱さ>を示す一冊]
読んでいてとにかく不思議でならないのは「人を楽しませるのが商売の漫画家がそのおもしろさを保つために規制と戦う。こんな面白い話をなぜここまでつまらなく紹介できるのか?」ということ。
マンガはバトルが命、という部分があります(少年向けは特に)。この本はベースに『バトル』があるにも関わらず、その命を失ってしまっている。
正直なところ、この本よりももっと「マンガへの規制との戦い」を描いている本はあると思うのです。例えば「コミックマ -
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Posted by ブクログ
ネタバレ日本における漫画などの表現規制の歴史(1950年代~現在)について述べた本。こういう本が出たのも「非実在青少年」という文言で名を挙げた東京都の青少年健全育成条例の影響だろう。
畢竟、どの時代にも共通して言えるのは、規制は風紀や道徳の遵守云々よりも、行う側の理屈で一方的に行われること。
この本の記す時代は1950年代の『太陽の季節』と「太陽族」の流行、悪書追放運動や文部省の「図書選定制度」、60年代の東京都青少年条例制定後の「サンデー」、「マガジン」などの少年漫画誌ブーム、80年代後半の宮崎勤事件と様々だが、その裏に規制する行政(東京都など)や規制を求めるPTAなどの思惑があり、注視